第17回 「コミュニケーションが苦手な人」に対する誤解

この対談について

「日本一高いポスティング代行サービス」を謳う日本ポスティングセンター。依頼が殺到するこのビジネスを作り上げたのは、壮絶な幼少期を過ごし、15歳でママになった中辻麗(なかつじ・うらら)。その実業家ストーリーに安田佳生が迫ります。

第17回 「コミュニケーションが苦手な人」に対する誤解

安田

今回でこちらの連載も17回目を迎えますが、どうですか? 周りの方から何か言われたりとか。


中辻

ありがたいことにすごく反響があるんです! 記事が公開されたらTwitterでお知らせするようにしているんですが、いろいろな方がいいねしてくれたり、コメントをくださって。

安田

おお、それは嬉しいですね。私もよく中辻さんのTwitterを拝見しているんですけど、ほぼ毎日更新されてますよね。反響が取れるチラシの作り方とか、部下とのやりとりとか。


中辻

わあ、ありがとうございます。私が投稿しているのは「ポスティング会社あるある」なので、特に同業他社の方が共感してくださるみたいです。この連載をきっかけにポスティング業界で新しいことができそうな気がしています。

安田

それは楽しみですね! 最近は採用目的でTwitterを始める経営者も多いようですから、中辻さんのTwitterが「ポスティングスタッフ採用」につながることもあるかもしれませんよね。


中辻

そうですね、そうなれば嬉しいです!

安田

さて今回は、「どんな人がポスティングスタッフに向いているのか」をお聞きしたいんですが。ポスティングスタッフに求められることってズバリ何でしょう。


中辻

そうですね。まずは「決められたエリアに、決められた期日内で、決められた枚数を配る」ということです。もちろん配布エリアは絶対に間違えてはダメ。これがポスティングスタッフさんに最低限守っていただくことですね。

安田

なるほど。最低限、ということは他にもあるわけですか?


中辻

はい。プラスアルファで、「クレームを起こさない」「広告の効果が実感できる反響を出す」といったことが求められますね。

安田

ははぁ。でも、そんなことまで考えて配ってくれる人なんていますか?


中辻

一般的な基準で言えば、かなり高いレベルですよね。でも、ウチのスタッフさんはみんな意識してやってくれています。

安田

いや、すごいですね。優秀なポスティングスタッフが揃っていると。


中辻

ええ。ウチが「日本一高いポスティング会社」でいられるのはそれが理由なんです。しっかり結果が出るから、値段が高くても依頼してくださる企業様がいるわけで。

安田

会社のブランド力を高めているのは、ポスティングスタッフさん自身だというわけですね。


中辻

仰る通りです。私はいつも、チラシの反響を決定するのは「配り手5割・チラシのクオリティ5割」という言い方をしているんです。…でもここだけの話、もう少し配り手さんの比率が高いと思っています。

安田

なるほどなあ。ちなみに中辻さんから見て「優秀なポスティングスタッフさんの共通点」はありますか?


中辻

これは体感の話ですが、ポスティングでいい成績を残してくれる方は、もの静かだったり人見知りの方が多い気がします。もちろん全員がそうというわけではないのですが。

安田

へえ、そうなんですね。どちらかと言うとコミュニケーションを取るのが苦手、という方が多いということでしょうか。


中辻

ええ。ただ、そういう方って自分の気持ちを言葉にするのが苦手なだけで。こちらがしっかり聞く姿勢を見せれば、ものすごくしっかりと話をしてくれますよ。

安田

なるほど。不特定多数の人と積極的にコミュニケーションを取るというより、個々のコミュニケーションを大切にする感じですかね。


中辻

そうかもしれません。それでいうと以前、スタッフさんに実際に言われたのが「クライアントさんは、私たちが仕事を頑張る直接的な理由にはならない」と。つまり、彼らにとって大事なのは、雇用会社との関係性なんですって。

安田

確かにポスティングスタッフさんからすれば、クライアントさんは顔も見えない知らない人ですからね(笑)。


中辻

ええ。だからこそ私も、彼らが仕事しやすい環境づくりのために、たくさんコミュニケーションを取るようにしています。スタッフさんたちも私にガンガン意見をくれますね。良いことも悪いことも。

安田

そういうことなんですね。その人の気持ちをうまく引き出してあげることが大切だということか。


中辻

そうなんです。というのも、私も実はコミュニケーションが得意な方ではないんですよ。

安田

ええ?! それはだいぶ意外ですけれど(笑)。


中辻

仕事中はもちろん言うべきことは言うんですけど、プライベートでは自分から話しかけることなんてほぼないです(笑)。思っていることや伝えたいことはいろいろあるんですけど、うまく言葉にできなくて。

安田

へぇ。そういう中辻さんだからこそ、スタッフの方も心を開きやすいのかもしれませんね。


中辻

ああ、そうなのかもしれません。やっぱり世の中、自分からどんどん発言していく人にスポットが当たりやすいですよね。でもそういう人たち以外にも、才能を持っている人たちはたくさんいるんじゃないかと思ってます。

安田

中辻さん自身もその1人だと。でも実際ポスティングって、あまり社交的でない方が才能を発揮しやすい仕事なのかもしれませんね。基本的に1人での作業なわけで、他人とコミュニケーションを取る必要がないですし。


中辻

まさにその通りです。でも、ここがまた興味深いところなんですが、世の中に「誰からも一切話しかけて欲しくない」って人はいないんです。やっぱり皆、自分の気持ちをわかってもらいたいし、褒めてもらいたい。だから私は、配布してくれたチラシの成果はちゃんと伝えるようにしているんです。

安田

ははぁ、なるほど。それはいいですね。次も頑張るモチベーションになりそうです。


中辻

ええ。「あなたのおかげでこんなに反響があって、お客さんも喜んでくれたよ」と言われたら、誰だって嬉しいですよね? だから私はそういうコミュニケーションのとり方を心がけています。

安田

なるほど。普段、あまり人との関わりを積極的に持たない人ほど、一度心を開いてくれたら、強い絆ができるのかもしれません。


中辻

そうだったら嬉しいなと思っています。

安田

そういう中辻さんの姿勢がスタッフさんのモチベーションアップにつながって、結果として会社に大きな成果をもたらしてくれるんでしょうね。

 


対談している二人

中辻 麗(なかつじ うらら)
株式会社MAMENOKI COMPANY 専務取締役

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1989年生まれ、大阪府泉大津市出身。12歳で不良の道を歩み始め、14歳から不登校になり15歳で長女を妊娠、出産。17歳で離婚しシングルマザーになる。2017年、株式会社ペイント王入社。チラシデザイン・広告の知識を活かして広告部門全般のディレクションを担当し、入社半年で広告効果を5倍に。その実績が認められ、2018年に広告(ポスティング)会社 (株)マメノキカンパニー設立に伴い専務取締役に就任。現在は【日本イチ高いポスティング代行サービス】のキャッチコピーで日本ポスティングセンターを運営。

安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 

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