第248回「もう学校は要らない!?」

この記事について

2011年に採用ビジネスやめた安田佳生と、2018年に採用ビジネスをやめた石塚毅による対談。なぜ二人は採用ビジネスにサヨナラしたのか。今後、採用ビジネスはどのように変化していくのか。採用を離れた人間だけが語れる、採用ビジネスの未来。

前回は 第247回「新たな人気職種の誕生」

 第248回「もう学校は要らない!?」 


安田

いま通信制の高校がすごく人気らしいです。

石塚

N高とか。

安田

学校に行くのが「時間の無駄だ」と考える学生が増えてきているそうで。日本の学校教育はもう末期的に見えますね。

石塚

いや、当然の結果ですよ。

安田

そうですか。

石塚

だって僕も安田さんも、いま中学生だったら絶対2人ともN高校ですよ。

安田

可能性はありますね(笑)

石塚

いや、可能性あるどころか、安田さん100パーセントN高校ですよ。

安田

100%ですか。

石塚

間違いない。

安田

毎日学校に行くのは面倒くさかったですけど(笑)

石塚

コンテンツも豊富だし。林修級の先生から習えるんですよ。

安田

たしかにそうですね。

石塚

先生の影響で教科嫌いになる子って、めちゃくちゃ多いんですよ。

安田

通信だったら好きな先生を選べますもんね。

石塚

質も高いし。選択肢も増えるし。

安田

通信で先生をやりたい人って多いんでしょうか。

石塚

だって稼げるから。普通の学校だったら生徒数は40~50人が限界なので。

安田

オンラインなら何百人、何千人の生徒が授業を受けることも可能ですよね。すごい収入を稼ぐ先生とか出てきそう。

石塚

平均給与も悪くないはずです。生徒の数に対して先生の人数が少ないから。

安田

確かに。

石塚

ちなみにN高校の在籍数って何人かご存じですか。

安田

いや、知りません。

石塚

2万人ですよ。

安田

え!2万人もいるんですか?

石塚

そう(笑)

安田

もう日大レベルじゃないですか。

石塚

世界一生徒数の多い高校です。

安田

知り合いにも「N高に入った」「N高に移った」って人がいます。

石塚

いろんなパターンがあって。いちばんイメージしやすいのは、「ちょっと横道にそれちゃって、グレちゃって」という人。「学校が嫌いで落ちこぼれちゃった」とか。

安田

そこはイメージできます。

石塚

あとは起立性障害といって、体質上、朝起きるのがとてもむずかしい生徒とか。ネフローゼとか腎臓の病気とかで通学が困難な子とか。

安田

そういう子どもにとっては、オンライン高校って相性がいいでしょうね。

石塚

ありがたいらしいです。いつ受けてもいいんだから。「1時間目は英語だぞ。じゃあ教科書開け」とか、ないわけですよ。あとはプロゴルファーで世界で活躍する子とか。

安田

プロゴルファーですか。

石塚

大人顔負けに活躍してる子って、どの世界でも増えてるんです。

安田

藤井聡太くんみたいな?

石塚

テレビの子役もすごく増えてるでしょ。

安田

確かに。ドラマ以外の番組にもいっぱい出てますよね。

石塚

昔の通信制って、問題のある子が中心だったんです。だけど今は普通の子がこういう高校を選ぶようになってる。

安田

勉強ができる優秀な子でも選ぶらしいですね。やっぱり教育現場に問題があるということですか。

石塚

前も話しましたけど「教える」ということが要らなくなるんですよ。

安田

知識という意味ではそうですよね。調べたら出てきちゃうので。

石塚

オンラインの先生の方が超わかりやすいし、面白いし。リアルな学校の先生って退屈な人もいっぱいいるじゃないですか。

安田

面白い先生の方が少ないですよ。

石塚

小中学生も不登校がすごく増えてまして。

安田

「意味あるのかな」って本能的に感じるのかも。いずれ「N小」「N中」とか出てきそう。

石塚

出てくるでしょう。N小、N中。巨大なビジネスになると思いますよ。ただ文部科学省は既存の仕組みを絶対に壊さないから。

安田

文科省主導ではやりませんか。

石塚

既存の授業を補完する仕組みとしてはやるかもしれない。

安田

そっちに生徒が流れたら既存の授業は自然に減っていきませんか。

石塚

さすが安田さん。鋭いですね。そうなんですよ。

安田

文科省もじつはそこを狙っていると。

石塚

狙ってると思います。人口がものすごく減っていくから統合せざるをえないし。地方で片道11キロある学校とか徒歩で通えないじゃないですか。

安田

バスも廃止されていきますもんね。

石塚

「安田くんは、となり村までは行けないからオンラインで。1か月に1〜2回集まって」みたいな。そのときだけバスが来るとか。

安田

そうなると税金も節約できますし。

石塚

そうなんですよ。

安田

先生はだいぶ要らなくなりますね。

石塚

要らなくなる。校舎も要らなくなるからぜんぶ老人ホームで。

安田

なんと。

石塚

あと20年後には世の中が様変わりしてますよ。「おじいちゃんの昔の小学校ってそんなだったんだね。へぇ~。」なんていって。

安田

オンラインの弊害みたいなものはどうですか。 N小、N中までいっちゃうと、「リアルな人付き合いをほとんどしていない」って子も出てきそう。

石塚

家庭さえちゃんとやっていれば問題ないでしょ。エジソンだって学校行ってないし、坂本龍馬も似たようなもんじゃないですか。

安田

すごい偉人と比べますね(笑)

石塚

逆にそういう環境の中から偉人が出てくるんですよ。この時代に学校に無理やり来させることの弊害のほうが大きいです。

安田

学校に行ってもずっとマスクだったり。

石塚

昔から思うんですけど、「なんでこの地域に生まれたら、ここの学校にしか行けないの?」って。

安田

確かに。同級生も先生もぜんぶ決まっちゃうわけですもんね。

石塚

同級生も決まっちゃう。僕は田舎だったからそれが濃いわけですよ。すごい違和感でした。

安田

生まれ育った地域性みたいなものから抜け出しにくいですよね。周りの子どもたちも同じような価値観だし。

石塚

稼ぐ力さえつければ自由になれるわけで。だったらN小・N中のほうがいい。

安田

稼ぐ力は付きそうですよね。

石塚

絶対そうですよ。若いうちから多種多様な人と接するわけで。

安田

日本の学校は閉鎖的ですもんね。

石塚

変に自己肯定感が下がることもないし。ハンデキャップがあろうが関係ないし。いずれここからすごい人材が出てきますよ。

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石塚毅
(いしづか たけし)
1970年生まれ、新潟県出身。前職のリクルート時代は2008年度の年間MVP受賞をはじめ表彰多数。キャリア21年。
のべ6,000社2万件以上の求人担当実績を持つ求人のプロフェッショナル。

安田佳生
(やすだ よしお)
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。

 

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