第102回 コビトベニエの商品が、高めの値段設定でも売れ続ける理由

この対談について

「日本一高いポスティング代行サービス」を謳う日本ポスティングセンター。依頼が殺到するこのビジネスを作り上げたのは、壮絶な幼少期を過ごし、15歳でママになった中辻麗(なかつじ・うらら)。その実業家ストーリーに安田佳生が迫ります。

第102回 コビトベニエの商品が、高めの値段設定でも売れ続ける理由

安田

私は常々、世の中には「商品がある会社」と「商品がない会社」があると思っていまして。なかなかこの意味を理解してくれる経営者さんは少ないんですけど。


中辻

おもしろそうな話ですね。詳しく教えてほしいです。

安田

例えば「どんなポスティングでもお任せください」という会社は「商品がない会社」。でも「日本一高いポスティング会社です」という会社は「商品がある会社」。


中辻

あ〜つまりその会社を選ぶための「優位性」とか「特徴」のことですか?

安田

そうですそうです。それがない会社は結局のところ価格で競争するしかない。価格でしか競争できない=商品がない、というのが私の感覚で。ちなみに中辻さんにとって「商品」ってなんですか?


中辻

そうだなぁ…やっぱり「自分たちが自信を持って販売できるもの」じゃないですかね。要は、「自分がその価格を出してでも買いたいもの=商品」なのかなと。実はこれ、昔安田さんに言われた言葉からの発想なんですけどね。

安田

営業マンが「ウチの商品高過ぎ…」と思いながら売っていたら、契約が取れるわけないって話ですね。


中辻

そうそう。「これだけの価値があってこの値段なんて、大特価ですよ!」というくらいの自信を持って売るべきだって。これは今でも私のビジネスの根幹になっている部分なんですよ。

安田

なるほど。逆に言えば、自社の商品に自信を持っているからこそ、値段設定も高くできるわけなんですよね。


中辻

仰る通りです。だから例えば、商品価値としては100万円くらいだけど「儲けたい」から150万円に設定する、っていうのはダメ。150万円で売りたいなら、ちゃんと150万円の価値がある商品を考えないと、っていうことです。

安田

本当ですよね。でも大半の人って、目先の利益計算から始めません? 「原価率3割にしたいから、これくらいの値段で売ろう」というように。


中辻

そうなんですよ。もちろん利益計算が大事なのはわかります。ただ、「自分がお客さんだったら、この商品を買いたいか」というのは常に意識するべきで。それでもし「買いたくないかも」と思ってしまうのであれば、もっと商品のブラッシュアップをしたり、プラスアルファの強みや付加価値をつけるべきだろうなと。

安田

ふむふむ。じゃあ『コビトベニエ』の商品も、価値と値段が釣り合っているわけですね。


中辻

それはすごく意識してますね。ウチで一番よく売れているのが「7cmサイズのチョコがけチュロス」が5本入っている商品なんですけど、これが780円なんです。

安田

チュロス事情には詳しくないですが、映画館で買える長いチュロスも4〜500円で買えますよね。そう考えると、ちょっとお高めな値段設定の気がします。


中辻

そうなんです。でも私はその値段で絶対売れると思いましたし、こだわって作っているからそれ以下の値段では出さないと決めて。結果、ありがたいことにめちゃくちゃ売れていまして。

安田

素晴らしい。つまりお客さん側からみても、値段と価値のバランスが取れているわけですね。そういえば以前の対談でも、プレオープン期間にも関わらず、材料の配合を変えてみたって仰っていましたよね。


中辻

ええ。その当時って、私以外のスタッフが仕込みをすると、微妙に味が変わってしまうことがあったんです。私が求めているよりも低いクオリティのものしかできなかった時は、すぐにお店を閉めてやりなおしたりして。

安田
え、当日急に店休日にしちゃったってことですか? どんな理由を書いてお休みにしていたんです?
中辻

正直に、「本日は仕込みがうまくいかず、ご提供できるクオリティの商品ができなかったため、閉店します」って。

安田

すごい(笑)。でもある意味いい宣伝にもなりますね。「それだけクオリティを重視した商品を提供してくれるのか」って。


中辻

私たちからしたら「30日の中のたった1日の失敗」かもしれないけど、お客様にとっては初めてウチの商品に出会う日になるかもしれないじゃないですか。そう考えたら、同じ金額をいただいている以上、クオリティは一定であるべきだと思いますね。

安田

いやぁ〜素晴らしいですよ。「商品力が大事」なのは周知の事実ですけど、多くの経営者が「そこそこの商品」で満足してしまう気がします。もっとお客さんに「ここまでやってくれるの?!」と思わせられる「なにか」がないと、「商品」にはならないんでしょうね。


中辻

もちろん利益を薄くして数を取るために、それなりの商品でいくという戦略もあるとは思いますが。でも私はヤクルトレディの時から自分の売るものに自信を持ちたかったんです。だからいつも「唯一無二」を目指すブランディングを目指しています。

 


対談している二人

中辻 麗(なかつじ うらら)
株式会社MAMENOKI COMPANY 専務取締役

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1989年生まれ、大阪府泉大津市出身。12歳で不良の道を歩み始め、14歳から不登校になり15歳で長女を妊娠、出産。17歳で離婚しシングルマザーになる。2017年、株式会社ペイント王入社。チラシデザイン・広告の知識を活かして広告部門全般のディレクションを担当し、入社半年で広告効果を5倍に。その実績が認められ、2018年に広告(ポスティング)会社 (株)マメノキカンパニー設立に伴い専務取締役に就任。現在は【日本イチ高いポスティング代行サービス】のキャッチコピーで日本ポスティングセンターを運営。

安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 

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