母から受け継いだ指輪をネックレスに、片方なくしたピアスをペンダントに、思い出の詰まった2つのリングを溶かして1つに――。魔法のようにジュエリーを生まれ変わらせるジュエリー修理・リフォーム専門店「Refine」(リファイン)。代表の望月信吾さんに、お客様に感動を届けるジュエリーリフォームの魅力、そして波乱万丈な人生についてお聞きする対談企画です。
第22回 ジュエリーリフォームの過去最高額
今までのジュエリーリフォームで、過去最高の金額ってどれくらいだったんです? 言える範囲で教えてほしいなと。
まず前提として、リフォームには「お持込みいただいたものをリフォームするパターン」と、「オーダーいただいてオリジナルでお作りするパターン」があるんですね。それで言うと前者はそこまで高額にはなりません。
ふーむ、なるほど。ちなみに相場はいくらぐらいなんですか?
そうですね、一番多いのは10万から20万くらいのリフォームがメインにはなりますね。
なるほどなるほど。でもリフォームでそれくらいだとすると、俄然オーダーの金額が気になってきますね(笑)。最高でいくらぐらいなんですか?
200万円くらいのものをお受けしたことがありますね。2カラットのダイヤモンドを使って、枠と台座をつけて販売させていただきました。
200万! やっぱりすごいですね〜。ちなみに、卸の時代も含め、望月さんが今まで扱った中で一番高い宝石って、どれくらいの値段のものなんですか?
卸をやっていた時は、数百万円くらいの商品を扱うことはありましたね。1000万には届かないくらいの。
うわ〜すごいですね。宝石1つで数百万円ですもんね。
そう言われると確かにそうですね。業界にいると、金額の大きさに慣れてしまいますけど。
だんだん麻痺してくるんでしょうね。ちなみに、先ほどリフォームとオーダーの違いについてお話ししてましたけど、リフォームの範囲ってどこまでなんですか?
これはあくまでRefineでの分け方ですが、お客様にお持ち込みいただいた場合は、全てリフォームという扱いになります。お客様の指輪やネックレスに新しい宝石を追加したり、地金に金を足したりするようなイメージです。
なるほど、つまりオーダーの場合は持ち込みがないってことですね。それにしても、リフォームというと今あるものの形をちょっと変えるだけかと思ってましたけど、そうではないんですね。
ええ。地金や石を足してけっこうガラッと作り変えることもあります。新しいデザインに足りない分を付け足していく感じです。例えば持ち込みの金が10gあって、デザイン上20g必要な場合には、新たに10gの金を追加します。もっと華やかにしたい場合は、1~2ミリ程度のメレダイヤを追加したり。
へぇ~。フルオーダーではないにしても、オーダーに近いこともできるということですね。とはいえ、追加するものの量や種類、大きさによっては元の10倍くらいの価格になっちゃたりすることもあるんじゃないですか?
10倍はなかなか…とはいえ、お客様がより華やかな仕上がりをご希望される場合は、そういったケースもあり得ますよね。
ちなみに金額ってどうやって計算するんですか? 石の場合はまだしも、金を何グラム足すかって、作ってみないと正確にはわからない気がしますけど。
確かにそうなんですが、これまで多くのジュエリーを扱ってきた経験から、おおよその見積もりは出すことができます。ただ、1g増えるだけでも料金が大きく変わることがあるので、なかなか難しいんですけど。
そうですよね。後から大幅に高くなるのはまずいですもんね。
仰るとおりです。ですからむしろ、お客様には最大の金額をあらかじめお伝えするようにしていて。
ああ、なるほど。それより安く収まる分には問題ないですもんね。
そうそう。ちなみにリフォームの場合、空枠(からわく)と言って既成の台座に載せ替えるものと、職人が金を溶かしてひとづずつ手作業で作るものの2通りがあるんです。後者では必ずデザイン画を描く工程が入るので、そのデザインをもとに「どのくらいの地金が必要か」を見積もるわけです。
へぇ〜、なるほど。それはすごい技術ですね。簡単にはできないんじゃないですか。
そうですね。すぐには難しいとは思います。ですから、これからRefineのビジネスを始める方については、一度お預かりしてから見積りを出すという形でスタートするのがいいと思います。
その場ですぐに出すのは難しいですもんね。お客さんから「こういう風にリフォームしてほしい」とか「こういう石も足してほしい」とか要望を聞いて、改めて見積もりを出すと。
そうそう。まずお客様から一旦お預かりして、本部のデザイナーがデザイン画を起こします。その後もう一度ご来店いただいてご提案という流れになると思います。
なるほどなぁ。それを全部できるようになろうと思うと、やっぱり1〜3年くらいはかかりますよね。
前職などで近い業種の経験があれば短くなるとは思いますが、全く初めての場合は数年かかるかもしれませんね。
なるほど。経験と勉強が必要なわけですね。
対談している二人
望月 信吾(もちづき しんご)
ジュエリー工房リファイン 代表
25歳で証券会社を退社後、父親の経営する宝石の卸会社に入るが3年後に倒産。その後独立するもすぐに700万円の不渡り手形を受け路頭に迷う。一念発起して2009年に大塚にジュエリー工房リファインをオープンして現在3店舗を運営。<お客様の「大切価値」を尊重し、地元に密着したプロのサービスを提供したい>がモットー。この素晴らしい仕事に共感してくれる人とつながり仕事の輪を広げていきたいと現在パートナー募集中。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。