第144回 海外出張は最高の「社員の強み発掘」の場

この対談について

“生粋の商売人”倉橋純一。全国21店舗展開中の遊べるリユースショップ『万代』を始め、農機具販売事業『農家さんの味方』、オークション事業『杜の都オークション』など、次々に新しいビジネスを考え出す倉橋さんの“売り方”を探ります。

第144回 海外出張は最高の「社員の強み発掘」の場

安田

Xで拝見しましたけど、倉橋さんは社員さんとの出張をすごく大事にされているんですね。


倉橋

ああ、そうですね。一緒に行ったメンバーとじっくり話せる機会なので。

安田

へぇ。私からすると、海外出張ともなると移動時間も長いし、何をそんなに話すことがあるんだろうかと思ってしまうんですが(笑)。


倉橋

笑。会議や打ち合わせって、どうしても内容が事務的・業務的になりがちじゃないですか。その人の価値観とか本当に好きなものとかは、日常業務の中ではなかなか共有できないんですよ。

安田

ああ、確かに。普段の社内のやりとりは単なる仕事の情報交換ですからね。「このタスクお願いします、期日はいつですか」みたいなことが中心で、深い話にはまずならない。


倉橋

そうなんです。だからそういう深い部分を掘り下げられるのは唯一会食のときかなと。特に海外出張だと3泊4日ずっと一緒じゃないですか。朝昼晩を共にするわけですから、自然と関係性が深まるんですよね。

安田

なるほど。でも移動中だけじゃなく、現地でも一緒にご飯を食べて一緒に泊まるわけですよね。お互い「ちょっと1人にしてほしいな」みたいな気持ちにならないものですか?


倉橋

僕も1人の時間が嫌いなわけではないので、そういう気持ちになることはゼロではないですけどね(笑)。プロジェクトを円滑に進めようと思うと、お互いの人となりをある程度共有した方がうまくいくんですよ。実際、初めて会う人でも3日4日一緒にいると、だいたい仲良くなりますし。

安田

えっ、初めて会う人と出張で一緒になることもあるんですか。慣れ親しんだ幹部の方と行くことが多いのかと思ってましたけど。


倉橋

台湾の視察なんかだと社歴の浅い方も一緒に行きますね。空港で挨拶した時に初めて名前を聞くなんてこともあります。

安田

へぇ。新入社員からしたら、出張に行ったらいきなり社長が出てくるなんてすごい話ですよ(笑)。


倉橋

いやでも、正直僕の方が緊張しますよ(笑)。なるべく仲良くなりたいなと思っているので。

安田

ちなみにそういう初対面の若手社員と一緒になった場合、まずどんな話から始めるんです?

倉橋

僕のことは採用の段階でいろいろと知ってくれていることが多いので、まずは相手のことを聞いていきますね。そして1日目2日目とお酒も入る中で、自分の価値観も少しずつ伝えていきます。

安田

ふむふむ。仕事の話だけじゃなく、家族や趣味のようなプライベートな話もするわけですか。とはいえ今の時代、そういうのってセンシティブですよね。下手するとパワハラだと言われかねない。

倉橋

そうですね。なので基本的にプライベートなことを聞き出すことはしません。ただ自分のことは全然オープンに伝えますね。こういうのが好きだとか苦手だとか。まず自分から開示していくスタイルです。

安田

なるほどなぁ。とはいえ出張中って、社員さんにとってはずっと勤務時間みたいなものですよね。夜は自由にしてあげたりとか、拘束時間が長くなりすぎないような配慮も必要だったりするんじゃないですか?

倉橋

それでいうと、出張は夜遅くまで会食があったりもするし、そこから夜の視察に行くこともあるので、日本での通常勤務よりそもそも長くなることが多いんです。でも万代では海外出張はすごく人気なんですよ。

安田

確かに日本にいたらできない体験がたくさんありますもんね。万代の社員さんにとっては、貴重な体験ができるなら少々の長時間労働なんて気にならないと。

倉橋

ああ、そういう感覚だと思いますね。ありがたいことです。

安田

ニュースで「円安です」と言われてもピンとこないけど、海外に行って買い物すると肌で感じられますもんね。日本にいて1000円のものが1500円になるなんてそうそうないですけど、海外だとそれを実感できる。

倉橋

そうそう。それってビジネスの感覚としても非常に大事な経験なんですよね。社員にとっても会社にとっても価値のある時間だと思っています。

安田

本当にそうですね。ちなみに倉橋さんの中で「初めて一緒に出張に行く社員にはこれを聞く」と決めていることってあるんですか? 例えば万代のカルチャーをきちんと理解しているかとか、仕事への熱量がどのくらいあるかとか。

倉橋

まぁさすがに初日からすぐには聞きませんけど、人材発掘という視点からも、出張の終わりまでには確認しておきたいところですね。例えば中国のクレーンゲームの展示会に行くにしても、機械の開発に長けた人と営業向きの人では、見ているポイントが全然違いますから。

安田

ははぁ。視察という名目だけど、同時に社内の人材を見極める場にもなっていると。ちなみに誰を連れて行くかはどうやって決めているんですか?

倉橋

僕が決めるというよりは、各事業部の責任者からオーダーが来るんです。「3泊4日でここに出張できますか?」と。

安田

ああ、そうなんですか。社員からの要望に合わせて、倉橋さんが同行するようなイメージなんですね。

倉橋

そうなんです。社員との会食もそうで、いろんな事業所から総務経由で「この日空いてますか?」と連絡が来ますね。

安田

へぇ、面白いなぁ。

倉橋

僕は取引先や他の経営者の方々との会食よりも、社内を第一優先にしているので。外部も含めて自分から予定を入れるっていうことはあまりないですね。

安田

それって相当珍しいですよね。社員一人一人を知ることが、倉橋さんにとって重要な仕事だと捉えているわけですね。

倉橋

ええ。自分の価値観を共有することが店舗運営のすべてだと思っているので。このWebマガジンPodcastなど、一方通行だったものを双方向のセッションで答え合わせしていく。会食や出張はまさにそのための時間なんです。

 


対談している二人

倉橋 純一(くらはし じゅんいち)
株式会社万代 代表

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株式会社万代 代表|25歳に起業→北海道・東北エリア中心に20店舗 地域密着型で展開中|日本のサブカルチャーを世界に届けるため取り組み中|Reuse × Amusement リユースとアミューズの融合が強み|変わり続ける売り場やサービスを日々改善中|「私たちの仕事、それはお客様働く人に感動を創ること」をモットーに活動中

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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