この対談について
庭師でもない。外構屋でもない。京都の老舗での修業を経て、現在は「家に着せる衣服の仕立屋さん(ガーメントデザイナー)」として活動する中島さん。そんな中島さんに「造園とガーメントの違い」「劣化する庭と成長する庭」「庭づくりにおすすめの石材・花・木」「そもそもなぜ庭が必要なのか」といった幅広い話をお聞きしていきます。
安田
以前、ルーフガーデン(屋上庭園)についてお話を伺いましたけど、こちらのお宅は元々ルーフガーデンを作る予定ではなかったんですよね。中島さんが提案されたとか。
中島
そうですね。最初はむしろ、「虫が来るから木は植えなくていい」と仰られていて。というか、そもそもは「お庭」ではなく「外構」のご依頼だったんですよね。
安田
えっ? そこから一体どうやってこんな素敵なルーフガーデンを作るに至るのか、全く想像がつかないんですが(笑)。
中島
確かに、今思うとすごい道のりに思えますね(笑)。
安田
中島
うーん、説得という感じでもなかったです。もともとお客様は事前に外構の雑誌などをご覧になっていて、どちらかというと無機質な雰囲気を気に入ってらしたんですね。その延長で、「木も極力減らしてほしい」と仰っていた。
安田
確かにお家自体は四角くて窓の少ない、無機質とも言えるデザインですもんね。中島さんの仰る「お庭の外と中の境界をあいまいにして、それぞれの景色をうまく利用する」というお庭の作り方とは方向性が真逆のような。
中島
まぁ、そうとも言えますね(笑)。最初は中庭の壁をもっと高くして目隠しにする予定だったんです。でも、「それ、木でもできますよ」と提案させてもらったら、興味を持ってくださって。そこから自然の木や石の魅力を感じていただけるようになりました。
安田
結果、こんなにたくさんの植物が植えられることになった。中島さんの提案がなかったら、まず実現していないデザインですよね。写真を見ると、石の間にもびっしりと植物が植えられている。
中島
そうなんです。庭を作っていく中で、「もっともっと植えていいんじゃないか」と思ってもらえたみたいで。「もうこれで木を植えるのはおしまいなの?」なんて言われたり(笑)。
安田
へぇ。そしてさらにそこからルーフガーデンまで作るわけですか。
中島
いつの間にか、「緑に囲まれた中でバーベキューなどの食事会をしたい!」という話になったんです。最終的には「森のような感じにしてほしい」とまで言っていただきました。
安田
「虫が来るのが嫌だから植物はいらない」と仰っていた方が、すごい変化をされたんですね。
中島
そうなんです。完成が近づくにつれて、どんどん植物を好きになっていただけました。一度お食事に呼んでいただいたんですが、すごく気に入ってくださっていて。私としても本当に嬉しくて。先日も忘年会にお邪魔させていただきました。
安田
素敵な関係ですねぇ。きっといろんな人に見てほしくなるんだろうな。
中島
ありがたいです。この仕事をしていてよかったなと思いますね。
安田
「森のような感じ」ということでしたけど、写真を見ると確かにいろんな高さの木があったり、花も咲いていますよね。こういうルーフガーデンにおすすめの木ってあるんですか?
中島
お手入れを考えると常緑樹がおすすめですね。落葉樹だと掃除が大変だったりするので。
安田
ああ、なるほど。できるだけ手間がかからないようにするには葉っぱが落ちない木がいいと。ここも以前伺った緑化マットを敷いて作られたんですか?
中島
仰るとおりです。屋上庭園を専門にされているボスケさんという会社さんと相談しながら、マットに木が植えられているものから選びました。
安田
なるほど。マットと木はセットなんですね。
中島
ええ。マットへの植え付けは苗の時しかできないので、そこから育てていって、ある程度大きくなったものを屋上に持っていくんです。
安田
ほう、苗の時からマットで育てているんですね。あらためて、すごい技術だ。
中島
そうなんですよ。緑化マットのおかげで、提案内容の幅も広がりました。
安田
都心のビルの屋上でルーフガーデンが作れるということですもんね。
中島
もちろんできます。ただ屋上があるだけだと、手入れも億劫に感じてしまいがちなので、木を植えてお庭を作ることで、より有効活用できると思います。
対談している二人

中島 秀章(なかしま ひであき)
direct nagomi 株式会社 代表取締役
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高校卒業後、庭師を目指し庭の歴史の深い京都(株)植芳造園に入社(1996年)。3年後茨城支店へ転勤。2002・2003年、「茨城社長TVチャンピオン」にガーデニング王2連覇のアシスタントとして出場。2003年会社下請けとして独立。2011年に岐阜に戻り2022年direct nagomi(株)設立。現在に至る。
