このコラムについて
「担当者は売り上げや組織の変革より、社内での自分の評価を最も気にしている」「夜の世界では、配慮と遠慮の絶妙なバランスが必要」「本音でぶつかる義理と人情の営業スタイルだけでは絶対に通用しない」
設立5年にして大手企業向け研修を多数手がけるたかまり株式会社。中小企業出身者をはじめフリーランスのネットワークで構成される同社は、いかにして大手のフトコロに飛び込み、ココロをつかんでいったのか。代表の高松秀樹が、大手企業とつきあう作法を具体的なエピソードを通して伝授します。
本日のお作法/ドッキリの効果効能
サッカーファンのあいだでは、少々話題となった出来事を紹介させてください。
フランスリーグ、モナコで活躍する「タキ」こと、日本代表・南野拓実選手。
昨シーズン、彼のあるプレーが「意味不明、、」と世間を騒がせたのです。
公式戦、試合開始のキックオフの際、ひとりでセンターサークル中央にあるボール近くにいた南野選手は、後方に位置する味方にパスをするフリをしつつも、そのまま相手陣内へとドリブルを開始したのです。。
ところが、、
ルールでは、「キックオフの際、一人の選手がボールに2回以上触れてはいけない」ため、すぐに審判のホイッスルが鳴り、ペナルティを取られたのでした。。
こちら、サッカーに携わったことのある方なら、誰もが知るルール。まさかプロ選手が、しかも海外で活躍する日本代表選手が、こんな「恥ずかしいミス」をするなどあり得ない、、
すぐさまウェブには、
「ルール知らんの??」
「無知にもほどがある、、」
「恥ずかしすぎるやん、、」
「記憶にも記録にも残るプレー」
「ペレ、マラドーナ、メッシ、ロナウド、ジダン、その誰もが成し遂げたことのない唯一無二のプレー」
などと、当時、不調で苦しんでいた南野選手は、猛烈な批判と嘲笑を受けたのでした。。
ところが!!
およそ半年後の最近。
その真相について、南野選手が語ったのです。
「すごいバカだと思うんですけど…」と切り出し、
「試合前にコーチが、『タキ、今日はキッオオフで後ろにパスするフリをして、そのままドリブルしなよ』って言ってきて。俺が、いやいやそれは無理。キックオフドリブルはできへんよって言ったら、コーチがガチめに『いや、できるから!』って。『ルールが変わったから!』って言ってきた(要約)」
南野選手は、
「え?と思って、その時にGoogleで調べようかと思ったんだけど、あまりにコーチの顔がガチすぎて。まじで?キックオフでそのままドリブルできたっけ。みたいな。数年前にルールが変わった時があったけど、これも変わってたのかなって。勝手にそう思って、、」と告白したのです。
そのまま実行してしまい、はずかしめを受けた南野選手ですが、
ハーフタイム時のベンチ裏で、指示したコーチに、
「なんやねん!!今頃、TicTokかTwitterに絶対流れとるやろ」と怒りを込めて伝えたところ、
コーチは、「これは俺たち2人で作った作品だな!」
と、笑いながら肩を組んできたのだそうですw
移籍してきたばかりでチームにも戦術にも馴染めず、不調で元気のなかった南野選手をイジって、「チームに溶け込まそうとした」かどうかはわかりませんが、なかなかに心温まるエピソードに、またwebが沸いたのでした。
(そして、現在、タキはフランスリーグで月間MVPを取るなど、大活躍中です!!)
そんなニュースと時を近しくして、
某大手さんの「社内報」に「ドッキリを仕掛けられた課長のエピソード」がデカデカと掲載されたのですが、社内は大盛り上がり!
仕掛け人は制作総指揮、直属上司の部長。アイデア・脚本・シナリオ作りは、直属の部下である若手くん。
普段は「仕事に厳しく強面な課長」ですが、そのオフショットは「ユニークで、部下思いのやさしいお人柄」。そんな上司の一面を他部署の方々にも伝えたく、「心温まるドッキリ」を仕掛けたとのこと。
日本の産業を支える「重厚長大なメーカーさん」での、こんな取り組み。かつてはあり得なかったことかと。
数年前から始まった離職防止プロジェクトの一環で、「風通しの良い組織作り」を目指した過程で、そんなことが生み出されました。
もちろん、全ての方にポジティブに映ったワケではありません。「社内報は遊びの場ではない」「しっかり仕事に集中しろや」との当たり前のご感想も多数いただいたようです。
それでもクスッと笑えるエピソードには、「倍以上のポジティブな反応」もいただいたのだとか。
同社では、「社内報=社内の仕事の共有」のみならず、「=社内の人となりの共有」も含まれています。
それに目をつけた若手から発案されたひとつのお遊び。
遊びから繋がりが広がり、社内活性に結びつく。これもひとつの「イノベーションなのでは?」と、思う出来事でした。
(詳しくは、控えますが、発注ルールの変更による、大量の発注ミスの責任を押し付けられた課長が、四苦八苦しながらも周りの協力を得て解決に立ち向かう、という、そんな内容でございました)