第88回 変わりゆく時代

 このコラムについて 

「担当者は売り上げや組織の変革より、社内での自分の評価を最も気にしている」「夜の世界では、配慮と遠慮の絶妙なバランスが必要」「本音でぶつかる義理と人情の営業スタイルだけでは絶対に通用しない」
設立5年にして大手企業向け研修を多数手がけるたかまり株式会社。中小企業出身者をはじめフリーランスのネットワークで構成される同社は、いかにして大手のフトコロに飛び込み、ココロをつかんでいったのか。代表の高松秀樹が、大手企業とつきあう作法を具体的なエピソードを通して伝授します。

本日のお作法/ 変わりゆく時代

先日、ホンダが55歳以上の社員を対象に募った「早期退職」に2000名を超える応募があったことが発表されました。

一方で、トヨタ自動車は、在宅勤務に関して、職場からの距離制限を「完全撤廃」し、全国どこからの勤務でも可能にする制度導入を発表しました。

前者は、「国内正社員の約5%」に当たる割合での世代交代策であり、電気自動車(EV)へのシフトが急務、本気であることが伝わります。

後者では、出社が必要な場合は、「距離不問で交通費の全額支給」が約束され、従業員の負担軽減を支援することで、「出社率の減少」、さらなる「リモートワーク定着」を目指し、「新たな人材確保」にもアドバンテージを獲得したいとのメッセージが伝わりました。

そんななか、自動車メーカーを主要クライアントとして持つ、某大手メーカーさんにて、「50代キャリア研修」の場に同席しましたが、ある受講生の感想に考えさせられました。

研修冒頭、近況共有のセッションにて、ひとりの受講生が、

「最近、気になったことは、メッシのバルサ退団のニュースです。功労者であり、まだ数年はトップレベルで活躍できるのでしょうから、衝撃を受けました」

「チームが方向性を示せずゴタゴタしていた昨シーズンは、出ていきたくても出て行けず。気持ちをリセットして、大幅減俸まで受け入れてでも残ろうと決意した今シーズンは、残ることも許されない」

「長年、チームのために心血注ぎ、支えてきた功労者をバッサリと切る姿勢に、ショックで、もうFCバルセロナを応援するどころか、試合も見たくない」

「これから、ウチも含め、多くの国内メーカーでどんどんそんな動きが明らかになっていくんでしょうね。。」

「今日は、今後を考える良い機会にしたいと思います」という彼の感想に、和やかな雰囲気ではじまった場に、静けさが訪れ、「変わりゆく時代」を痛感した瞬間でした。

 

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高松 秀樹(たかまつ ひでき)

たかまり株式会社 代表取締役
株式会社BFI 取締役委託副社長

1973年生まれ。川崎育ち。
1997年より、小さな会社にて中小・ベンチャー企業様の採用・育成支援事業に従事。
2002年よりスポーツバー、スイーツショップを営むも5年で終える。。
2007年以降、大手の作法を嗜み、業界・規模を問わず人材育成、組織開発、教育研修事業に携わり、多くの企業や団体、研修講師のサポートに勤しむ。

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