第164回 居心地が悪いのはターゲットから外れている合図

この対談について

“生粋の商売人”倉橋純一。全国21店舗展開中の遊べるリユースショップ『万代』を始め、農機具販売事業『農家さんの味方』、オークション事業『杜の都オークション』など、次々に新しいビジネスを考え出す倉橋さんの“売り方”を探ります。

第164回 居心地が悪いのはターゲットから外れている合図

安田

今日は倉橋さんがよく仰る「居心地が悪い」という感覚について深掘りしてみたいなと。飲食店に入ったときに「いい感じだと思ったのに何か違うぞ」って経験ありますもんね。


倉橋

そうですよね。特に初めてのお店に行くときって、自分の好みの店であってほしいという願望が強いじゃないですか。だからこそ、ドアを入った瞬間からもう減点が始まるんですよ。

安田

減点法なんですか。加点ではなく。


倉橋

もちろん思った以上の品質だったり、「得したな」と感じる瞬間があれば加点もあります。でもベースは減点法で、「何か違ったな」と感じるのは、やっぱり減点が積み重なった結果なんだと思います。

安田

なるほどなるほど。飲食店で言えば、店員さんがなかなか来てくれないとか、メニューを開いても食べたいものがないとか。そういう減点がどんどん重なって「違った」となるわけですね。


倉橋

ええ。もっとも一方で、せっかく入ったし、なんとか合格点に持っていきたい、という気持ちもあったりしますよね。

安田

ああ〜わかります。ただ私の場合、飛び込みで当たりだった経験がほとんどなくて。自分の感覚だけで入ると外ればかりなんです。だから最近は人の紹介でしか行かなくなりました。


倉橋

僕も紹介が多いですね。新規で行ってよかったなという確率より、紹介の方がよっぽど高いですから。

安田

そうそう。それにね、「この人の紹介は間違いない」という人がいるんですよ。なぜこんなに私の好みがわかるんだろうかと(笑)。


倉橋

いますね(笑)。さらにいうと、紹介で来る人は、入る前から期待値の設定ができているんです。信頼している人の紹介であるほど、減点法じゃなく「加点法」で見てくれる。

安田

なるほど~。だからより一層いいお店だと感じるのかもしれませんね。ちなみに私が好きなのは、静かでカウンターだけ、席も少なくて、料理やお酒1品1品にこだわっているお店なんです。でもそういう店ってターゲットが合う人の方が少ない気がして。そう考えると、誰にとっても居心地のいい店なんてないんじゃないかと。


倉橋

ないと思いますよ。だからお店としては「誰に来てほしいか」を絞る必要がある。1人で来てもらうのか、2人なのか、4人なのか。飲食店であればそのぐらいはなんとなく想定していると思いますけどね。

安田

そうか。そう言われてみると、私が好きなのは完全に2人でカウンターの店ですね。男性同士だと向かい合わせはちょっとしんどいんですよ。でも、テーブルメインの店のカウンターって完全にサブ的な扱いじゃないですか。そうじゃなくてカウンターがメインの店が好きなんです。

倉橋

なるほどなるほど。つまり好みがかなりハッキリしていて狭いわけですね。結果、飛び込みで入ってもなかなかドンピシャな店には出会わない、ということなんだと思いますよ。

安田

確かになぁ。ちなみにお店を運営する側って、最初から合う人と合わない人がいるとわかって絞り込んでいるんでしょうか。

倉橋

わかってやっているところは、10パーセントぐらいでしょうね。ほとんどのお店はいろんな人に来てほしいという想いでやっているんだけど、お客様側からするとそう感じない。

安田

結果的に合う人が絞り込まれているということなんですね。

倉橋

ええ。すべてのお客様に合わせるのはそもそも無理な話ですからね。でもほとんどのお店はそこを絞り切れていないので、意図しない人が常連になったりして、なんだかズレた感じになっていく。本来はそこを修正していかないといけないんですけど、なかなか振り切れないですよね。

安田

ああ、私にも心当たりがあります。いい感じのスナックみたいな店に通っていたんですけど、いつも同じ常連さんが同じ場所にいて、そこだけ雰囲気が違う。ある日行ったらその方がいなくなっていて、「あの人、来なくなったんですよ」と言われたんです。

倉橋

安田さんとしてはどう感じました?

安田

正直、雰囲気がよくなってよかったなと(笑)。でもお店にしたらその方は毎日来てくれる常連で、家賃の3分の1ぐらいにはなっていたかもしれない。常連さんを大事にすることと店の雰囲気を守ることって、両立が難しいなとつくづく思います。

倉橋

そうですね。でもその方がターゲットに合わないのであれば、やっぱり長くは続かないと思いますよ。ターゲットに合わせたビジネスをするというのが商売の基本ですから。もしくはその方をターゲットに合うように育てていくか。

安田

ああ、なるほど。実際、「残念な常連」っていますもんね。大好きだと言ってくれるんだけど、ちょっとしんどいなというか。

倉橋

どんな商売でもいますよ。リピートや常連づくりはビジネスの大きなテーマですけど、同時に本当に難しい課題でもありますよね。


対談している二人

倉橋 純一(くらはし じゅんいち)
株式会社万代 代表

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株式会社万代 代表|25歳に起業→北海道・東北エリア中心に20店舗 地域密着型で展開中|日本のサブカルチャーを世界に届けるため取り組み中|Reuse × Amusement リユースとアミューズの融合が強み|変わり続ける売り場やサービスを日々改善中|「私たちの仕事、それはお客様働く人に感動を創ること」をモットーに活動中

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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