ネットの履歴書
第58回『ファンとアンチの境目』

ソルナ株式会社が開発した究極の履歴書。それがネットの履歴書』これまでの履歴書や職務経歴書とは何が違うのか。なぜ究極と言えるのか。その秘密に迫ります。

小さなブルーオーシャンを追え
〜ネットの履歴書〜

第58回『ファンとアンチの境目』

 

安田

三澤さん見ました?100日後に死ぬワニ。

三澤

はい。ずっと読んでました。

安田

死んじゃいましたね。

三澤

すごく微妙な終わり方でしたけど。死ぬ場面は見せないで。死んだとも取れるし、そうじゃないとも取れる。

安田

じつは生きてるってことですか?

三澤

いまファンの間で「あれ、復活あるよね」みたいなことが言われてます。「うまい終わり方したな」って。

安田

そうなんですか!でも確かに死んだ姿は出てきてませんね。

三澤

でしょ?だってあれだけの読者がいるし。200万人でしたっけ?

安田

はい。確か200万人ぐらいです。

三澤

なので、ちょっと欲の出た終わり方。パート2とか、復活みたいな可能性もちょっと残してる。

安田

200万フォロワーってひと財産ですからね。あの前澤さんでも600万人集めるのに1億円かかってるので。

三澤

1円も使ってませんから。

安田

あれぞ「マンガ家がやるべき戦略」ってかんじです。

三澤

はい。着眼が秀逸です。終わりが決まってることによって、日常がだいぶ変わって見える。

安田

そうですよね。

三澤

同じセリフでも、まったく違う角度で捉えてしまう。非常にツイッター向きの企画ですよ。

安田

私は最後の数話しか読んでないですけど。途中に伏線みたいなのがあったあらしいですね。

三澤

ありました。車に轢かれそうになったひよこを助けたり。

安田

すごく単純な作りなのに「いつも死を考えさせる」4コマ漫画。すごいです。

三澤

素朴なつくりゆえに読者は興ざめしたんでしょうね。

安田

終わった瞬間に「本が出ます」「映画化します」「電通がバックアップします」という展開だったので。「なんだよ。電通の仕込みだったのかよ」みたいな。

三澤

展開が早すぎたんでしょう。余韻も覚めやらないうちに。

安田

電通って若い女性社員が過労死してるじゃないですか。それもあって叩かれてるみたいです。

三澤

そうみたいですね。

安田

映画化すること自体がだめな訳ではないでしょうけど。タイミングを見誤ったってことですかね?広告のプロなのに。

三澤

そうでしょうね。

安田

もうちょっと間を置いてから“書籍化決まりました”とか“映画化も決まりました”ってやったほうがよかった、って言われてます。

三澤

まあ電通からすると、あのタイミングがベストだったんでしょう。

安田

一番盛り上がった瞬間ですから。それにしても仕込みっぽい。

三澤

言われているような仕込みではないと思いますよ。

安田

「最初から仕込んでたわけじゃない」って作者は言ってました。

三澤

そうでしょうね。そんな感じではなかったです。たまたまウケたというか、狙ってあんな感じにはならないと思う。

安田

三澤さんは何話目ぐらいから読み始めたんですか?

三澤

20話ぐらいかな。

安田

結構早いですね。へぇ~。

三澤

もうちょっと早かったかもしれないです。

安田

まだぜんぜんフォロワーがいない頃ですよね。

三澤

ぜんぜん少なかったと思います。

安田

どうやって知ったんですか?

三澤

何かでネット検索したら出てきたんです。

安田

じゃあ流行りとかは関係なく、純粋に面白いってことで読み始めたんですか?

三澤

そうそう。僕ああいうの好きなんですよ。

安田

へぇ~。意外ですね。どういうところが好きなんですか?

三澤

終わりが決まってるところから始まるっていう。

安田

「刑事コロンボ」もそうでしたよね。最初に犯人がわかって、それを視聴者はみんな知ってて、コロンボが犯人を追い詰めていくっていう。

三澤

ああ、そうですね。面白さの種類が違うというか。

安田

確かに。あのパターンは私も好きです。

三澤

「テセウスの船」なんかは最後まで「誰が犯人なの?」「誰が犯人なの?」っていう面白さ。

安田

あれはあれで面白いですけど。

三澤

今回の四コマ漫画は、とくにTwitterとの相性が良かったです。

安田

たしかに。紙モノでは成り立たないですもんね。あのパターンは。

三澤

1日1話だからいい。

安田

書籍だと一気に読んじゃいますもんね。

三澤

「コボちゃん」みたいな新聞の4コマ漫画でもちょっと。

安田

前回までの話が見れないですもんね、新聞だったら。

三澤

そうなんですよ。Twitterならでは。

安田

電通は何話目くらいで目をつけたと思います?

三澤

ちょっと噂になったあたり。彼らって唾付けるのが早いですから。

安田

でもあれって、どうやって映画化するんでしょう?

三澤

ちょっと肉付けしていけば、子供用のアニメになるんじゃないですか。

安田

でも死ぬのが分かってるわけですよ。

三澤

そこが教育にいいのかなと。

安田

なるほど。

三澤

いま映画になってる台本って、売れてる漫画ばっかりですよ。

安田

たしかに。「テセウスの船」もそうですからね。

三澤

お客さんがすでに付いてるので。ある程度採算が読めるというか。

安田

営業マンもフォロワーが何人いるかで、給料が変わる時代ですから。

三澤

どんどんそうなっていくと思います。

安田

じゃあ電通の戦略は間違ってなかったと。

三澤

告知のタイミングは、もうちょっと遅らせたよかったほうがよかった。

安田

やっぱそうですか。

三澤

たとえば人が亡くなったときに「それ、今このタイミングで言う?」「このタイミングでやる?」ってのがあるじゃないですか。

安田

それと同じだと。

三澤

「商売っ気が見えすぎた」ってことですね。冷めちゃったんですよ。

安田

「電通」っていう反感もあるんじゃないですか。無名のマンガ家だと思って応援してたら「なんだ、電通かよ」みたいな。

三澤

それはあるでしょうね。

安田

大きな会社がスポンサーになるって、今まではメリットしかなかったのに。

三澤

そうですね。デメリットも出てくる時代になりました。

安田

デメリットは考えなかったんですかね?作者は。

三澤

考えないですよ。“書籍化だ”“映画化だ”って電通に声かけられたら、普通の人は「パクッ」と食いついちゃいます。

・・・次回へ続く・・・

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