庭師でもない。外構屋でもない。京都の老舗での修業を経て、現在は「家に着せる衣服の仕立屋さん(ガーメントデザイナー)」として活動する中島さん。そんな中島さんに「造園とガーメントの違い」「劣化する庭と成長する庭」「庭づくりにおすすめの石材・花・木」「そもそもなぜ庭が必要なのか」といった幅広い話をお聞きしていきます。
第97回 庭師の給与はどれくらい?

ふーむ、なるほど。とはいえ、この流れは社会全体のものなので、遅かれ早かれ庭師の世界にも影響は出てくると思いますよ。ちなみに個人的にはすごくいいことだと思ってます。腕のいい職人さんに適正な費用が払われるようになるわけですから。

そうそう。ご自身は「実感がない」と仰いましたけど、現に中島さんのもとには海外の仕事が入ってきたり、遠方の他県から呼ばれたりすることも多いわけじゃないですか。それはやっぱり近場に腕のいい職人さんがいないからだと思うんですよ。

でしょう? 特に中島さんのようにオンリーワンの庭造りをしている職人さんは、今後ますます貴重になっていくはずです。そもそも人口減に伴い庭師になる人の絶対数も減るわけで、単純に「庭師が足りない」っていう状況になってくるんじゃないかと。

は〜、そうなんですか。それは意外です。建設業界の一人親方とか、給湯器の交換やエアコンの取付をやる職人さんとかは、普通に年収1000万円以上稼いでいたりするのに。庭師もそういう高収入職種になっていくべきですよ。

ありがとうございます。そう言ってもらえると頑張ってきた甲斐があります。もっとも、例えば定期的な剪定作業なんかだと、なかなか高い料金をいただきづらいんですよね。物価の高騰に合わせて値上げも必要なんですけど、なかなか難しい面もあります。

確かにそうなんでしょうね。ともあれ、例えば旅行業界なんかでは、インバウンド需要もあって宿泊費をとんでもなく値上げしています。それでも満室続きだったりするわけで、やりようによってはうまくいく気がしますけどね。
対談している二人
中島 秀章(なかしま ひであき)
direct nagomi 株式会社 代表取締役
高校卒業後、庭師を目指し庭の歴史の深い京都(株)植芳造園に入社(1996年)。3年後茨城支店へ転勤。2002・2003年、「茨城社長TVチャンピオン」にガーデニング王2連覇のアシスタントとして出場。2003年会社下請けとして独立。2011年に岐阜に戻り2022年direct nagomi(株)設立。現在に至る。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。