「日本一高いポスティング代行サービス」を謳う日本ポスティングセンター。依頼が殺到するこのビジネスを作り上げたのは、壮絶な幼少期を過ごし、15歳でママになった中辻麗（なかつじ・うらら）。その実業家ストーリーに安田佳生が迫ります。
第12回 少子化を止める2つのポイント
今日は「日本の少子高齢化問題」について、中辻さんのお考えを聞かせていただこうかと思います。
はい、よろしくお願いします。
私は少子化って普通のことなんじゃないかと思ってるんですよ。全国民が結婚して2人ずつ子どもを作って、ようやく国民の数が維持できるわけですから。
たしかにそうですね。2人以上子どもがいなければ、国民の数は増えませんよね。
ただ、若い女性の中には子どもを作りたくないという方も増えているわけで。
そういう面でも少子化は進んでしまっているのかもしれませんね。
中辻さんは、どうして日本が少子化になっていると思いますか？
そうですね、理由は2つあると思います。1つは夫婦共働きが増えている点。昔は、基本的にご主人が外で働いて、奥さんが家で家事や育児をしていましたよね。
それがスタンダードでした。
お給料が良かったのか、物価が安かったのか、理由は定かでないですが。とにかくご主人のお給料だけで家族を養えていたんだと思うんです。
つまり今は、経済的に問題があるから少子化が進んでいるということですか。
そうだと思います。そもそも、昔は奥さんが外で働くことは珍しいことだったんですよね？
たしかに、働く女性は白い目で見られましたね。
でも今は逆に、はっきり言って、ご主人の収入だけで家族を完全に養えているお家って少ないと思うんです。
今、専業主婦は全体の3割以下って言われていますからね。
つまり、女性が外で仕事をする時間が増えたことで、子育てできる時間が昔ほど取れなくなった。それが少子化に繋がっているんじゃないのかな、と。
なるほど、それが1つ目の理由ですか。2つ目はなんでしょうか？
これは1つ目の理由とも繋がってくるんですが。女性が働かなくてはいけない機会が増えたのに、子どもがいることで様々な制約を背負わなくてはいけない社会だから、ですね。
子どもがいると働きづらいから、子どもは1人でいいや、とか、まだいらないや、という風に考えるということですか？
そういう思考になっている女性が多いのかなあ、とは個人的に思っています。
じゃあもしも中辻さんの最初の結婚相手が年収3000万くらい稼ぐような人だったら、今頃、5人くらい生んでいたかもしれませんか？
外で働くことの大変さ・楽しさ・達成感など、自分が社会に貢献する喜びを一度も味わっていなかったら、野球チームを作れるくらい生んでいたかもしれませんね（笑）。
今のように経営までやって仕事が楽しくなっていると、それをゼロにして専業主婦になろうとは、全く思わないですか。
思わないですね。1週間くらい仕事のことを完全に忘れてナスカの地上絵でも見に行きたいな〜なんて思いますが、たぶんすぐに飽きると思います（笑）。
そうでしょうね（笑）。
とは言え、機会があれば…という言い方も変ですけど（笑）、2人目がいてもいいかなとも思いますけどね。
なるほど。ちなみに昔って、旦那さんは外で仕事をする以外、本当に何もしなかったんです。子育てどころか、醤油も自分で取らない、みたいな（笑）。
そうなんですか？
それに比べると、今は共働き世帯も多くなって、昔よりは家事・育児をやってくれる旦那さんが増えたと思うんですが。それでも少子化改善の手助けにはならないですかね？
おっしゃる通り、そういうご主人は増えていると思います。でも働く時間は日中ですよね？そうすると結局、昼間の子どもの預け先問題に直面するんです。
なるほど。子どもがいることで、働く場所や時間に制約が生まれてしまうわけですね。
はい。会社側が理解してくれなければ、気持ちよくお仕事できない。でも気持ちよくお仕事させてくれる会社がすぐに見つかるわけではないかもしれない。
だから、いろいろ制約がありつつも保育園に預けて働かざるを得ない、と。
そうです。そうやって1人で頑張って仕事も子育てもしていても、結局はキャパオーバーになって、もう2人目は無理！となってしまうのかもしれませんね。
たとえば夫婦ともに、子育てにすごく協力的な会社で働いていたとしますよね。そうすると2人までは作る気はするんです。でもそこから3人4人と増えると思いますか？
うーん、どうだろう。そもそも最近は、昔のように「子どもはたくさん生んだほうがいい」というような風潮はなくなりつつありませんか？
そうですね。昔は5人兄弟、6人兄弟が普通でしたけど。今は社会的な見方が変わってきていますね。
そうですよね。それに子育てってすごくお金がかかりませんか？それも子どもが増えない要因に大いに関係していると思います。
まさにそうですね。ただ成人まで育てりゃいいというわけでなく、できるだけ教育も受けさせて、好きなこともやらせてあげて、と思っちゃいますもんね。
そうですそうです。子どもが1人ならその子に全力投球できますけど、5人も子どもがいたらとんでもないことになりますよね（笑）。
ということは、夫婦ともに子育てにある程度の理解がある会社で働きつつ、なおかつ平均以上に稼いでいるような状態でないと、なかなか3人目は産まないよ、ということになりそうですね。
結論、そうなると思います。
なるほど。少子化を食い止めるのは、この2つの要因をクリアにすることが鍵になりそうですね。わかりました。ありがとうございました。
対談している二人
中辻 麗（なかつじ うらら）
株式会社MAMENOKI COMPANY 専務取締役
1989年生まれ、大阪府泉大津市出身。12歳で不良の道を歩み始め、14歳から不登校になり15歳で長女を妊娠、出産。17歳で離婚しシングルマザーになる。2017年、株式会社ペイント王入社。チラシデザイン・広告の知識を活かして広告部門全般のディレクションを担当し、入社半年で広告効果を5倍に。その実績が認められ、2018年に広告（ポスティング）会社 (株)マメノキカンパニー設立に伴い専務取締役に就任。現在は【日本イチ高いポスティング代行サービス】のキャッチコピーで日本ポスティングセンターを運営。
安田 佳生（やすだ よしお）
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク（BFI）代表。
