第45回 壮大なスケール感で作られる中国の日本庭園

この対談について

庭師でもない。外構屋でもない。京都の老舗での修業を経て、現在は「家に着せる衣服の仕立屋さん(ガーメントデザイナー)」として活動する中島さん。そんな中島さんに「造園とガーメントの違い」「劣化する庭と成長する庭」「庭づくりにおすすめの石材・花・木」「そもそもなぜ庭が必要なのか」といった幅広い話をお聞きしていきます。

第45回 壮大なスケール感で作られる中国の日本庭園

安田

direct nagomiさんは「出張庭づくり」も積極的に受けられていると仰っていましたね。最近も海外に出張されていたとか。


中島

ええ。中国の煙台(エンタイ)市に行ってました。青島(チンタオ)の近くで、北朝鮮の対岸にあたる位置にあります。

安田

へぇ。北朝鮮の対岸ですか。北朝鮮関係の貿易でお金持ちになった人から依頼をされたとか?


中島

いえ、中国で2番手の不動産デベロッパーからご依頼いただきまして。海岸沿いに建てるリゾートマンションの付加価値を上げるために、日本のお庭を作ってほしいという内容で。

安田

へぇ、つまり誰かの一軒家とかではなく、マンションに付随する公園のようなお庭だったんですね。


中島

そうですそうです。敷地が広すぎて、どこまでが区切りなのかもよくわからないくらいでした(笑)。マンションは既に2棟建っていたんですが、これからまだ増えていくらしく、最終的には14万㎡にもなるとか。

安田

すごい! さすが中国という感じのスケール感ですね。何か全体を通じてのコンセプトはあるんでしょうか。


中島
「波」をイメージしているらしいんですが、何しろまだまだ作り始めなので…。私たちが今やっている第3期工事が終わって、全体の1/5くらいの進捗らしいです。
安田
ははぁ、壮大なプロジェクトだ。そういう意味では、全貌が見えない中での庭づくりだったわけですね(笑)。ちなみに中島さんはどれくらいの広さの敷地を担当されたんですか?

中島
5000㎡くらいですね。だいたい日本のスーパーが1000㎡くらいなので、それ5店舗分の広さです。滝や山も作りましたし。その反対側には池も作りましたね。
安田

5000㎡の庭ですか! ちなみにそんな広い庭、何人くらいで作るんです? 相当の人数が必要だと思うんですけど。


中島

日本から向こうに行ったのが私含めて6名で、現地の方20〜30名にも手伝ってもらっています。他の工事も並行して進んでいて、現場全体だと常時100名以上が作業しているような状態です。

安田

ふーむ。それだけの人が動くとなると…相当お金がかかってますね。


中島
そうなんですよ。庭だけじゃなく、建物自体もすごくて。地上部分に駐車場を見せたくないらしく、全部地下駐車場にするらしいです。
安田
はは〜、それはすごい。どう考えても横の土地に作ったほうが安く済むのに…。それだけ高級なマンションということなんでしょうね。
中島

ええ。一番安い部屋でも6000万円くらい、高いところだと何億円だそうです。片側からは海が見えて、その反対側は日本庭園という感じで作られていて、景色もすごくいいんですよ。

安田

なるほどなぁ。ちなみにそのお庭はもう完成したんですか?

中島

いえ、まだ途中なので、もう一度行く予定です。今は現地の方々に仕上げを依頼しているところで。橋を架けて、植栽して、そして全体の細かい調整をしてやっと完成ですね。

安田

なるほどなるほど。ちなみに日本から行った6人は、中島さんくらいのベテランの方々なんですか?

中島

それでいうと、京都で働いていたころの仲間が一緒に行ってくれていて、その人が一番のベテランですね。次に私がいて、若手が4名、あとは通訳兼設計事務所の方が1名という感じです。

安田

へぇ、じゃあ中島さんが実質No.2ということですね。次回は現地の庭師さんたちについて聞いてみたいと思います。

 


対談している二人

中島 秀章(なかしま ひであき)
direct nagomi 株式会社 代表取締役

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高校卒業後、庭師を目指し庭の歴史の深い京都(株)植芳造園に入社(1996年)。3年後茨城支店へ転勤。2002・2003年、「茨城社長TVチャンピオン」にガーデニング王2連覇のアシスタントとして出場。2003年会社下請けとして独立。2011年に岐阜に戻り2022年direct nagomi(株)設立。現在に至る。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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