“生粋の商売人”倉橋純一。全国21店舗展開中の遊べるリユースショップ『万代』を始め、農機具販売事業『農家さんの味方』、オークション事業『杜の都オークション』など、次々に新しいビジネスを考え出す倉橋さんの“売り方”を探ります。
第65回 「編集力」の高め方

ビジネスには「編集力」が重要だということですが、どうやったら高められるものなんでしょう。倉橋さんご自身は編集力を高めるために何か実践していることはありますか?

ええ。もちろん全く反応がない場合は、調整レベルではなく根本的な作り変えが必要ですけどね。でもある程度の反応があるなら、編集が効果的だと思います。コンテンツを増やすとか、アピールを強くするとか、価格帯を変えるとか。

お客さんの反応を見ながら少しずつアレンジしていくわけですね。ちなみに倉橋さんは、旅行中にも新しい商売のアイデアを思いつくって仰っていたじゃないですか。それも広義の「編集力」と言える気がするんですけど、どうですか?

ああ、確かにそうですね。目に入ったものをそのまま受け取るんじゃなくて、「これをビジネスに活かすには?」という編集的視点で見てしまいます。まぁこれは職業病と言うか、単に私の癖でもあるんですけど(笑)。

なるほどなぁ(笑)。でも実際、そういう視点はすごく大事ですよね。一見全く関係ない事柄を組み合わせることで、新しい価値を生み出せたりするわけで。でも、かといって全員がそういう視点を持てるわけじゃない。倉橋さんはどうやって身につけたんですか?

仰るとおりだと思いますね。近代に入ってからのビジネスって、ゼロから何かを生み出すというより、既存のものを編集して新しい形にすることがほとんどじゃないですか。例えばスーパーマーケットも、元々は八百屋や肉屋を合わせた業態なわけで。

ははぁ、なるほど。確かに好奇心が強い人は、常に新しいものを探しているイメージです。もっともそれは、先ほど倉橋さんが言っていたように、「よし、新しいものを探すぞ」って考えてやってるわけじゃなさそうですけど(笑)。

おかげさまで(笑)。でも実際、「誰も考えつかなかったビジネスを始めるぞ!」みたいに大きなことじゃなくても、「売上を伸ばしたい」とか「仕事の能力を上げたい」という身近な課題にもその感覚は活きると思いますよ。

ああ、なるほど(笑)。よりビジネス的な話で言えば、コンビニとかも勉強になりますよね。レジ脇にさりげなく乾電池とかが置かれていて、「そうだ、そろそろ買おうと思っていたんだ」とついつい手を伸ばしてしまう。

同業種の商売を参考にするのは多くの経営者がやっていると思うんです。でも自分の業界外からヒントを得ようと思う人は少ない。回転寿司にしてもスーパーマーケットにしても、万代さんにとっては異業種ですよね。そこにもアンテナを張っているのがすごいなと。
対談している二人
倉橋 純一(くらはし じゅんいち)
株式会社万代 代表
株式会社万代 代表|25歳に起業→北海道・東北エリア中心に20店舗 地域密着型で展開中|日本のサブカルチャーを世界に届けるため取り組み中|Reuse × Amusement リユースとアミューズの融合が強み|変わり続ける売り場やサービスを日々改善中|「私たちの仕事、それはお客様働く人に感動を創ること」をモットーに活動中
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。