第8回 「良いチラシ」と「ダメなチラシ」の違い

この対談について

「日本一高いポスティング代行サービス」を謳う日本ポスティングセンター。依頼が殺到するこのビジネスを作り上げたのは、壮絶な幼少期を過ごし、15歳でママになった中辻麗(なかつじ・うらら)。その実業家ストーリーに安田佳生が迫ります。

第8回 「良いチラシ」と「ダメなチラシ」

安田

ポスティングという事業の効果を出すためのセンターピンは「配布スタッフの質や満足度」「チラシの中身」「エリア選定」、この3つということで合っていますか?


中辻

本当にその3つですね。あとは「配布を続けていただくこと」ですかね、やっぱり。

安田

同じエリアに何度も配り続けることで認知度が上がって、集客につながる、と。


中辻

……と思う方がいらっしゃるんですけど、実はそうではないんですよね。

安田

え?違うんですか?


中辻

もちろんそういう要素もあります。チラシって見てもらうだけで記憶には残りますし。でも私が続けてほしいとお伝えする一番の理由は、他の広告に比べて、ポスティング広告は配布エリア内のデータを取りやすいからなんです。

安田

と言うと??


中辻

例えばWeb広告だと、拠点から半径何キロの人に広告を表示する、という設定はできますが、それ以上の設定は難しい。でもポスティングはより細かなエリア選定ができます。

安田

なるほど。丁目単位とか、ここの線路まで、などの細かい設定ができるのか。


中辻

それがポスティングの魅力ですね。で、その複雑なエリアの中で、いつ・どこで・どんな人から・どういう問い合わせがあった、というデータがものすごく取りやすいんですよ。

安田

反響のあるデータを収集するためにも継続して配布してね、ということですね?


中辻

はい。数ヶ月ほど継続してデータを収集することで、「エリアの特性」とも呼べるような詳細が分かってくるんです。どのエリアが問い合わせが多いとか、逆になぜかここからは問い合わせがないとか。

安田

なるほど。そのデータを元に次の分析や戦略につなげるんですか?


中辻

そうです。例えば40代がターゲットなのに、実際は20代からの問い合わせが多かったとしたら、チラシが若い人向けになっているのかな?エリアが違うのかな?とかいろいろ考えながらブラッシュアップし、より費用対効果を上げていけるんです。

安田

そこまでしっかり考えているんですね。


中辻

はい。だからこそ続けて欲しいんですよ。ポスティングって、1回パッと配って終わり、という広告ではないんですよね。

安田

1回のみの配布だと、たとえMAMENOKI COMPANYと言えどもギャンブルみたいになっちゃう。でも長い間継続してくれるのであれば必ず成果を出していきますよ、ということですね。


中辻

おっしゃるとおりです。もちろん1回だけですごくうまくいくこともありますよ?でも1回だけしかやらない博打みたいなものであれば、わざわざお金をかけてチラシを作って印刷して配布エリアを決めるといういう費用が逆にもったいないな、と。

安田

ポスティングをやるからには、そこまで細かな精度を上げるべきなんですね。そうすることでWebよりもさらに緻密なマーケティングが可能というわけですか。


中辻

はい、それがポスティングの一番の魅力なんですよね。でもそこは私がまだ伝えきれていないというか、まだまだ浸透していない部分ではありますねえ。

安田

すごいガンガン伝わってきていますけど(笑)。ちなみにチラシの中身というのは、どれくらい影響するんでしょうか?


中辻

そうですね、私がお伝えしているのは、「ポスティング会社の質」と「チラシの質」は、5割・5割、ということですね。

安田

じゃあ、質の悪いチラシを持ってきて「とにかくこれを配ってほしい」と言われても、「いや、こんなんじゃ成果は出せません」って言うんですか?


中辻

言います(笑)。今はお持込のチラシは減りましたけど。それでも、もともと持っているチラシを配ってほしいと言われた場合は、必ず事前に見せてもらうようにしています。

安田

見たらわかりますか?これはちょっとイマイチだなあ、とか。


中辻

あ、それはすぐわかりますね。チラシ診断で年間数千枚のチラシを見ていたり、自分たちで毎月何百枚というチラシを配布していたりするので、当たるチラシやトレンドのチラシというのも、それなりに理解しているつもりですね。

安田

「良いチラシ」と「ダメなチラシ」を見分けるコツってあるんですか?


中辻

「シンプル」「読み手にどう動いて欲しいかがパッと見て伝わる」「掲載している画像がキレイ」。この3つですね。

安田

見た目が悪いと、まずダメってことですね。


中辻

はい。やっぱり1番良くないのが、頑張ってお写真とかをたくさん載せていても、明度が暗いとか画質が悪いっていうのって、逆にすごく……言い方は悪いんですが、貧乏くさく見えちゃうんですよ。

安田

確かに(笑)。


中辻

汚い写真などを載せているとレベルの低い会社に見えてしまうので、お写真を載せる時は、明るさや画質がしっかりとチラシ向けになっているものにするべきですね。

安田

なるほど。文字が少なくて、写真がキレイで……3つ目はなんでしたっけ?


中辻

チラシを手にとってくれた人にどう動いて欲しいかが伝わるチラシです。例えば学習塾のチラシ。「小学生のお子さんに向けたチラシです。1度、塾の体験授業に来てください」というように、誰に・どういう風に動いて欲しいか、が伝わらなくてはいけません。

安田

その学習塾のイベントのチラシだとして、親が子どもに「行ってみる?」と言わせるチラシと、子どもが親に「これ行きたい!」と言わせるチラシは、違うってことですか。


中辻

そういう考え方になりますね。あとは「どういう子どもに向けたチラシか」というところまでターゲティングできていて、ペルソナがしっかりしているほうが反応が良いです。

安田

やはりそうですか。


中辻

大手の学習塾さんとは違い、個人経営の学習塾さんってネームバリューでは勝てないですよね。だからターゲットをどんどんミニマム化していくんです。

安田

なるほど。


中辻

大手の集団塾に馴染めなかった子ども向けとか、不登校のお子さん向けとか、「誰に向けて配っているチラシか」ということを明確にする。

安田

それが反響につながるということはわかるんですけど。塾の経営者自身がターゲットを明確に語れない場合はどうしてます?取材して提案するんですか?


中辻

はい、しますね。あとは地域性も加味したアドバイスもします。過去には、市営住宅が多く世帯所得の低めなエリアに向けて「大阪府の助成金を使うとこれくらいの安い費用で塾に通えますよ」といった打ち出し方のチラシはどうか、という提案もしましたね。

安田

へえ。なんだかもうポスティング屋さんを超えていますね。どういう風に見せたら売りやすいかということを考えているわけですから。それって私がやっている仕事に近い気がします。


中辻

逆にそこまで考えられないと、ポスティング会社や広告屋って務まらないかなと思います。どこの会社さんも、自分達で良いと思った販促や集客をしているけどそれがうまくいっていないから、私にご相談してくださるので。

安田

確かにそうですね。


中辻

だからこそ「こういう方向でいきませんか?」と提案し、軌道修正しながら、しっかり集客できるように導くのが、私の役目だと思っているんです。

安田

なるほど、すごいな。ポスティングはただ配布すればいいわけじゃない。そこに至るまでには緻密な戦略を練っていく必要があるということなんですね。

 


対談している二人

中辻 麗(なかつじ うらら)
株式会社MAMENOKI COMPANY 専務取締役

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1989年生まれ、大阪府泉大津市出身。12歳で不良の道を歩み始め、14歳から不登校になり15歳で長女を妊娠、出産。17歳で離婚しシングルマザーになる。2017年、株式会社ペイント王入社。チラシデザイン・広告の知識を活かして広告部門全般のディレクションを担当し、入社半年で広告効果を5倍に。その実績が認められ、2018年に広告(ポスティング)会社 (株)マメノキカンパニー設立に伴い専務取締役に就任。現在は【日本イチ高いポスティング代行サービス】のキャッチコピーで日本ポスティングセンターを運営。

安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 

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