第44回 26年間、人で苦労したことがない社長

この対談について

“生粋の商売人”倉橋純一。全国18店舗展開中の遊べるリユースショップ『万代』を始め、農機具販売事業『農家さんの味方』、オークション事業『杜の都オークション』など、次々に新しいビジネスを考え出す倉橋さんの“売り方”を探ります。

第44回 26年間、人で苦労したことがない社長

安田

私の周りで「もう人を雇うのが嫌になった」という経営者が増えているんです。会社に対するロイヤリティが低くなって、雇っていても感謝されない。それどころかちょっと厳しいことを言うと「パワハラだ」と。


倉橋

ああ、なるほど。最近は会社の飲み会に対して「残業代出るんですか?」と言ってくる社員がいる、みたいな話も聞きました。

安田

そうそう。その結果、社員を抱えること自体がストレスになってしまうと。倉橋さんはどうですか?


倉橋
うーん、それが僕は今までの26年間で、人を雇うのが嫌になったことが全くないんですよ。
安田

へぇ〜、そうなんですか! 経営者の悩みなんてだいたいは「お金」か「人」の問題に行きつくと思うんですけどね。特に「人」の問題は厄介で、100人いたら100通りの状況がある。だからこそどの経営者も人の問題に頭を抱えている。


倉橋
そうでしょうね。かといって、それなりに大きくしようと思ったら人は雇わざるを得ない。そういう意味では確かに悩ましい問題ですよね。
安田
そうそう。結果、「人の問題は大変だ」ということになって、最近は大きくなくてもいいから自分一人で回せるスモールビジネスに切り替える人も増えていて。もう拡大することに疲れちゃったというか。

倉橋

わかります。でもそういう意味では僕は例外なんでしょうね。「拡大したら忙しくなって大変だ」という人もいますけど、僕は自分のビジネスを大きくしていくことが楽しくてたまらない。だから全然問題ないですね。

安田

さすが倉橋さんです(笑)。確かに、倉橋さんタイプの経営者さんもいますよね。


倉橋

「人を雇うのが嫌だ」とか「面倒くさい」と感じたことは一度もないですね。鈍感なのかな(笑)。

安田
笑。でもそれは才能なんだと思いますよ。冒頭話したような経営者さんたちは、そういうストレスに耐えられなくて事業をシフトされているわけですから。

倉橋

なるほど。でもそういう意味ではウチの商売って、絶対に人が必要なんです。物理的に人がいないと店が開けられない。人がいないとビジネスが成り立たないので、人を雇うのは当然のことだと思っていて。

安田

確かにそうなんですけど、その「雇うことから逃げられない」という環境こそが、経営者さんを苦しめることも多いと思うんです。でもそれはどうやら倉橋さんには当てはまらないようで(笑)。


倉橋
ええ、そこは全然大丈夫です(笑)。むしろ働いてくださっている皆さんに感謝しっぱなしですよ。だって、自分がご飯を食べたり旅行に行ったりしてる間も、誰かがお店で対応してくれているんですよ。
安田
いやぁ、いい社長さんだ(笑)。働いている方が羨ましいです。そもそも倉橋さんって仕事でストレスを感じることはあるんですか?

倉橋
それでいうと、お客さんが減ってしまうことが一番のストレスですね。「自分のビジネスの評価が下がっている」ということがすごくショックで、鬱っぽくなってしまうくらい。
安田

へぇ。倉橋さんでもそんなにショックを受けることがあるんですね。それに比べたら、マネジメントのストレスなんか全然たいしたことないと。


倉橋
全然へっちゃらです!(笑)。でももしかしたら本当に鈍感なのかもしれないなぁ。社員に対しても、「皆喜んで働いてくれてるはずだ!」と思ってしまう方なので。
安田

なるほどなぁ。いやぁ、新鮮です。こんなタイプの社長に会ったのは初めてかもしれない。26年間人に対するストレスを感じたことがない社長なんて、聞いたことない(笑)。

 


対談している二人

倉橋 純一(くらはし じゅんいち)
株式会社万代 代表

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株式会社万代 代表|25歳に起業→北海道・東北エリア中心に19店舗 地域密着型で展開中|日本のサブカルチャーを世界に届けるため取り組み中|Reuse × Amusement リユースとアミューズの融合が強み|変わり続ける売り場やサービスを日々改善中|「私たちの仕事、それはお客様働く人に感動を創ること」をモットーに活動中

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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