この対談について
健康人生塾の塾長にしてホリスティックニュートリション(総括的栄養学)研究家の久保さんと、「健康とは何か」を深堀りしていく対談企画。「健康と不健康は何が違うのか」「人間は不健康では幸せになれないのか」など、様々な角度から「健康」を考えます。
第86回 人間だけがこれほど器用に進化した理由
第86回 人間だけがこれほど器用に進化した理由
人間は「直立二足歩行」ができるようになったことで「手」が自由になりましたよね。そして人間ほど手を器用に使う動物はいない。これほどまでに圧倒的な差があるのはどうしてなんでしょうね。
おそらく一番大きな違いは「森を出たか・出なかったか」だと思います。それによって手に求められる機能が変わっていった。森に残った猿たちは、木に登ったり枝を掴んだりするために手を使うじゃないですか。
一方森を出た人間は、枝から枝へと手を使いながら移動する必要もなくなって、別のことに手を使うようになっていった。…でも、それだけだとまだ納得感がないんです。木登りする必要がなくなったからといって、なぜこうも器用になれたのか。
そうですね。手からはちょっと離れてしまいますが、前回もお話ししました通り、人間は二足歩行をするようになって「速く走ること」を諦めたわけです。つまり、大型の肉食動物に追いかけられたらあっという間に捕まって食べられてしまう(笑)。
確かに(笑)。文字通り致命的なリスクです。
そうなんです。そこで、自由になった手を使ってそれを解決しようと考えた。その成果の一つが、火を扱えるようになったことですよね。
ああ、なるほど。多くの動物は火を恐れますもんね。つまり、「火」というものを手に入れたことで人間は動物に襲われる心配がなくなった。結果、手の修練がますます進み、様々な道具を発明したり使えるように進化した。
ええ。それまで人間は食物連鎖の真ん中より下くらいの弱い存在だったそうです。でも火を手に入れたことで身を守ることができるようになった。そういう意味でも、火との出会いは人間にとって非常に大きなターニングポイントですよね。
なるほどなぁ。それで言うと、火を扱うようになったことで、食事の方法も大きく変わりましたよね。
そうそう。火がない時代は、生肉や木の実など消化に悪いものばかり食べていた。それが火によって、焼いたり煮たりといった様々な調理が可能になり、食事や消化にかかる時間が劇的に短くなったんです。
ああ、確かに。焼いた肉だったら、難なく噛み切れて美味しく食べれますもんね。生肉みたいに長時間噛み続ける必要もないと。
そういうことです。それまでの人間は、おそらく狩りに5時間、食事と消化に5時間…というように、「食べ物を探す」か「食べ物を消化する」ことだけに睡眠以外のほとんどの時間を費やしていた。そういう状況から、1時間もあれば食事が終えられるという環境になって、余った時間で道具を作ったり、それを使って狩りをしたり。さまさまな進化や生活水準を上げる条件が整っていったんです。
なるほどなぁ。そう言われると人間だけがこれだけ器用になるのも不思議ではない気がします。
そうなんです。さらに言えば、単純に時間的余裕ができたということだけじゃなくて、脳が発達したんですよね。火を使って調理することで消化が早くなったという話をしましたが、要は「消化に使っていたエネルギー」を脳に使えるようになったわけです。
ははぁ…火を使うようになったことが、知能の発達にもつながっていったわけですか。
仰るとおりです。そうやって知能と技術が連動して発達していくことで、人間の進化も進んだんじゃないかと思うんですよね。
なるほどなぁ。確かに道具を作るとか家を建てるとか、ただ時間があればできるってわけでもないですもんね。直立二足歩行になったことで速く走ることを諦めたおかげで、人間はこれだけ器用に手を使えるようになったということがよくわかりました(笑)。
対談している二人
久保 光弘(くぼ みつひろ)
健康人生塾 塾長/ホリスティックニュートリション研究家
仙台出身、神奈川大学卒。すかいらーくグループ藍屋入社後、ファンケルへ。約20年サプリメントの営業として勤務後、2013年独立し「健康人生塾」立ち上げ。食をテーマにした「健康人生アドバイザー」としての活動を開始。JHNA認定講師・JHNA認定ストレスニュートリショニスト。ら・べるびい予防医学研究所・ミネラル検査パートナー。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。