第47回 日本一「チラシを撒かない」ポスティング会社

この対談について

「日本一高いポスティング代行サービス」を謳う日本ポスティングセンター。依頼が殺到するこのビジネスを作り上げたのは、壮絶な幼少期を過ごし、15歳でママになった中辻麗(なかつじ・うらら)。その実業家ストーリーに安田佳生が迫ります。

第47回 日本一「チラシを撒かない」ポスティング会社


中辻

ああ、ありましたね! Xの投稿まで細かく読んでいただいてありがとうございます(笑)。

安田

あれを読んで不思議だったのが、なんでこんなに多角的に分析できるのかなと。だってポスティングって、やっていること自体はすごく単純じゃないですか。「もらったチラシを撒く」だけ。何をそんなに分析することがあるのかなって思ったんですよね。


中辻

あぁ、なるほど(笑)。私たちが今行っている分析方法は主に2つあります。まず1つ目が、反響があったエリアの細かな分析です。

安田

ほぉ。具体的にどういうことか教えていただけますか?


中辻

はい。私たちはポスティング依頼を受けた段階で、クライアント様に反響データを共有してもらうシートを作るんです。で、問い合わせや来店などの反響があれば、その情報をすぐに丁目単位で入力していただくようにしています。

安田

どのエリアから、いつ・誰が連絡してきたのか、というデータを集めていくわけですね。


中辻

仰る通りです。そうすると配布した枚数に対して、エリアごとに反響の「多い・少ない」があぶり出されるんですね。そのデータを精査するのが、1つ目の分析方法になります。

安田

素人考えではありますけど、お店や会社から近い場所ほど反響が良くて、距離が離れていくほど反響が少なくなっていくわけではないんですか?


中辻

もちろんそれが一番のセオリーであることは事実です。ただ、拠点から遠くても反響が大きい場合があるんです。その「なんでだろう?」という謎を紐解いていくのが私たちの仕事なんですよ。

安田

なるほどなぁ。「遠いところから来てくれた。ラッキー!」では終わらせないんですね(笑)。


中辻

笑。例えば拠点からの距離感が同じようなエリアでも、反響の数に差が出ることがあります。その時に調べるのが、各エリアの世帯収入比率や年齢層、性別。それから戸建て・マンション・団地など、物件の建ち方も重要です。

安田

へぇ。チラシを配布した後も、反響に合わせてそういうデータを地道に集めていくわけですか。


中辻

ええ。そうやって集めたデータを分析し、反響があったエリアと同じようなエリアを探し出すんです。で、次はそこに配布すると、最初からある程度高い反響が望めるというわけです。

安田

すごいなぁ。ちなみに住んでいる人の年齢層や世帯年収なんて、どうやってわかるんですか?


中辻

国が所有している国勢調査や住民基本台帳のデータがあるんですが、『ゼンリン』と言う会社がそれを使ったビックデータを持っているんです。私たちはそのビッグデータを活用して、町・丁目単位で細かなデータを得ることができるんです。

安田

なるほど。ということは、そういうデータ分析の結果、隣の町までチラシが入っているのに、自分の町にはチラシが来ないという場合もあるわけですね。それは「この町に住んでるあなた達は、どうせ来店しないでしょ?」ということがバレてしまっていると(笑)。


中辻

…まあ、そうかな(笑)。というか、ポスティングをするとなったときに、ほとんどの方は「店から1km圏内全部にローラー配布するぞ」って言うんですよ。でも私たちはその1km園内にも「絶対に配布する必要がないエリア」も含まれているはずだ、と思うんです。

安田

お店からの距離だけが、反響の良し悪しに影響するわけではないってことですもんね。


中辻

仰る通りです。たとえば焼肉屋さんのチラシを撒くとする。そうしたらご高齢の方しか住んでいない古い分譲団地には配らなくてもいいんじゃないの? というのが私たちの考えです。

安田

1km圏内から少し外れるけど、来店してくれる人が多そうなエリアに配るべきだ、ということですね。


中辻

そういうことです。ウチって1枚あたりの配布単価は高く設定していますが、配布エリアをしっかり見極めることで「分母=配る枚数」はできるだけ最小限にし、「分子=反響数」をたくさん取るというやり方をしていて。だから基本的に配布枚数は、他社さんよりウチのほうが少ないんですよね。

安田

え、そうなんですか! でもポスティング会社的には、たくさん枚数を受けたほうが儲かるじゃないですか。


中辻

もちろんそうなんですけどね(笑)。でもそこはプロとしてしっかり精査して、たとえお客様が「2万枚配りたい」と仰っても、「いやいや、ここは1.5万枚で十分です」というようなお話をすることもしょっちゅうありますね。

安田

すごいなぁ。さすがです。では次は2つ目の分析方法を教えていただけますか?

安田

携帯会社が持っているGPSデータを使う…というものでしたっけ?


中辻

そうですそうです。一般の人たちのGPSの動きを見ることで、例えばこのエリアの飲食店を訪れる人は、どこから一番多く来ているか、などのデータがわかるんですよ。

安田

そんなデータまで使って分析しているんですね。CIAみたいですね(笑)。


中辻

笑。この人流データの良いところって、その名の通り「人の流れ」がわかる点で。例えば飲食店で来店された方1人ひとりに「どこから来ましたか?」なんて聞くのは非現実的ですよね(笑)。でも人流データを見れば、どこから来たのかが一目瞭然なんですよ。

安田

へぇ、すごいですね。


中辻

そうやってGPSデータを活用することで、今まで可視化できなかった「人の流れ」という側面から分析できるんです。ウチでは今年からこの分析方法も取り入れ始めました。

安田

ここまでいろいろとお話を聞いていると、中辻さんのところにいろんな効果測定の分析ノウハウが集結・蓄積されていっている感じがします。そのうち、5枚しかチラシを撒いていないのに反響が3件ある、みたいになるかも(笑)。そのかわり配布1枚につき8万円です、みたいな(笑)。


中辻
それは究極すぎますね(笑)。さすがにそのレベルを目指すのはちょっと難しいですが、そうやって他社さんと大きく差別化できれば良いなとは思います。
安田
ある意味、「日本一高いポスティング会社」であると同時に、「日本一チラシを撒かないポスティング会社」を目指しているわけですよね。

中辻

ああ、そうかもしれません。でもやっぱり一番は「日本一クライアントさんに寄り添うポスティング会社」でありたいですね。

安田
いやぁ、素晴らしいですよ。

中辻

最近はありがたいことにウチの会社の知名度もだいぶ上がってきて、同じような取り組みを始める会社さんも増えてきているんです。だからそれをいい刺激として、さらに上を目指せればいいなぁと。

安田
これからもどんどん進化していきそうですね。もう社名も「マメノキカンパニー」から「タイボク(大木)カンパニー」に変えたほうがいいかもしれないですよ!(笑)

 


対談している二人

中辻 麗(なかつじ うらら)
株式会社MAMENOKI COMPANY 専務取締役

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1989年生まれ、大阪府泉大津市出身。12歳で不良の道を歩み始め、14歳から不登校になり15歳で長女を妊娠、出産。17歳で離婚しシングルマザーになる。2017年、株式会社ペイント王入社。チラシデザイン・広告の知識を活かして広告部門全般のディレクションを担当し、入社半年で広告効果を5倍に。その実績が認められ、2018年に広告(ポスティング)会社 (株)マメノキカンパニー設立に伴い専務取締役に就任。現在は【日本イチ高いポスティング代行サービス】のキャッチコピーで日本ポスティングセンターを運営。

安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 

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