第34回 中からも外からも楽しめるお庭

この対談について

庭師でもない。外構屋でもない。京都の老舗での修業を経て、現在は「家に着せる衣服の仕立屋さん(ガーメントデザイナー)」として活動する中島さん。そんな中島さんに「造園とガーメントの違い」「劣化する庭と成長する庭」「庭づくりにおすすめの石材・花・木」「そもそもなぜ庭が必要なのか」といった幅広い話をお聞きしていきます。

第34回 中からも外からも楽しめるお庭

安田

direct nagomiさんが作るお庭って、「家の中から見た場合」だけでなく、「敷地の外から見た場合」もすごく意識されてますよね。


中島

そうですね。住人の方の視線も、外を通りかかる方の視線も、両方大切にしています。

安田

お客さんが気にされるのは、基本的には「家の中から見た庭」な気がするのですが、「外から見た庭」についてオーダーが入ることもあるんでしょうか。「地域の方にこんな風に見てもらいたい」とか。


中島
それについてはあまり言われたことはないですね。「子供を遊ばせたい」とか「バーベキューをしたい」というような、用途についてのご要望が多いイメージです。
安田

ああ、なるほど。「眺めて楽しむ庭」というより「使うための庭」ということですね。ちなみにそういう要望を叶える場合、どのくらいの広さが必要になりますか?


中島

家族4~5人のお家だったら、3m角くらいのスペースがあるといいですね。石でテラスを作ったり、芝生を植えてもいいですし。

安田
なるほどなるほど。つまり庭を何に使いたいかでいろいろ変わってくるわけですね。キャッチボールするなら石を敷くわけにいかないけど、バーベキューをするなら石があった方が使いやすい、というような。

中島
そういうことですね。
安田
それで言うと、よくゴルフや野球が好きな人って、庭で素振りをするじゃないですか。そういう用途の庭の場合はどうなりますか?

中島

その場合も芝生か石のテラスがおすすめですね。建売住宅なんかだとたまに土を敷いているだけの庭もありますが、あれは雨が降るとドロドロになってしまうので、注意が必要です。

安田

ああ、確かに雨上がりのグラウンドで遊んだりしたら、あっという間に泥だらけになりますもんね(笑)。つまり、見栄えだけでなく、機能性もよくないといけない。


中島
仰るとおりです。あるいはもう少しご年配の方からのご依頼だと、先ほど出ていた「眺めて楽しむ」ことがメインだったりもします。そういう場合はお風呂や和室から見える坪庭にオブジェや手水鉢を置いたりしますね。
安田

なるほどなぁ。「外から見たお庭」に話を戻すと、お客さんからは外からの見え方についてはあまりオーダーされないということでしたよね。ということは、中島さんの方から「こんな風に見せられますよ」と提案するわけですか?


中島

そうですね。庭単体としてよく見せるというより、建物を含めた敷地全体が映えるよう、植物の配置などを提案させていただいています。

安田

なるほど。石垣や植物で「外から見える場所」と「目隠しする場所」を分ける、というようなお話もされていたように思いますが。


中島
ええ。全部隠してしまうと、どうしても閉塞感が出てしまうので。中からも外からもお庭の6~7割が見えるような作りにすることが多いですね。
安田
ほう。ということは、家の中からも「全部が見えればいい」というわけじゃないと。

中島

そうなんです。生活感が出る部分を適度に隠すことで、景色としても上品になります。さらに道路際まで植物がつながっていると、奥行き感も出て尚いいですね。家が緑に囲まれているような雰囲気になるのでおすすめです。

安田

へぇ。植物を植える位置で、見え方が全然変わるわけですね。でも多分、お客さんはそこまで想像できないですよね。


中島
図面を見てもなかなかイメージしづらい部分なので、実際にお庭ができてからご説明することが多いです。
安田
「外からはこう見えるんだ!」って皆さん驚かれるんじゃないですか?

中島
驚きと同時に喜んでいただいています。
安田

目に浮かびます。direct nagomiさんが作るお庭は、家の中にいるときだけじゃなく、出かけるときや帰ってきたときも楽しめるわけですね。


対談している二人

中島 秀章(なかしま ひであき)
direct nagomi 株式会社 代表取締役

Facebook

高校卒業後、庭師を目指し庭の歴史の深い京都(株)植芳造園に入社(1996年)。3年後茨城支店へ転勤。2002・2003年、「茨城社長TVチャンピオン」にガーデニング王2連覇のアシスタントとして出場。2003年会社下請けとして独立。2011年に岐阜に戻り2022年direct nagomi(株)設立。現在に至る。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

Twitter  Facebook

1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

感想・著者への質問はこちらから