第94回 「死ぬまで現役」を叶えるビジネスのかたち

この対談について

“生粋の商売人”倉橋純一。全国21店舗展開中の遊べるリユースショップ『万代』を始め、農機具販売事業『農家さんの味方』、オークション事業『杜の都オークション』など、次々に新しいビジネスを考え出す倉橋さんの“売り方”を探ります。

第94回 「死ぬまで現役」を叶えるビジネスのかたち

安田

私も今年還暦になりまして。周りの同世代の社長さんを見ていると、今までの事業は次の世代に任せて、これからは小規模で好きなことをやりたいという人が増えているんです。


倉橋

なるほど。安田さん自身もずっと「お一人さまビジネス」を推奨されてますしね。

安田

ええ。私自身、友人と会社を作ったりすることもありますが、もう長いことメインは1人ビジネスです。というわけで、倉橋さんがもし将来「お1人さまビジネス」やるとしたら、どんなことをやるのかなと。


倉橋

お1人さまビジネスですか…。うーん、あまりイメージは湧かないかもしれない(笑)。やっぱり僕は、誰かと一緒にチームで動きたいタイプなんでしょうね。1人きりで黙々とやるのは、ちょっと想像しにくいというか。

安田

なるほど。確かにビジネスには仲間と作り上げていく楽しさもありますからね。


倉橋

そうですね。そもそも仕事を引退するって感覚もあまりないかもしれません。できるだけ長く現役でいたいと思っているので。

安田

そこは私も同感です。死ぬ直前まで、できれば前の日まで働いていたい。とはいえ人を抱えていると、むしろギリギリまで続けるのは難しいんじゃないかと思うんです。


倉橋

ああ、なるほどなるほど。引き際が悪いと、場合によっては社員に迷惑がかかっちゃうこともありそうですし。

安田

そうそう。その点、自分1人なら最後まできれいに完結できる気がするんですよ。利益の使い道で揉めることもないし、社員との関係に悩むこともない。


倉橋

ふ〜む、そう考えると合理的ではありますね。実際僕も、死ぬ直前まで今のような1000人規模の会社のトップでいるのは難しいでしょうし。

安田

そうですよね。どこかのタイミングで社長の立場は手放すことになる。でもトップを退いたとしても、倉橋さんほどの人なら「じゃあもうビジネスはいいか」とはならない気がするんですよ。


倉橋

ああ、仰るとおりですね。それも相談役のようなコンサルティングに回るというより、やっぱり実業をやりたがるだろうな。何かを仕入れて販売するような、リアルな商売が好きなので。

安田

そうでしょうね。そんな姿が目に浮かびます(笑)。でも人手を増やさずに「仕入れて売る」となると、どういうビジネスがありますかね。

倉橋

そうですねぇ。不動産にも興味ありますし、店舗開発みたいなことができたら面白いだろうなと思います。デベロッパーとして地域の課題を解決する、みたいな。

安田

いいですねぇ。無理に規模を広げず、自分の手が届く範囲でやるなら、年齢を重ねても続けられそうです。そういえば以前、万代さんの後継者は世襲はしないって仰ってましたよね。つまり倉橋さんの後任社長は、社員さんの誰かになるんですか。

倉橋

ええ。自分たちの中からリーダーが育っていってほしいと思ってます。その方が社員にとっても夢があるし、「自分がいつか社長になれるかもしれない会社」というのは、求職者にとっても大きな魅力だと思いますし。

安田

確かに確かに。とはいえ引退しても株を持ったままだと、実質「影の社長」みたいになってしまいませんか? どこかのテレビ局のように、引退後も長く影響力を残しすぎるのはよくない気もするんですけど。

倉橋

そうですね。「マーケティングのできない経営者が権力だけは握っている」というのが一番よくないパターンですから。自分よりも優秀な人が社内にいればその人にポジションを譲る。いなければ社外から探す。そういう柔軟な対応が必要だと思います。

安田

なるほど。とはいえ社員が株を買い取るって、資金面でなかなか難しいんじゃないですかね。そこが現実の壁というか。

倉橋

そうですね。場合によっては上場企業に株を売却する、経営統合をする、という選択肢も視野に入れています。僕自身、お客様に提案し続ける力も体力も、どこかで必ず限界は来るので。ただそれまでは、できる限り現役で走り続けたいとは思っています。

安田

同感です。やっぱり、死ぬまでビジネスを続けたい。それが生きる張り合いになりますもんね。

倉橋

本当にそう思います。会社経営って、リアルなロールプレイングゲームみたいなもので、これほど面白いものはないですよ(笑)。

 


対談している二人

倉橋 純一(くらはし じゅんいち)
株式会社万代 代表

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株式会社万代 代表|25歳に起業→北海道・東北エリア中心に20店舗 地域密着型で展開中|日本のサブカルチャーを世界に届けるため取り組み中|Reuse × Amusement リユースとアミューズの融合が強み|変わり続ける売り場やサービスを日々改善中|「私たちの仕事、それはお客様働く人に感動を創ること」をモットーに活動中

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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