庭師でもない。外構屋でもない。京都の老舗での修業を経て、現在は「家に着せる衣服の仕立屋さん(ガーメントデザイナー)」として活動する中島さん。そんな中島さんに「造園とガーメントの違い」「劣化する庭と成長する庭」「庭づくりにおすすめの石材・花・木」「そもそもなぜ庭が必要なのか」といった幅広い話をお聞きしていきます。
第14回 里山こそが「究極の庭」
ほう、なるほど。里山と言うと、山奥と人里の中間のようなところですよね。
都会に住んでいるとなかなか接点がないですからね。
確かに一時期バラエティー番組でよく見かけましたね。「人と自然が交わっている」という点が、お庭と共通するのかもしれません。
そういう意味でも里山は「究極の庭」なんじゃないかと。昔は田舎の方だと、「それぞれの家に庭を作る」という習慣はなかったと思うんですよ。里山が集落全体の庭のような存在だった。
昔から庭は「自然の良い部分を切り取って再現したもの」だとも言われます。そういう意味では確かに、「自然」に人の手を加えて、適度に整理したものが里山ですもんね。
里山もお庭も、「人の手が加わった自然」であると。
矛盾しているようですが、自然に見えるようにするには、人の手が必要なんですよね。お庭でも石がただ並べてあるように見えて、その向きや配置は緻密に計算されています。
もちろん河原などで、岩や石が自然に積み上がっているところもあります。ただ間近で見るとどうしても粗が見えてしまって、思わず自分で積み直したくなったりして(笑)。
そうそう。細かいところが見えないからこそ綺麗なんですよね。
対談している二人
中島 秀章(なかしま ひであき)
direct nagomi 株式会社 代表取締役
高校卒業後、庭師を目指し庭の歴史の深い京都(株)植芳造園に入社(1996年)。3年後茨城支店へ転勤。2002・2003年、「茨城社長TVチャンピオン」にガーデニング王2連覇のアシスタントとして出場。2003年会社下請けとして独立。2011年に岐阜に戻り2022年direct nagomi(株)設立。現在に至る。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。