「日本一高いポスティング代行サービス」を謳う日本ポスティングセンター。依頼が殺到するこのビジネスを作り上げたのは、壮絶な幼少期を過ごし、15歳でママになった中辻麗(なかつじ・うらら)。その実業家ストーリーに安田佳生が迫ります。
第47回 日本一「チラシを撒かない」ポスティング会社

以前、中辻さんがX(旧Twitter)で「見込みエリアを丸見えにする分析がある」と発信していましたよね。

あれを読んで不思議だったのが、なんでこんなに多角的に分析できるのかなと。だってポスティングって、やっていること自体はすごく単純じゃないですか。「もらったチラシを撒く」だけ。何をそんなに分析することがあるのかなって思ったんですよね。

はい。私たちはポスティング依頼を受けた段階で、クライアント様に反響データを共有してもらうシートを作るんです。で、問い合わせや来店などの反響があれば、その情報をすぐに丁目単位で入力していただくようにしています。

笑。例えば拠点からの距離感が同じようなエリアでも、反響の数に差が出ることがあります。その時に調べるのが、各エリアの世帯収入比率や年齢層、性別。それから戸建て・マンション・団地など、物件の建ち方も重要です。

国が所有している国勢調査や住民基本台帳のデータがあるんですが、『ゼンリン』と言う会社がそれを使ったビックデータを持っているんです。私たちはそのビッグデータを活用して、町・丁目単位で細かなデータを得ることができるんです。

なるほど。ということは、そういうデータ分析の結果、隣の町までチラシが入っているのに、自分の町にはチラシが来ないという場合もあるわけですね。それは「この町に住んでるあなた達は、どうせ来店しないでしょ?」ということがバレてしまっていると(笑)。

…まあ、そうかな(笑)。というか、ポスティングをするとなったときに、ほとんどの方は「店から1km圏内全部にローラー配布するぞ」って言うんですよ。でも私たちはその1km園内にも「絶対に配布する必要がないエリア」も含まれているはずだ、と思うんです。

そういうことです。ウチって1枚あたりの配布単価は高く設定していますが、配布エリアをしっかり見極めることで「分母=配る枚数」はできるだけ最小限にし、「分子=反響数」をたくさん取るというやり方をしていて。だから基本的に配布枚数は、他社さんよりウチのほうが少ないんですよね。

もちろんそうなんですけどね(笑)。でもそこはプロとしてしっかり精査して、たとえお客様が「2万枚配りたい」と仰っても、「いやいや、ここは1.5万枚で十分です」というようなお話をすることもしょっちゅうありますね。

はい。それが先日Xにも書いた「人流データ」を駆使した分析方法です。

そうですそうです。一般の人たちのGPSの動きを見ることで、例えばこのエリアの飲食店を訪れる人は、どこから一番多く来ているか、などのデータがわかるんですよ。


対談している二人
中辻 麗(なかつじ うらら)
株式会社MAMENOKI COMPANY 専務取締役
1989年生まれ、大阪府泉大津市出身。12歳で不良の道を歩み始め、14歳から不登校になり15歳で長女を妊娠、出産。17歳で離婚しシングルマザーになる。2017年、株式会社ペイント王入社。チラシデザイン・広告の知識を活かして広告部門全般のディレクションを担当し、入社半年で広告効果を5倍に。その実績が認められ、2018年に広告(ポスティング)会社 (株)マメノキカンパニー設立に伴い専務取締役に就任。現在は【日本イチ高いポスティング代行サービス】のキャッチコピーで日本ポスティングセンターを運営。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。