第33回 経営者の心得は、他人に頼ること

この対談について

「日本一高いポスティング代行サービス」を謳う日本ポスティングセンター。依頼が殺到するこのビジネスを作り上げたのは、壮絶な幼少期を過ごし、15歳でママになった中辻麗(なかつじ・うらら)。その実業家ストーリーに安田佳生が迫ります。

第33回 経営者の心得は、他人に頼ること

安田

中辻さんが経営者になって5年ほど経ちますが、どうですか? やっぱり社員時代よりも楽しいですか。


中辻

はい、それはもう、楽しいですね〜(笑)。

安田

ちなみに、どんなところが楽しいんですか?


中辻

やっぱり思い通りに会社を作っていけるところですかね。自分の夢や目標に向かって会社を作れるというのは、経営者の最大の魅力だと思います。

安田

なるほど。お聞きしたところによると、来年あたりに飲食業界にも参入されるとか。


中辻

そうなんです、今まさに準備をすすめているところで。私自身、美味しいものを食べるのも大好きなんです。だから「食べ物で誰かを幸せにできたらすごく嬉しいだろうな」という想いがずっとあって。

安田

へぇ、それは素敵ですね。


中辻

そういう夢を自分で企画したりプロモーションできるのも、経営者だからですよね。イチ社員ではなかなか難しいと思います。

安田

夢を叶えるなら、経営者になるのが一番手っ取り早いぞ、と(笑)。


中辻

そう思います(笑)。あとは、「自分がいつも物事の中心にいたい」というような“自己顕示欲強めの人”も、絶対経営者向きですよね。そういう人が会社員をしていると、たぶんどこかのタイミングで、雇われていること自体が窮屈になっちゃうと思うので。

安田

中辻さんも、会社員時代は窮屈さを感じていましたか(笑)。


中辻

正直、多々ありました(笑)。「会社はこう判断してるけど、こっちのほうが費用対効果よさそうなのに!」なんてよく考えてましたから。でも「イチ社員」の立場では、結局は会社の決定に従うしかないんですよね。

安田

それが窮屈さにつながってしまうんでしょう。要するに、「自分で考えて行動したいタイプの人は経営者になったほうがいいよ」ってことですよね。


中辻

ええ。そのほうが絶対楽しいと思いますね。

安田

私は個人的に、みんなせっかく資本主義社会で生きているんだから、一度くらいは会社の経営をしないともったいないと思っているんです。


中辻

ああ、なるほど。

安田

でも「経営はすごくリスクがある。雇われている社員が一番よい」という考えの方が一般的なんですよね、特に日本では。中辻さんも、「社員のほうがよかったなぁ」と思うときありますか。


中辻

いえ、まったく思わないですね(笑)。客観的に考えても、私は経営者の方が絶対に向いていると思いますから。だけどそう思えるのは、たまたまウチの会社がうまくいっているからでもあって…。

安田

確かに、うまくいっているからこそそう思える、という部分はあるでしょうね。実際、今回のコロナ禍で倒産しちゃった会社もたくさんあるわけで。


中辻

ええ。経営する以上、そういうリスクは避けられませんから。だから一概に「みんな、経営者やったほうがいいよ!」とは言えないかもしれません。

安田

まぁそうですよね。ただ、だから会社員の方がいい、とも思わないんです。会社が倒産すれば、経営者だけじゃなく社員もダメージを受けます。大きな流れに一切関与できず、ただ巻き込まれるだけだと思うと、経営者以上に理不尽なわけですよ。


中辻

それは確かにそうですよね。会社に何かがあれば必ず影響を受けてしまう。

安田

ええ。だからこそ、「経営者になって自立して生きていく方がいい」とも言えるんじゃないかと。


中辻

そのあたりは個人差があるでしょうね。「自立してなくてもいいから、長いものに巻かれていたい」って人はいると思うので。会社員より経営者の方がリスクが大きい、というのは間違いないと思いますし。

安田

まぁ、その分リターンも大きいですけれど。


中辻

うーん。でも最近、そこまで欲のある人、あまり見かけないですよね(笑)。安定して働けて、平均年収くらいもらえれば…って思っている人が多い気がします。

安田

同感です。リスクを負って大きなリターンを得るとか、自分で決めてガンガン行動するとか、そんなことには興味がない。「別に今のままでいいよ」っていう人が多そうですよね。


中辻

あとはパートナーの状況によるのかもしれないですね。私自身、自分がなかなか破天荒な感じで会社経営している分、パートナーには安定した大企業で働いていて欲しいですもん(笑)。

安田

なるほど(笑)。実際、30代40代の男性が転職しようとするときに、一番大きな障壁となるのが奥さんからの反対、通称「嫁ブロック」らしいですから(笑)。


中辻

あ〜わからないでもないなぁ(笑)。転職にしても起業にしても、男性はわりと冒険しがちで、女性は現実主義って言うじゃないですか。もし私のパートナーが新事業を始めるって事業プランを持ってきても、よっぽど内容がよくなきゃ「止めときや〜」って言っちゃうと思います(笑)。

安田

そうなんですね(笑)。


中辻

あるいは、「私が稼ぐからアナタは家事やっておいて」って言うかもしれない(笑)。

安田

笑。まぁでも確かに、いろいろなタイプの人がいますよね。私自身は、一度経営者をやったら二度と会社員には戻りたくないって思うタイプです。でも経営者の中には、「やっぱり会社員が一番だ、もう二度と経営者はやらない」っていう人もいるんですよ。


中辻
へぇ、それはどうしてなんですか。
安田
端的に、経営するのがしんどかったんじゃないですかね。商品も自分で考え、自分で売り、責任も全部自分が取らないといけない。そういう環境が辛くなっちゃったんでしょう。

中辻

う〜ん、もしかするとそういう人って、「自分でなんでもやらなきゃ」って思い過ぎているのかもしれないですね。誰だって、助けてくれる人がいなかったらしんどくなりますよ。

安田
ほう、そういうもんですか。

中辻

例えば私、今は顧客対応と営業活動を1人でやっているので、毎日10個以上のことをマルチタスクでこなしています。でも逆に言えば、お客さんのことと新規事業のことしかやっていないんですよ。

安田
それ以外のことは、全部、部下の方たちがやってくれているわけですね。

中辻

仰る通りです。おかげで「自分の仕事」に集中できるから、そんなにしんどいとは感じないですね。

安田
確かに自分ひとりで何もかもやろうとすると、絶対どこかで限界がきてしまいますよね。

中辻

ええ。私は昔から、「自分ひとりだけが仕事できてもしょうがない」って教えられていて。本当に仕事ができる人は、「自分のような人間を何人も育てられる人」だと思うんですよね。

安田
なるほどなぁ。そういう意味では、「他人をうまく頼れる人」の方が経営者には向いているんでしょうね。

中辻
任せられるところは任せて、自分が絶対にやらなくてはいけないところだけ自分でやる。それが経営者を続けていく上ではベストな状態なのかなと思います。

 


対談している二人

中辻 麗(なかつじ うらら)
株式会社MAMENOKI COMPANY 専務取締役

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1989年生まれ、大阪府泉大津市出身。12歳で不良の道を歩み始め、14歳から不登校になり15歳で長女を妊娠、出産。17歳で離婚しシングルマザーになる。2017年、株式会社ペイント王入社。チラシデザイン・広告の知識を活かして広告部門全般のディレクションを担当し、入社半年で広告効果を5倍に。その実績が認められ、2018年に広告(ポスティング)会社 (株)マメノキカンパニー設立に伴い専務取締役に就任。現在は【日本イチ高いポスティング代行サービス】のキャッチコピーで日本ポスティングセンターを運営。

安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 

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