第72回 現場のギャップ体験集

 このコラムについて 

「担当者は売り上げや組織の変革より、社内での自分の評価を最も気にしている」「夜の世界では、配慮と遠慮の絶妙なバランスが必要」「本音でぶつかる義理と人情の営業スタイルだけでは絶対に通用しない」
設立5年にして大手企業向け研修を多数手がけるたかまり株式会社。中小企業出身者をはじめフリーランスのネットワークで構成される同社は、いかにして大手のフトコロに飛び込み、ココロをつかんでいったのか。代表の高松秀樹が、大手企業とつきあう作法を具体的なエピソードを通して伝授します。

本日のお作法/ 現場のギャップ体験集

大手消費財メーカーN社さんにて、新卒入社2,3年目の方々にインタビューをしました。

目的は、4月入社の新入社員たちが、これから「現場配属」した際に感じるギャップ体験、戸惑うであろう出来事を新人たちに「事前共有」するための情報収集。

N社さんでは「若手の離職率」がやや高まってきたこともあり、10名ほどの若手先輩社員に配属直後の「ギャップや戸惑い」について伺いました。


オンライン対応:
「コロナ対策で在宅勤務が導入されたことでフロア人数制限などもあり、先輩とのコミュニケーション機会を多く作れなかった」

「仕事を覚えることが多すぎて優先順位づけ、スケジュール管理に悩まされて大変ななか、IT関連の質問を逆に上司がしてくる、、」

上司繁忙、先輩不在:
「上司に『質問・相談』したいのだが、あまりにも忙しそうに映るので、タイミングを見つけられず、抱え込み仕事が増えていった、、」

「職場によっては、決まったOJT担当の先輩がおらず『誰に聞いたら良いのか?』、『そもそも何が分かっていないのか?』が、分からなかった、、」

新人の役割:
「支店によっては、平均年齢が高く、何かと『新人、若手なんだから、、』とゴミ捨てや会議前の準備、買い出しなどを頼まれる。『正直、自分でやれることはやりましょうよ』と思いながらも、『気配りトレーニング』と割り切っています」

「新人の仕事の一つに、真っ先に電話を取らないといけない決まりがあり、電話に慣れていないし、ビジネスマナーも不安だった、、」

大人との付き合い:
「私の部署は年齢の大きく離れた大人ばかりで、雑談の時などなぜ笑っているのかも理解できず、気苦労ばかりの毎日、、」

「社内の大人は親切な方が多く、新人の失敗には、フォローやアドバイスをしてくださる。でも社外の大人との付き合いには『新人だから』は通用しない。自らの失敗が会社の評価を下げることに繋がる。それに気後れしてしまう、、」


上記のような、いくつもの「生の声」を集め、人事に報告すると、「配属後の現場ギャップ体験集」として、後日、丁寧にまとめてありました。

「体験集」には、以下のようなアドバイスも記載されていました。

「電話応対は、苦手でも続けているとだんだん慣れて、他部署の先輩や得意先の把握などができるようにもなるよ」

「ごみ捨ては各自がやるように各職場に伝えますね」

「『忙しそうに見せる技術』が上手くなっている先輩が多いのも事実です。ですが、どんな先輩も、新人時代に悩みや壁を乗り越えたことも事実。思いついたタイミングで質問、相談をしてくださいね!」

各々にとって、働きやすい職場づくりに繋がることを願っています!

 

 

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高松 秀樹(たかまつ ひでき)

たかまり株式会社 代表取締役
株式会社BFI 取締役委託副社長

1973年生まれ。川崎育ち。
1997年より、小さな会社にて中小・ベンチャー企業様の採用・育成支援事業に従事。
2002年よりスポーツバー、スイーツショップを営むも5年で終える。。
2007年以降、大手の作法を嗜み、業界・規模を問わず人材育成、組織開発、教育研修事業に携わり、多くの企業や団体、研修講師のサポートに勤しむ。

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