このコラムについて
「担当者は売り上げや組織の変革より、社内での自分の評価を最も気にしている」「夜の世界では、配慮と遠慮の絶妙なバランスが必要」「本音でぶつかる義理と人情の営業スタイルだけでは絶対に通用しない」
設立5年にして大手企業向け研修を多数手がけるたかまり株式会社。中小企業出身者をはじめフリーランスのネットワークで構成される同社は、いかにして大手のフトコロに飛び込み、ココロをつかんでいったのか。代表の高松秀樹が、大手企業とつきあう作法を具体的なエピソードを通して伝授します。
本日のお作法/ No.1の誇り
新入社員の方々が入社する季節が近づいてきました。
高松はこれまでに「ベンチャーの新卒採用」や「大手さんの組織育成」のお手伝いを経験し、多くの新入社員の皆様と触れ合う機会をいただきましたが、この時期思い出すことがあります。
某業界、最大手メーカーさんでの「新人研修」のお打合せでのこと。
自動車業界を例にとり、「Tさんでは、このような人材育成。Nさんでは、こんな育成をなさっているようです」と他企業の取組みを紹介した際に、人事マネジャーのNさんが一言おっしゃいました。
「高松さん。業界2位の話は別にいいですよ。ウチは業界TOPなのですから」と。
Nさんは豪快な方ですが、決して傲慢な方ではありません。事実、その声色も落ち着いたものでした。
続けて、
「同業で、ましてや2番手の動向が気にならないというワケではありません。」
「でも、ウチはグローバルトップとしのぎを削っているのですから、国外を見ないといけないと思っているのです」
そこには向上心や挑戦心に加え、自信や誇りも感じ取ることができ、関心したことを覚えています。
そんな某メーカーさんの新人研修当日。400名を超える新入社員のうち、10名程度が本社配属となるのですが、入社動機などを伺っていると、本社配属の1人が「経団連のトップを目指して入社しました。何十年と時間はかかるでしょうが、ウチでトップになれば、経済界のトップとして、『国の発展に貢献できるポジション』を狙えますから。僕はそれに挑戦したいです」と真剣な眼差しで語っていました。
「志」は人それぞれ。高い低いなどは他人が決めることではないと思っています。
ですが、あんなにも自信を携えた真っすぐな瞳で「志」を語る新入社員には出会ったことはありません。
4月が近づくと、よく彼のことを思い出すのです。最大手企業には「No.1たる気概」や「使命感」を持つ方々が集まってくるのだと感じた出来事でした。