さよなら採用ビジネス 第39回「リストラと優良企業の境目」

この記事について

7年前に採用ビジネスやめた安田佳生と、今年に入って採用ビジネスをやめた石塚毅による対談。なぜ二人は採用ビジネスにサヨナラしたのか。今後、採用ビジネスはどのように変化していくのか。採用を離れた人間だけが語れる、採用ビジネスの未来。

前回は 第38回「99%の人はもう、頑張らなくていい」

 第39回「リストラと優良企業の境目」 


安田

石塚さんの予言が、どんどん現実になってます。

石塚

私の予言がですか?

安田

早期退職者を募集している大企業が、十数社あるんですけど。

石塚

はい。多分もっとあるでしょうけど。それが?

安田

その対象が、絵に描いたように「45歳以上」っていう。1社だけ44歳で、残りはぜんぶ45歳。石塚さんの45歳定年説、見事的中です。

石塚

いやいや(笑)そんな。予言とは言えませんよ。当然の帰結です。

安田

しかも、その十数社に共通しているのが、東証1部上場企業ということ。「東証1部に入っときゃ安心」みたいなものが、崩れてきてます。

石塚

今度、東証1部の基準見直しするじゃないですか。

安田

基準の見直し?

石塚

要は、東証1部企業を仕分けするんですよ。

安田

仕分け?

石塚

はい。「プレミアム市場を創設するから、東証1部からは抜けてください」と。

安田

じゃあ、「1部」のさらに上が、できるってことですか?

石塚

そうです。「A・B・C」じゃなくて「S・A・B・C」みたいになる。

安田

Sランク?

石塚

せっかく東証1部に入ったのに、「優良企業をさらに選別します」っていう。

安田

じゃあ、Sランクに入るような企業は、さすがにリストラしないんですか?

石塚

いや、どんどんします。逆に、余裕があるからそれができるっていう。

安田

なんと!じゃあ、従業員から見たら、ぜんぜんSランクじゃないですね。

石塚

内部留保もうんとあるし、不動産も持ってるし、割増退職をつけてでも「この船を下りていただけませんか?」と言える企業。

安田

それがSランク企業だと?

石塚

だって、体力がなければ、もう維持するしかないじゃないですか。

安田

金払ってでも「従業員をやめさせられる会社」が、真の優良企業なのだと。

石塚

そういうことですね。

安田

これって、いつまで続くんですか?

石塚

これと言うのは?

安田

45歳以上の何パーセントが退場するまで、このリストラは続くんですか?

石塚

うーん、逆に安田さんに聞きたいんですけど。

安田

はい。何でしょう?

石塚

仮に100人の会社を経営してたとして、社風が一変するのって、新卒が何%ぐらいになった時ですか?

安田

社風が一変?うーん……30%ぐらいですかね。

石塚

30%だと、激変しますよね?

安田

はい。1割じゃあんまり、変わらない気がします。

石塚

1割では変わらないですよね。僕は、その境目、25パーセントだと思ってるんですよ。

安田

25%ですか。

石塚

はい。25%を超えると変わっちゃうんですよ、会社の雰囲気が。

安田

なるほど。

石塚

すると逆も言えて、いなくなる方も25%を切ると、その層の影響力がなくなる。

安田

つまり、75%以上辞めてくれれば、影響力がなくなるってことですか?

石塚

そういうことです。

安田

じゃあ、 75%が辞めるまで、リストラは続くと?

石塚

本音を言えば、企業側は99%辞めて欲しいのです。

安田
そうなんですか!
石塚

もちろんそうです。誰も本音を言えないから、代わりに言いますけど。

安田

ほぼ全員辞めて欲しい?

石塚

生産性の低い45歳以上は、全員辞めてほしいんですよ。

安田

石塚さんから見ると、45歳以上で給料に見合わない、生産性が低い人の割合って、どのぐらいなんですか?

石塚

ゆるーく言って8割はそうでしょうね。

安田

8割は給料に見合わない?

石塚

はい。厳しく言うと5%だと思います。

安田

じゃあ、95%は赤字?

石塚

でしょうね。

安田

若手でも十分、その仕事はできちゃうと?

石塚

上が居なくなれば。むしろ居ることが、害になってる。

安田

早期退職って、人数限定してますよね?

石塚

目標人数は決めてますね。

安田

「予想より、たくさん来ちゃった」みたいなニュースを見かけますけど、じつは企業側は喜んでいるんですか?

石塚

基本的には喜んでます。ただ、早期の募集ほど、優秀な人も抜けていくんですよ。だから「あぁ〜」っていうのも、ありますね。

安田

やっぱり、そうなりますか。

石塚

それをチャンスと捉える人って、本当は残ってほしい人なんですよ。

安田

ですよね。発想がポジティブですもんね。

石塚

いちばん困るのは、周囲の誰もが「おまえだろ。おまえこそ応募しろよ」って人が、第2次、第3次にも応募しないこと。

安田

しがみついてる?

石塚

2000年前後には、「辞めさせ屋」っていう仕事があったぐらいですから。

安田

ありましたねえ。「研修」と言いながら、退職を決意させるみたいな。

石塚

「クビキラー」なんて言われて。

安田

今でもあるんですかね?

石塚

今もカタチを変えて、ありとあらゆることをして、辞めてもらうんですけど。

安田

でも、辞めない?

石塚

敵もさる者っていう、話ですよね。本当に辞めて欲しい人はしがみつく。

安田

実際どうなんですか。100人「辞めます」って中に、何割ぐらい優秀な人が入っちゃうものなんですか?

石塚

早期は、かなりの割合が入ると思いますよ。

安田

そうなんですか。

石塚

はい。新宿の某百貨店は、5分足らずで終わったらしいです。

安田

応募が殺到したってことですか?

石塚

だって、5,000万円ですよ。

安田

じゃあ、優秀な人が?

石塚

はい。みんなすぐクリックですよ。

安田

クリック?

石塚

幼稚園とかの応募と一緒ですよ。みんな画面の前にいて「よし、クリック!やったあ!」みたいな。

安田

応募する人って、みんな優秀なんですか?

石塚

あるいは、自分か奥さんの実家が、割とお金持ちとか。

安田

辞めても食っていけると。

石塚

それと、早く結婚して子どもが卒業した人。「もういいよ俺」みたいな。

安田

なるほど。

石塚

「逃げ切れる」という見込みをもってる人は、早いですね。

安田

ちなみに、優秀な人って、みんな抜けていくんですか?

石塚

いや、そこはエリート社員の自負があって「俺はどんなことがあっても、最後まで残るぞ!」って人もいます。

安田

どれぐらい居るんですか?

石塚

半々かな。

安田

ちなみに「絶対俺は一生しがみつくぞ!」って人たちは、最終的にはどうなるんですか?

石塚

もう、しがみつく人たちは「何があっても耐える」っていう感じですね。ある年齢になると役職定年が始まるんですけど。

安田

「給料が下げられちゃう」っていうやつですね。

石塚

そうです。でも、どんなにボディーブローが効いてきても、とにかく耐えると。

安田

もし、石塚さんのお友達だったら、何てアドバイスします?辞めたら絶対食えないって人に。

石塚

「耐えしのげ」って言います。

安田

「どんなにしんどくても、しがみつけ」と。

石塚

「置かれた場所で咲きなさい」の一言でしょうね。


石塚毅
(いしづか たけし)
1970年生まれ、新潟県出身。前職のリクルート時代は2008年度の年間MVP受賞をはじめ表彰多数。キャリア21年。
のべ6,000社2万件以上の求人担当実績を持つ求人のプロフェッショナル。

安田佳生
(やすだ よしお)
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。

 

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