第283回「日大アメフト部廃部の裏側」

この記事について

2011年に採用ビジネスやめた安田佳生と、2018年に採用ビジネスをやめた石塚毅による対談。なぜ二人は採用ビジネスにサヨナラしたのか。今後、採用ビジネスはどのように変化していくのか。採用を離れた人間だけが語れる、採用ビジネスの未来。

前回は 第282回「今採るべき50〜60代の人材」

 第283回「日大アメフト部廃部の裏側」 


安田

日大アメフト問題が大変なことになってます。

石塚

安田さんは今回の廃部決定をどう思いますか?

安田

団体責任は可哀想という気もしますけど。さすがにあの人数が出てきちゃうと、しょうがないのかなと思います。

石塚

そうですよね。僕も学生には可哀想だなと思いつつ、廃部には全面的に賛成ですね。

安田

ここまで来たらもう廃部にするしかないと。

石塚

悪質タックル問題の時に橋詰さんという有名な監督を招聘したんですよ。だけど声が収まったら解任してまたOB監督に戻して、このざまじゃないですか。

安田

日大のOB派閥が幅を利かせてる限りはダメだと。

石塚

そう思いますね。このアメフト部を見ていると自浄作用や改革なんて期待できないです。

安田

日大の学生も可哀想ですよね。他のクラブ活動もそういう目で見られるでしょうし。

石塚

アメフトってものすごくお金がかかるスポーツなんです。ヘルメットだけで5万6万の世界ですから。

安田

そうなんですか。

石塚

防具を揃えたら20万ぐらいする。

安田

アメフトってそんなにお金がかかるんですか。

石塚

だからボンボンが集まるわけですよ。他の競技種目と比べて裕福でわがままに育った子が多いんじゃないかと。これは僕の勝手な予測ですけど。

安田

日大に限らずアメフトはそういう人種が多いってことですか?

石塚

それに加えて日大は属校がものすごく多いので。人の繋がりが強いぶん、そういう悪しき文化もずっと継承されているんじゃないかと。

安田

副学長さん「責任を取って辞めます」と言いつつ、パワハラで理事長を訴えてます。

石塚

理事長の林真理子さんね。

安田

彼女も責任を取って辞めるべきなんでしょうか。「善意で理事長を引き受けただけなのに」という意見もありますが。

石塚

林さんにはちょっと全のガバナンスは荷が重いんじゃないですか。たとえばこの副学長は明らかにもみ消しをしましたよね。

安田

そう見えます。

石塚

大学ぐるみで揉み消そうとしたってことじゃないですか。ことの経緯を見ると林理事長以下一斉退陣するしかないと思う。

安田

辞めて責任を取るべきだと。

石塚

「自分たちも全員辞めるけどアメフト部も廃部」っていうのが正しい結論の出し方なんじゃないかな。

安田

林さんも隠蔽に関わっていたという見解ですか。

石塚

結果的にはそうですよね。沢田さんをコントロールできなかったという意味で。

安田

確かに。企業ならトップが責任を取って辞める事案ですよね。

石塚

理事長って学校法人の社長ですから。学長なんてのは部長レベルですからね。部長、副部長の監督が行き届かなかったってことですよ。

安田

この副学長は検察官だったみたいですね。

石塚

あろうことか、元検察官でありながら薬物事犯をもみ消そうとしたってこと。それを止められない時点で理事長としては、ちょっと難しいんじゃないかと思います。

安田

力量的に無理だってことですね。

石塚

話題性はあったと思うんですけど。

安田

仮に林さんが辞めるとしたら次はどうしたらいいですか。それこそ、また元に戻ってしまいそうですけど。

石塚

外部から連れて来るほかないでしょうね。日大OBに偏重してる人事をやめて、全部公開して、外部から優秀な人を何人も入れて再生させる以外ない。

安田

だけど日大って日大OB人脈で成り立っているわけですよね?生徒集めとか、寄付とか、就職先の斡旋とか。切り離せるんですか。

石塚

OBたちもアメフト部の不祥事で「こっちはいい迷惑だ」って人も多いわけですよ。

安田

なるほど。まともなOBもたくさんいると。

石塚

いっぱいいますよ。林理事長だってその義憤から理事長に手を挙げたわけだから。

安田

じゃあOBも、現学生さんも、今回の廃部に賛成している人は多いのかも。

石塚

賛成してる人は少なくないと思います。

安田

一緒にしてくれんなと。

石塚

「白黒はっきりしてくれ」っていう関係者の方が圧倒的に多いと思いますよ。

\ これまでの対談を見る /

石塚毅
(いしづか たけし)
1970年生まれ、新潟県出身。前職のリクルート時代は2008年度の年間MVP受賞をはじめ表彰多数。キャリア21年。
のべ6,000社2万件以上の求人担当実績を持つ求人のプロフェッショナル。

安田佳生
(やすだ よしお)
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。

 

感想・著者への質問はこちらから