庭師でもない。外構屋でもない。京都の老舗での修業を経て、現在は「家に着せる衣服の仕立屋さん(ガーメントデザイナー)」として活動する中島さん。そんな中島さんに「造園とガーメントの違い」「劣化する庭と成長する庭」「庭づくりにおすすめの石材・花・木」「そもそもなぜ庭が必要なのか」といった幅広い話をお聞きしていきます。
第83回 引き算の美学が生み出す「日本らしい庭」

中島さんは、和風や洋風にこだわるのではなく、その家の雰囲気に合わせたお庭を作られるとお聞きしました。そんな中、例えば「和のテイストにしたいけど、コテコテの日本庭園にはしたくない」なんて要望があったら、どんなふうに作りますか?

石灯籠などの「日本庭園を象徴するもの」を使わずに作るということであれば、砂利や苔を使うのがいいと思います。ただ苔はどうしてもメンテナンスが必要になりますけれど。

ははぁ、なるほど。…あれ、でも屋久島の山の中に流れる川の周りとか、もののけ姫の舞台になったような場所で、すごく苔が綺麗ですよね。自然に苔が生えていて、水も多いし、日陰もあって、手入れされていないのにきれいに苔が育っている。

そうですね。あと苔は乾燥に弱いので、日当たりには注意が必要です。今ぐらいの時期でも、少し日当たりのいい場所に植えた苔は乾いてカリカリになってしまったりする。苔の庭を作るなら、しっかり日陰を作らないといけないでしょうね。

そうですね。それもありますし、日本庭園はやっぱり「引き算の美学」の庭なんですよね。余計なものを足さず、むしろどれだけ引けるかを考える。デザイン自体も大事ですが、そういう根底の考え方こそが肝だと思います。

ははぁ、面白い。逆に言えば、日本庭園の考え方をきちんと理解した上でなら、海外であっても、「日本庭園風」な庭が作れるのかもしれませんね。地元の素材を使いながら、その国ならではの「引き算の庭」を作るというか。
対談している二人
中島 秀章(なかしま ひであき)
direct nagomi 株式会社 代表取締役
高校卒業後、庭師を目指し庭の歴史の深い京都(株)植芳造園に入社(1996年)。3年後茨城支店へ転勤。2002・2003年、「茨城社長TVチャンピオン」にガーデニング王2連覇のアシスタントとして出場。2003年会社下請けとして独立。2011年に岐阜に戻り2022年direct nagomi(株)設立。現在に至る。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。