その213 AIは社会をラクにしない

はじめにいってしまいますと、AIが社会を楽にすることはありません。

AIの先端にいる人ならともかく、そこらのオッサン(私)がそんなことを言えるのかといったら、言えてしまいます。

理由はふたつで、「人間はそういうもんだから」、あと「いままでそうだったから」です。

AI技術の最前線にいる人、AIをバリバリ使い倒して成果を出しまくっている人、みんなどうしていますか?超効率化したから、週3労働で毎日午後3時に切り上げていますか?していません。なんなら普通の人より長時間働いていることの方が多いと思います。

それは、ここで引いたら競争に飲みこまれるかもしれないし、なにより自分が今、シノギを削りながらも社会的にみたら大いに勝っているからです。パチンコが当たっているときのように、人は勝っていることをやめることができません。

あと、「いままでそうだったから」。

600年くらい前に活版印刷というものが発明されました。これは最初、「手書きで聖書とかを写本しなくてもよくなる便利ツール」でした。ところが実際に生み出されたのはヒマではなく、印刷された文書をつかった大規模な衝突でした。宗教論争のビラが大量に刷られ、反論のための反論が別の冊子として印刷され、街ごとに思想の陣営が分かれました。

どの文章が異端かを判断するための検閲官が増え、刷った責任を誰が負うのかを巡って裁判が生まれ、誤植ひとつが問題になるため校正という専門職が必要になりました。読める人が増えたことで、説明する人、取り締まる人、告発する人、弁護する人の仕事も増えました。省力化どころか、争いと管理と責任の仕事が連鎖的に膨らんだのです。

そこから現在までの600年の間にも同じようなことが何回かあって、AIはその最新版です。

最初、「自動でいろいろやってくれる便利ツール」として現れたところなど、パターンそのまんまです。

お役に立ちますよ、ほら実際便利でしょ?といいながら、社会にとんでもない量の仕事やもめ事をもたらすことが、予想される、のではありません。

もう決まっているのです。
 

 

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著者自己紹介

「ぐぐっても名前が出てこない人」、略してGGです。フツーのサラリーマン。キャリアもフツー。

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