庭師でもない。外構屋でもない。京都の老舗での修業を経て、現在は「家に着せる衣服の仕立屋さん(ガーメントデザイナー)」として活動する中島さん。そんな中島さんに「造園とガーメントの違い」「劣化する庭と成長する庭」「庭づくりにおすすめの石材・花・木」「そもそもなぜ庭が必要なのか」といった幅広い話をお聞きしていきます。
第94回 外国人のための庭づくり

以前から何度かお話してますけど、外国人が日本で家を買うケースはこれからもっと増えると思うんです。マナーや治安の懸念も耳にしますけど、純粋に日本が好きで住みたいという方も多いし、悪いことではないんじゃないかと思いまして。

中には日本人よりも日本の文化を大事にしてくれる人もいますしね。そう考えると、外国人向けに「庭を売りにした住宅」を商品化するのも面白いんじゃないかと。例えば建設会社から「外国人が買いたくなる家を作りたいから庭をお願いしたい」という依頼があったら、どんな庭をつくります?

なるほど。確かに家と庭がうまく融合していると、「この家がほしい」と思ってもらえる仕掛けも作りやすそうです。中島さんのお兄さんは建築をやってらっしゃるとお聞きしましたが、もし最初から家と庭をセットで作るなら、どんなお庭になりそうですか?

四季の移ろいや月ごとに花が咲くような庭がいいですよね。それから借景も含めた日本ならではの文化を、庭を通して魅力的に伝えられたらいいなとも思います。

ええ。いくら美しくても、暮らしに馴染まなければ意味がないですから。外国の方でも、伝統的な日本家屋を好む方もいれば、現代的な住みやすさを求める方もいるはずで。…そう考えると、今お作りしている庭とそこまでスタンスは変わらないのかもしれません。

そうですね。個人的には、建物を作るとしても東屋くらいがいいかなと思います。あとは、いくつかの家のお庭をまとめて設計できるなら、お互いの家が借景になるように配置できたら理想ですね。

相手の庭が見えることで、お互いの空間が風景として共有できると。素敵ですねぇ。そうなると、家の設計の段階からしっかり連携できるといいですよね。外国の方向けに、借景を意識したミニ街区みたいなものを作ってみてほしいですね。
対談している二人
中島 秀章(なかしま ひであき)
direct nagomi 株式会社 代表取締役
高校卒業後、庭師を目指し庭の歴史の深い京都(株)植芳造園に入社(1996年)。3年後茨城支店へ転勤。2002・2003年、「茨城社長TVチャンピオン」にガーデニング王2連覇のアシスタントとして出場。2003年会社下請けとして独立。2011年に岐阜に戻り2022年direct nagomi(株)設立。現在に至る。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。