第158回 「格差社会」に嘆く人は、メディアが作り上げた虚像?

この対談について

株式会社ワイキューブの創業・倒産・自己破産を経て「私、社長ではなくなりました」を著した安田佳生と、岐阜県美濃加茂エリアで老舗の葬祭会社を経営し、60歳で経営から退くことを決めている鈴木哲馬。「イケイケどんどん」から卒業した二人が語る、これからの心地よい生き方。

第158回 「格差社会」に嘆く人は、メディアが作り上げた虚像?

安田
2026年の春闘で、大手企業の賃上げ率が3年連続で約5%だと大きな話題になっていました。

鈴木
いや〜すごいですよね。でも正直、僕らのような中小企業の経営者からすると「あんまり景気のいい数字を出してくれるなよ」って思っちゃいますけど(笑)。
安田
笑。昔は大手企業と中小企業では生涯賃金が1億円くらい違うって言われていましたけど、これからはもっと開いていくと言われていて。そうなるとますます「格差」を嘆く人が多くなるとは思うんですが、そもそも「どの会社で働くか」って自分の努力次第な気がするんです。

鈴木
仰るとおりですよ。大手企業の高賃金が羨ましいなら頑張って入社すればいいし、それが無理なら自分で稼げる方法を考えればいいだけの話で。中小企業だって稼いでいる人はいっぱいいますからね。
安田
ですよね。それなのに「大手企業は賃上げしているのに、自分たちの給料は全然上がらない」って文句を言う人の多いこと! 結局、どこまでいっても「他責」なんですよ。そのあたり鈴木さんはどう思われます?

鈴木
たとえ中小企業の給料が上がったとしても「いや、俺個人の給料は上がってない」って文句を言う人が、また出てくると思います(笑)。というか今の賃上げって、結局のところ単なる人手不足による相対的な上昇じゃないですか。
安田
そうそう。別にスキルアップしたわけでもないのに「その企業に所属している」というだけで給料が上がっていくのは、経営者の立場からしたらすごく違和感があります。

鈴木
同感です。もっとも、将来的には本人にしわ寄せが来るんだと思いますよ。「バブル世代」のように、ちやほやされて入社してきたものの、たいしたスキルもなく50代・60代になっちゃう、みたいなケースも多かったじゃないですか。
安田
ああ、確かに確かに。ちなみに「就職氷河期世代」って、本人たちの責任ではなく社会が作った貧困層だって言われているんですけど、私の周りにいるその世代の人はみんなしっかり稼いでいますし、全然文句なんて言っていないんですよ。

鈴木
そう言われてみると、僕の周りの氷河期世代もそんなこと言っている人はいない気がするなあ。結局は声が大きい一部の人の意見を、メディアがこぞって取り上げているだけなのかもしれないですね(笑)。
安田
確かに(笑)。ところで鈴木さんは家業を継ぐ時に周りから「これからは大変な時代だぞ〜」なんて脅かされませんでした?

鈴木
ああ、よく言われましたよ〜。でもね、引き継ぐ僕としては「良い時代」を知らないから、何が大変なのかはわからない。比べる対象がないので、ただ「今の状況」からスタートするだけなんですよ。
安田
なるほどなるほど。「良い時代」を経験してきた親世代とは、そもそも見えている景色が違うと。

鈴木
そういうことです。何ていうか、歴史の授業を聞いているみたいなもので。「へぇ〜昔はそんな時代もあったのか〜」くらいの感覚ですよ(笑)。これからの時代に合わせて、これからのやり方でやっていけばいいや、って思っていましたね。
安田
素晴らしいですね。そう考えてみると、今や世界トップレベルのアパレル企業になった『ユニクロ』だって、最初は山口県の商店街にあった小さな衣料品店を継いだところから始まっているわけで。時代や環境なんて関係ないんでしょうね。

鈴木
そうそう。ちょっと話がそれるかもしれませんが、よく「今年は激動の1年だった」とか言われるじゃないですか。僕はあれを聞くといつも「変化してない年なんて、ないだろう」なんて思うんですよ(笑)。
安田
確かに(笑)。「激動してない時代」なんて、この10年間に一度もなかったですよ(笑)。

鈴木
変化してない方がおかしいんですよ(笑)。ただ過去のいい時と比較されちゃうと「あれ、もしかして俺って不幸なんじゃない?」って思っちゃうのかもしれないですね。
安田
結局、その環境をどう活かすかっていうのは自分次第なので。めちゃくちゃ恵まれている時代に生まれたって貧困層になっていく人もいるわけですから。

鈴木
そういうことです。そもそも日本に生まれただけで「勝ち組」なんですよ。海外の多くに比べたら、これほど恵まれている自由な国ってないと思いますもん。
安田
本当ですね。それなのになんで一部の人はこんなに文句ばっかり言い続けるんでしょうね?

鈴木
…いや、もしかすると本当はそんな人はいないのかもしれないですよ。メディアが「不遇な人々」を作り出して、不満を煽り続けているだけなのかも。
安田
なるほど、他責思考で文句を言い続けているのは、メディアが作った架空のキャラクターだと! …確かにそうかもしれないですね。だって実際に、私たちの周りに「給料が全然上がらない」なんて文句言っている人はいないですもん(笑)。

鈴木
でしょ?(笑) 結局のところ、偏った情報を鵜呑みにしないで、自分の頭で考えられる人だけが”激動の時代”を乗り越えられるってことなのかもしれないですね(笑)。

対談している二人

鈴木 哲馬(すずき てつま)
株式会社濃飛葬祭 代表取締役

株式会社濃飛葬祭(本社:岐阜県美濃加茂市)代表取締役。昭和58年創業。現在は7つの自社式場を運営。

安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 

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