庭師でもない。外構屋でもない。京都の老舗での修業を経て、現在は「家に着せる衣服の仕立屋さん(ガーメントデザイナー)」として活動する中島さん。そんな中島さんに「造園とガーメントの違い」「劣化する庭と成長する庭」「庭づくりにおすすめの石材・花・木」「そもそもなぜ庭が必要なのか」といった幅広い話をお聞きしていきます。
第35回 安田佳生の考える「理想の庭」
今日は「もし私が自分の好みで庭を作るとしたら」ということで、いろいろお聞きしたいと思っていて。
安田さん好みのお庭ですか。面白そうですね(笑)。
私は桜やイチョウが好きなんですが、都内に住んでいるのであまり大きい木は植えられないと思うんです。敷地もあまり広くはできないでしょうし。都内でも作れるような小さな庭だとして、そこに桜並木やイチョウ並木って作れるものなんでしょうか?
なるほど。ちなみにちょっと話が逸れますが、イチョウって雄雌異株なんですよね。つまりオスの木とメスの木がある。そういうのって植える時点でわかるものなんですか?
そもそも雄木と雌木とわかるように販売されているのでわかりますね。ただ、植えてしまった後は違いがほとんどないので、パッと見ただけではわからないでしょうね。
ほう、なるほど。私が今盆栽で育てているのがしだれ桜なんですが、そちらはどうでしょうか?
ふむふむ。私としては大きな桜の木が1本あるよりも、何本か並んでいるところを眺めながら歩けたらいいな、と思っているんです。歩けるくらい並べるには、大きくなりすぎない品種を選ぶ必要があるわけですね。
ええ、仰るとおりです。さらに言えば、桜は根っこが庭全体に広がるので、ある程度敷地の広さには余裕を持っておいた方がいいと思います。
なるほど。庭に植えるなら見た目が好みかどうかだけでなく、どう育つかを知った上で選ぶ必要があると。
ええ。あとは毛虫がつきやすいので、アプローチ沿いなどは必ず薬剤を散布した方がいいと思います。
ははぁ、そうなんですね。昔は植木屋さんが、年に何回か殺虫剤を撒きに来てくれていたイメージがあるんです。でも最近は薬剤を使いたがらない人も増えているような。
ええ。起伏があるお庭の方が自然な雰囲気になるので、お庭に山を作ることは多いですね。
確かに、山を境に和風と洋風で分けたお庭もありましたね。雑木林と山を作ろうとすると、どのくらいの広さがあればできるんですか?
中を散策されるということでしたら、15m角ぐらいあれば小さめのものはできると思います。建物と土地を合わせると70~80坪くらいですかね。
なるほど。そのくらいの広さがあれば、私の思い描いている庭が作れるわけですね。小さいお庭がいいと言いながら、考えているうちにどんどん夢が広がってしまいますね(笑)。
対談している二人
中島 秀章(なかしま ひであき)
direct nagomi 株式会社 代表取締役
高校卒業後、庭師を目指し庭の歴史の深い京都(株)植芳造園に入社(1996年)。3年後茨城支店へ転勤。2002・2003年、「茨城社長TVチャンピオン」にガーデニング王2連覇のアシスタントとして出場。2003年会社下請けとして独立。2011年に岐阜に戻り2022年direct nagomi(株)設立。現在に至る。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。