税額控除っていうのは、法人税から直接引いてあげるよっていう制度。だから、グラキリスじゃなくて人を増やしたりとか、設備投資をしたりとか、今回の「経営力向上」とか、あとは「地域未来促進」かな。地方創生みたいな文脈で、地方でその認定を受けて投資をした場合の投資とか。あと、特にコロナで、ここからアフターコロナっていうかウィズコロナなのかわかんないけど、人を増やしていかなきゃいけない、所得拡大税制みたいのがあったけど、ちょっと複雑だったんだけど、令和4年の4月1日開始以降は賃上げ税制、単純に給与が前年の1.5%上がれば15%みたいな。
ああ、教育訓練費も。ちょっと数字は覚えてませんけど、前年比10%か15%上がれば対象になる、みたいなやつがそれに当たるんですか?
1.5%で15%なんだけど、2.5%上がってると15%、かつ、教育訓練費を10%上げると10%プラス加算で、要は増加した給与の40%とか税額控除取れんのよ。
ああ、うん。
だから、1,000万給与を払ったとして1,000万は経費になってるから、税金は30%で300万安くなってんのに、さらに1,000万の増加分の40%を税金から安くしてくれる。だから、ほぼタダやん。タダとは言わんけど、めちゃめちゃ引かれるよね。
なるほど。これって、税額控除は世の中になにが存在してて、どれが対象になるかどうかっていう自社の話は、誰がウォッチしてるというか。
えーと、誰もウォッチしてないんじゃない?(笑)機械を買ったり投資だと、業者さんが提案するというケースがある。
「控除を使ってどうだ?」と。
そう。「認定取ってください」とか、「取ることでこうなりますよ」っていうのが出てくるから、それを経営者とか経理の人から税理士に言えば、税理士はわかる。
なるほど。
ただ、それ言わなかったら、たぶん税理士はわかんないと思うから。
あ、そういうもん?
うん。
たとえば、先ほどの雇用促進や教育訓練とかで該当していて、実は教育訓練めちゃ上がってて、「ほんとだと税額控除の対象だったけど、気づいてなかった」みたいなことになってしまう?
それはある。税賠。
これ、どうなる?
賠償。
あ、税理士側の……?
うん。おそらく出てる資料で十分わかるから。まあ、ちょっと微妙だよね。前半の機械のほうは、たとえば本当になんにもコミュニケーションが……それって顧問なのかどうかわかんないけどさ(笑)
うんうん(笑)
たとえば、年1回の決算をお願いしてるところにボン!と資料を送って、証明書もなんにもなくて、話も何もなかったらわかんないケースはあると思うから、ここはちょっと微妙だけど、ただ、税理士の確認義務違反だろって話もあるから、結構弱いとは思うよね。
ああ、そういうことなんですね。
プラス、経営者としたら争うというよりは、ちゃんと税理士に、当たり前だけど言うってことと、あと、給与を忘れてるケースも実際あったしね、お客さんで、セカンドで入ってるとこで。「なんか、あれ?給与が増えてんだけど、これ、取れんじゃねーの?」みたいに言ったら慌ててつくってきた、みたいなのはあった(笑)
あ、該当で?
そう、該当してて。だからよかったよね、先にセカンド入っててね。細かいこと言うからセカンドオピニオン嫌われてたけど、「俺のおかげで、おまえ賠償受けないで済んだぞ」って話(笑)
あ、逆にね。
逆に。期限内に見てあげたから。
経営者のほうを守ることもできたと。
そうそうそうそう。その程度はできるんだと思うよ、普通に。結果見て「こうだ」っていう話はできるじゃん?
うん。
これ、もっとちゃんと、戦略税務っていうことになると、「教育訓練費をどうやって上げよう」とか、なんなら「給与をどうやって上げよう」ってなるわけじゃん。
ああ。
賃上げ税制とかはたぶん続いていくと思うから、そう考えると、「教育訓練費をどう上げていくか」みたいな計画。
なるほど。急にドン!と上げちゃうと、2年後に使えないみたいな?
そう、使えない。まあ、必要なら仕方ないけどね。逆に、戦略的に教育訓練費を増やしていくみたいなのとか、たとえば開始事業年度を増やすために、今期は該当しないなら賞与は出さない。今期は出さずに、来期に該当するときに。べつに年始に賞与出したっていいんだから。なんかさ、いじってる感じするけど、ただ、戦略的に計画立てて……だから大事。
なるほど。
これで節税がちゃんとできていくっていうのを、やっぱり税理士にもやってもらわなきゃいけないし……「うちのスタッフはやってんのかな?」って思いながら(笑)。まあ、やってると思うんだけど(笑)。経営者側も税理士に「これ取れんのに」って、そしたら税理士側も「計画つくんなきゃわかんない」みたいに言うと思うから、つくっていって、「該当する。いくら安くなる」みたいなことを戦略的にやっていけるといいよねっていう。
税額控除はいまなにが出てるのかっていうのは、基本的に税理士さんは情報が当然入って、「こういうものが出てるよ」っていう全体像は認識してるんですよね。
まあ、たぶん、俺以外はわかってるんじゃない?
ちょ、ちょ、待って(笑)。いちばんわかってほしい人が。
まあまあ、いや、だいたいわかってるよ。ただ、結構マニアックなのもあるから、ほんとに地方のやつとか。まあ、地域に根ざしてればわかると思うし。まあ、税理士に聞けばいいんじゃない?なにがあるか。
ああ、なるほどね。意外とうっかり、取れるのに……「取れる」っていう言い方じゃないのか、税額控除対象なのに抜けてたとかっていうのは、なんか結構怖い。
いや、あると思う。あと、試験研究費とかは特にそうかもね。試験研究費も取れるけど、試験研究って研究のイメージがあるから。これも拡大解釈とかって言われちゃうかもしれないけど、どこまで研究かっていうのは、どこまでアグレッシブにやるかみたいな。
なるほどね。そうですよね。
こないだ……
こないだ?
こないだ「アグレッシブな税理士法人」って言われちゃって解約された案件がある。「アグレッシブ」って言われて、俺はほめ言葉だと思ったから「そうですよ」って言って。「それ嫌なら保守的なところにどうぞ」って(笑)。解約理由が「結構ディスられてねーな」みたいな(笑)監査法人で怒られたっていう。
アグレッシブな税理士法人?
俺、それ宣伝に使おうかなと思ったもん。「ああ、監査法人から見たらそう言ってくれるんだ」と思って。まあ、あいつらが税務わかってないだけだけど、正直。まあいいや(笑)。……で、ごめん、質問に答えてないよね(笑)
いや、でも、だいたい全体像が見えたなかで、最後、質問でいくと……
結局どこがポイントかというと……ああ、この会社ならたぶん税額控除になると思うんだけど、結局、税率が、800万以下だったら実効税率23%かな、800万超で36%とかになるから、10%ぐらいの差のところで、今期だけすげー利益が出るとかだったら落としても、もしかしたら得する可能性が。「毎年800万円かは言えないんだけど、今期だけ1億円出ちゃいます」みたいな、あるかわかんないけど(笑)。そのときに1億円即時償却しちゃえば、いつもどおりの税率になるよね。っていうところであれば、もしかしたら、額とタイミングによっては、税額控除よりも得する可能性はあるけど。
インパクトはあるかもしれないと。
うん。まあ、でも基本は、ちゃんと利益が出てるんなら税額控除路線。あとは、法人税額にくらべて……限度額が法人税の20%とかあるからね。そこを大きく超えちゃうときは、税額控除はないほうがいいかもしれないけど。まあ、そこはケースバイケースなんで、「税理士さん調べて」って感じかな。
なるほどですね。じゃあ最終的には、ここまで話ができたうえで、即時償却したほうがいいのか、税額控除を使ったほうがいいのかっていう試算を、税理士に「出してもらえますか」っていうコミュニケーションがとれれば取れると。
そうだね。キャッシュ見込みとか出して、来期の予定とかを出して、それで大幅ズレなければ、どっちが正しいかはだいたい出るとは思うんで。
なるほどですね。ということで、今回は税額控除のご質問をいただきましたが、ぜひ、みなさんも「自分たちが対象なのか」どうかという観点と、士業の先生たちは、あらためて「漏れていないのか」ということで、ヒヤッとする話はありましたが。
はい(笑)
しっかりと押さえていきたいなと思います。
はい。
今日もありがとうございました。
ありがとうございまーす。