税務・財務の観点から「給与制度」はどうあるべきか?【読むPodcast | マネトレ127-後半】

ITベンチャー企業の経営者さんからのご質問。なんとなく決めてきた給与金額。そろそろ制度を整えていきたいけれど、税務財務の観点では、給与制度がどうあるべきなのでしょうか。会社と社員、それぞれの方針、ライフプラン次第で話し合っていければベターと言及。一筋縄でいかない事案です。(音声はこちら
円道

こないだ、私、若新さんっていう、ポッドキャストを一緒にやらせていただいている方がいるじゃないですか。

大久保

はいはい。

円道

こないだ、G1サミットかなんかで、ひさびさにカヤックの柳澤さんとお会いされたらしいんです。

大久保

はいはいはいはい。

円道

で、話してたときに、「いまだにサイコロ給やってんですか?」みたいな話をしたらしくて、そのときに「やっぱり給与って、結局どこまでいっても答えがないから、答えがないものというのを表現するためにも、いまだに『あいまいである』って言うためにもサイコロ給は残してる」って。同じような話ですよね、大久保先生の話と。

大久保

ああ、なるほど。だから、たぶん、「これが正しい」みたいな、コンサル会社が悪いわけじゃないけど、セミナーとか行って決めたってさ、結局、機能しなきゃ意味ないわけで、社員が不満持つんですよ、絶対。

円道

うんうん。

大久保

これは永遠の課題だと。「永遠の課題」ってあんま好きじゃないけど、ずっと向き合いつづけなきゃいけない問題だと思うのと、でも、やっぱ社員と会社ってひとつだから、「アホみたいに給料上げろって言って、利益出なかったらどうするんや!」「そんなの関係ない!」って子は、もう辞めてもらうしかないだろうし。

円道

うん

大久保

まあ、なかなかできてないけど、社員のひとりひとりの人生の計画みたいな、経営計画みたいなものが必要なんじゃないかと、ちょっと思っているというか。ライフプラン。

円道

社員個々のね、ライフプラン。

大久保

うん。だから、なんていうか、安く使うという関係性じゃなくてね、きちんと。まあ、日本的経営みたいな感覚からいえばさ。

円道

うんうんうん。

大久保

たとえばスキルもないのに「息子を医者にしたいから、このぐらい所得がいる」って言ったら、「うちじゃ無理ね」って話も出てくるかもしれないし。まあ、いろんな価値観とか働き方とかがいまはあるわけで、そうなると、「9時5時でこのぐらい働きたいんです。それで旦那の収入も合わせたら、べつに問題ないんです」っていう人もいるわけじゃない?

円道

うん。

大久保

ね。ただ、「俺はめちゃめちゃ働くから、金を稼ぎたい」と……


円道

「天井なしで稼ぎてぇ」と。

大久保

でも、天井ないってことはないと思う。だって、使うお金を考えていったら……まあ、いつ死ぬかとかっていう仮説がいっぱい出るけど。

円道

うん。

大久保

「子どもが何人で」みたいな、結局計画だから。そういうのをつくっていけばさ、いま必要な金額って出てくるじゃない?

円道

必然的にね。たしかに。いつ必要なのかと。

大久保

まあ、お金いらないから安く使うとか、お金いるから高く払うとかじゃないけど(笑)。そこで対話していくっていうことなんじゃないかなと…ふんわり思って。俺もなんか不安だよね。いま一緒にやってくれてるメンバーたちが、べつに生活はできるんだろうけど、どうしていけば……。「いくつまで働くんだろう」とかさ、「俺が死んだらどうなるんだろう」とかさ、いろいろ考えていくと、それは今やれてないから、やらなきゃと思ってるというか、思いついたのが最近なんだけどさ(笑)

円道

……(笑)

大久保

でっかい会社だとむずかしいのかもしれないけど、特に中小企業で数十人でやってるんだったら、なんとなくそれは共有できるし。「じゃあ、足んないなら副業したら?」とかさ。スキルがべつにあるわけじゃん。

円道

うん。

大久保

そんななかで労働法とかあるからね、残業がどうとかなんとかっていう、対立の構造だから問題が起きるわけで。

円道

構造はね、必ず、うん。

大久保

うん。だから、対立しなければっていうか、まあ、お金を会社に残すか社員に払うかという意味では利益相反するけど、「利益をお互いで出せば、お互いいいわけで」みたいな発想で、分離せずやっていくっていうのがいちばん。まあ、これ、きれい事かもしれないけど、小さい会社ならできるんじゃないかなと思うんだけどね。

円道

きれい事どころか、逆にもっとむずかしい話をしてくださってますよね。普通だったら会社のルールで決めたものに対して「これで」っていう、それこそ給与テーブルみたいなものをボンって出して、こっちの合理性のもとでやるっていうことじゃなくて、いったん個人個人の、少人数だったりするからこその、「ひとりひとりがどうなりたいんだ」というものに対して対話していって、どう作っていくのかという、つくる前段階の話をいましてくださってるじゃないですか。

大久保

そう。そういうほうが、むしろいまっぽいのかなっていうか。

円道

ああ。

大久保

だって、わかるわけじゃん、だいだいの自分の原資を。まあ、間接部門とかはむずかしいかもしれないけど。そうだとしたらいくら売らなきゃいけないし、売れないなら別のをなにかやんなきゃいけないしとかね。

円道

なるほどね。原資はわかるじゃないですか。まず、この方の質問が、大久保先生、まさにその前提となる考え方のところから来てくださってますけど、そんなのがあったなかで、いわゆる、ある程度の労働分配率がどうで、原資がどのぐらいで、みたいなとこの考え方って業種業界とかによって結構あいまいだったりするし。任天堂がなんでしたっけ、5%とかでしたっけ、「それ、どうやってやんだよ」みたいな世界もあったり、このへんはどうなんですか?

大久保

これは経営者が決める問題だよね。きちんと利益を出す。まあ、それぞれの固定費の構造とかがちがうから。

円道

うんうんうん。

大久保

それと働いてる社員の経営計画とが合致しないと、本来は絶対ひずみが生まれるから。だから、わかりやすくいえばMAセンターみたいな、労働分配率はよくわかんないけど、案外高所得でやって、バーンってやって「金欲しいやつ集めろ!」っていったら、同じ価値観の人が集まるからさ。

円道

うんうんうん。

大久保

そうじゃない子だっていっぱいいるわけで、そこがミスマッチになっちゃうもんね。

円道

はいはい。

大久保

その労働分配率は、経営計画をつくっていくなかで「何%に抑えないと、利益がこれぐらい残せない」とか、これも基準を聞きたがるけど、それは経営者のなかで決めろよって思ってて。そんなの人に聞く問題じゃねーよ、みたいな。

円道

ああ、なるほどね。業界がどうとかの前に?

大久保

そう。だって、経営の仕方ってさまざまだし、利益出さないで、みんなで分配するっていう考え方もあるだろうし、きちんと積み上げて投資するために残さなきゃいけないとか、それぞれだと思うんで。原先生が「公益資本主義」っておっしゃるなかで分配率を言わないもんね。

円道

ほお。

大久保

経営者であれば「それ、自分で考えたら?」っていうのが、たぶん答え。

円道

「どうあるべきだ」っていう数字は言わないってことですか?

大久保

言わない言わない。まあ、ほんとは言ったほうがわかりやすいから熱狂を生むんだと思うんだよね。例えば「○○が10%だ」みたいに言ったら「目指すぞ!」みたいになるけど、「そんなの経営者なんですから、ご自身で決めてください」ってはっきりは言わないけど、そうなんじゃないかなと。

円道

なるほど。

大久保

それは社員も同じだと思うんだよね。社員だって自分の人生なんだから、考えたときに、ここがいいと思う会社にしていかなきゃいけないし、ほんとに違うなら、違うところに行くほうがいいしね。

円道

まあ、でも、片方がどうではなくて、経営者と社員っていう意味でいうと、両方がどうなのか、自分の人生、社員としてどうしたいのか、社長は自分の会社としてどういう方向に行きたいのかが、ある意味……

大久保

金だけの話してるけど、この価値観というか会社の目的のためにやるんだったら「……があって、その報酬がこうで、こうでいいよね」みたいな。それは高いとか安いとかじゃなくて。だから、やっぱ方向性プラス、現実のキャッシュの問題もできるといいのかなとは、思ってはいるけど。

円道

たしかにね。労働分配率をいくらにすべきかの前に、いまおっしゃってた、たとえば会社の目的に対して「じゃあどのぐらい利益残したいんだとすると、労働分配率をこうしなきゃいけないから、そのためにはどう稼ぐか」みたいな話もあるわけですよね。

大久保

そうそう。おもしろいよね、計画とか数字って、B/SもP/Lもそうだけど、ぜんぶつながってるからさ。

円道

うん。「こっちを抑えるとこっちが出てきちゃう」みたいなね、モグラたたき状態ですよね(笑)

大久保

そうそうそう(笑)。パズルじゃないけど、これをどう組み立てるかっていうのが経営計画だと思うんで。

円道

たしかにな。

大久保

そうね。それを当てはめてやってったら、たぶん、ずっと給料上がりつづけて、みたいな。それで収益上がんなかったら、どんどん黒字が減ってって、みたいなことで。結果、途中で辞めたりして新しい子が入るから……でも、それも結構行き当たりばったりだよね、みたいなとこもあるわけじゃん?(笑)。だから、なるべくなら長く働いてもらったほうがいいんだろうし、足りなきゃ副業だったり、逆にいったら、もっと稼げることがあって、でも、こっちの仕事を手伝いたいなら業務委託でやってもらうとかだってあるだろうし、まあ、いろんなパターンがあるんで、なんか、いろいろ考えたらいいんじゃないの?っていう、すげーいい加減な(笑)

円道

という意味でいくと、まず冒頭にあった「給与の答えがあるわけじゃない」という話がちゃんとあるなかで、あいまい性があるからこそ、でも大事なのは、「社員とかのそれぞれが、どういうライフプランをつくっていくのか」ということに対しては、しゃべっていくっていう土台っていうのはまず別にあって必要で、そのなかで会社の方針に対してどうやっていくのかっていうのをちゃんと、答えありきじゃなくて考えていくっていうのが大事、みたいなところですかね。

大久保

うまくまとめましたね。

円道

ぎりぎり(笑)

大久保

ぎりぎり?

円道

ぎりぎりかな。うまくまとまったかな(笑)

大久保

そして、まあ、俺、しゃべちゃったから、やんなきゃなっていう(笑)

円道

それよりも、まず賞与をちゃんとね、あげてください。

大久保

そうね。はい、がんばります(笑)

円道

ということで、終わりたいと思います。ありがとうございました。

大久保

ありがとうございまーす。

感想・著者への質問はこちらから