庭師でもない。外構屋でもない。京都の老舗での修業を経て、現在は「家に着せる衣服の仕立屋さん(ガーメントデザイナー)」として活動する中島さん。そんな中島さんに「造園とガーメントの違い」「劣化する庭と成長する庭」「庭づくりにおすすめの石材・花・木」「そもそもなぜ庭が必要なのか」といった幅広い話をお聞きしていきます。
第28回 日本人の情緒を育てる校庭
direct nagomiさんではお家の庭を作られることが多いと思うんですが、「小学校や中学校の校庭を作ってほしい」というような依頼もあるんですか?
ああ、学校はまだありませんが、幼稚園の園庭は以前勤めていた造園会社で作らせていただいたことがあります。小川のような水遊びできる場所を作りましたね。パチャパチャと遊べるくらいの浅いものですが、危なくないように丸い玉石を張って。
へぇ、小川のある園庭ですか。いつでも水遊びができるわけですね。そういう場合、水源はどこから持って来るんですか?
そんなことまでできるんですね! ちなみに、学校となるともっと広い庭になりますけど、「中島さんにお任せで!」となったらどんな校庭にしたいですか?
そうですね……例えば角の一部を使って、「自然と人が集まる場所」を作りたいです。「ゆっくり読書ができるような空間」とか。
ええ、僕もそう思います。情操教育ということでいうと、大きな木を植えるのもいいですよね。例えば欅は15m以上になるので、広い敷地の中でも存在感を出せます。他には桜なんかもおすすめです。
確かに桜を植えている学校は多いですね。
ああ、なるほど。どんな木を植えるか考えるだけでも楽しそうです。そういえば私が小学生の頃は子どもが多くて、校舎に入りきらないからと、どんどん増築していたんです。そのために立派な木を切ってしまったりしていて。仕方ないとはいえ、今思うともったいないなぁと。
昔は子どもが多かったですからね。今はむしろ廃校が増えていますけど。
そうそう。だから使わなくなった校舎は間引いてしまって、どんどん木を植えていくのもいいんじゃないかなと思います。
確かに今は、校舎は無機質なコンクリート造りで、校庭はただグラウンドがあるだけというところが多いですよね。
そうなんですよ。そんなところで過ごして情緒が育つのかなぁと心配になります。最近は「夕焼けを見たことがない」という子どもが増えているとも聞きますし。
せめて学校の校庭だけでも、もっと四季が感じられるようにしていけたらいいですね。
ええ、本当に。もし自分の子どもが通う学校の校庭を、中島さんが作るとしたら素敵だなぁ。
対談している二人
中島 秀章(なかしま ひであき)
direct nagomi 株式会社 代表取締役
高校卒業後、庭師を目指し庭の歴史の深い京都(株)植芳造園に入社(1996年)。3年後茨城支店へ転勤。2002・2003年、「茨城社長TVチャンピオン」にガーデニング王2連覇のアシスタントとして出場。2003年会社下請けとして独立。2011年に岐阜に戻り2022年direct nagomi(株)設立。現在に至る。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。