このコラムについて
「担当者は売り上げや組織の変革より、社内での自分の評価を最も気にしている」「夜の世界では、配慮と遠慮の絶妙なバランスが必要」「本音でぶつかる義理と人情の営業スタイルだけでは絶対に通用しない」
設立5年にして大手企業向け研修を多数手がけるたかまり株式会社。中小企業出身者をはじめフリーランスのネットワークで構成される同社は、いかにして大手のフトコロに飛び込み、ココロをつかんでいったのか。代表の高松秀樹が、大手企業とつきあう作法を具体的なエピソードを通して伝授します。
本日のお作法/コストゼロの「1on1浸透策」
「今さら?」と、聞かれそうですが、最近、「1on1の浸透」について、よく聞かれます。
「やり方」ではなく、「浸透状況」について聞くのですから、おそらく自社はうまくいっていなくて、「大手他社はどうなの?」と気になっているのかなと。
実際に、
「取り組んではいるものの『形骸化』してしまっている、、」などの声を多く耳にします。
もともと「シリコンバレー」で始まったとされる「1on1」。
その「目的」は「人材育成」。
手法としては、
「上司と部下」が、「一対一」で「定期的」に面談をする、
というもの。
進んでいない、形骸化してしまっている企業・組織に「その要因」を伺ってみると、「上司側」「部下側」、それぞれから意見が上がってくるのですが、「共通点」があるようです。
◆上司側
そもそも忙しい。業務過多で面談時間が取れない、、定期的なスケジューリングが困難。。
◆部下側
一方的に、あれこれ聞かれて、尋問のよう。。一応、困りごとなどに答えてみても、返ってくるのは「徐々に変えていこう」という答えばかり、、「徐々に」の枕詞がつく回答しか望めない。。
といった状況に陥っている組織が多いのです。
そんなことを、非常にうまく「浸透しているな」「機能しているな」、と感じるクライアントに話してみますと、
「上司側が、『質問すること』に注力しすぎると、お互いがしんどくなっちゃうんですよ」
「ウチも最初の頃は、似たような状況でしたが、そもそもの『目的が人材育成』じゃないですか?」
「ということは、部下側に対して『会社や組織の目的・方向性を語り』、そのうえで、部下への『期待や、個々のキャリア観・仕事観などを共有し合う』。そんなところからやり直しました」
「聞いてばっかりじゃ『尋問』になっちゃいますし、上司側も仕事観や組織の方向性を、『自らの言葉で語る』ことが大事ですよね」
「そして、最も大事なのは、『質問されやすいムード』を醸し出すことです」
「日頃から、『話しかけられやすい雰囲気』を作っておけば、わざわざ無理して時間を作るなんてこと、しなくて良いですから」
「眉間にシワを寄せて、小難しそうな顔して、ため息なんて周りに聞かせちゃったりしてたら最悪ですよ」
「そんな上司に、質問や相談なんかしづらいですよね」
「自らの態度をないがしろにして、『忙しい、、』『時間が作れない、、』と言う上司がいますけど、『自らを無能だ』『できない上司だ』と伝えているようなものですよ」
「質問をされやすい上司になっちゃえば、その場で色々と雑談ができるようになるんですから、生産性だって上がりますよ」
「それを『マネジメントだ!』と肩肘張ってやっているから、日本企業での1on1が進みづらいんじゃないかな、って感じています」
「ウチは、管理職に『日頃の態度を柔らかくしてね』って言っただけで、職場の雰囲気もよくなって。しかも『コストはゼロですよ』、ありがたいですよね」
なるほど。
コストをかけなくても、できること、まだまだたくさんありそうですね!