第89回 プレオープン期間を長くした理由は「口コミ対策」

この対談について

「日本一高いポスティング代行サービス」を謳う日本ポスティングセンター。依頼が殺到するこのビジネスを作り上げたのは、壮絶な幼少期を過ごし、15歳でママになった中辻麗(なかつじ・うらら)。その実業家ストーリーに安田佳生が迫ります。

第89回 プレオープン期間を長くした理由は「口コミ対策」

安田

ついにベニエ屋さんがオープンしましたね。おめでとうございます!


中辻

ありがとうございます。12月の頭から、ようやく『KOBITO BEIGNET(コビトベニエ)』を正式オープンさせることができました!

安田

12月頭ということですが、11月中旬頃から店頭に立っていませんでしたっけ?


中辻

ええ、プレオープン期間ですね。実は11月14日から半月ほど、ずっと「プレオープン」状態だったんですよ。

安田

そうだったんですか。ちなみにプレオープンと正式オープン、何が違うんです?


中辻

プレオープンの時は、商品の数を少し絞り、営業時間も若干短めにしていました。広告も出しませんでしたね。唯一、お店のInstagramで告知をしただけ。

安田

え、そうなんですか? でも広告出さなきゃお店の存在を知ってもらえないじゃないですか。


中辻

仰るとおりなんですが、実は新規オープンのお店、特に飲食店って、Googleマップの口コミにマイナス評価がつくことが多くて。それを避けたくて、あえて大々的には打ち出さなかったんです。

安田

ははぁ、なるほど。「商品提供までに時間がかかった」とか「オーダーに時間がかかった」とか、そういうことを書かれちゃうわけですね。


中辻

そうですそうです。スタッフもオペレーションに慣れていないので、実際お客様にご迷惑をおかけすることも多いです。他にも「なかなか予約が取れない」とか「駐車場が混んでいる」といった意見もあります。そういうことをお客様に感じさせてしまうのが新規オープンあるある、とでもいいますか。

安田

なるほどなぁ。新規開店だからと人をたくさん呼んでも、かえってお店の評判を下げてしまう可能性があるというわけですね。


中辻

まさに仰るとおりです。そういった裏事情もあり、12月の正式オープンまではInstagramと、通りがかりの人にお知らせするだけにとどめていました。

安田

それでお客さんは来たんですか?


中辻

はい、もうめちゃくちゃたくさん来てくださって、忙しすぎました(笑)。ずっとベニエを揚げっぱなしでしたし、かなり多めに仕込んでいた生地もすぐに完売してしまうほどで。

安田

おぉ〜すごい! じゃあ営業時間を短めにしていたのも、かえって良かったのかもしれないですね。


中辻

そうなんですよ。そしてInstagramで予め「オペレーションも不慣れで至らない所がたくさんあります。でも誠心誠意頑張ります!」というようなことをお伝えしていて。

安田

あらかじめ予防線を張っていたわけだ(笑)。


中辻

そうそう(笑)。もちろん実際にお店を回していく中で、徐々にオペレーションも改善させていきました。商品の材料配合も変えたりして。

安田

へぇ、プレオープン期間中に変えたんですか?


中辻

はい。1年くらいかけて何度も何度も試作して、すごく自信があった商品ではあったんです。でもいざ「お客様に提供するために量産する」と、ちょっと思惑と違ってしまう部分もあって。それでほんの数グラム単位ではありますけど、配合を変えたんです。

安田

ははぁ…現場ですぐにそういった判断ができるのは、さすが中辻さんですね!


中辻

いえいえ、全然そんな事なかったんです。私自身、「業種が変わるとこんなにも自分は役立たずな人間なのか…」ってちょっと落ち込みましたからね(笑)。

安田

へぇ、そうでしたか。中辻さんは接客業も向いていそうですけどね。じゃあ結果的には半月のプレオープン期間を持ったことは、お店にとっても良かったわけですね?


中辻

ええ。スタッフの子たちとも「この長いプレオープン期間に、できる限りブラッシュアップさせていこうね!」って士気を上げていました。結果的に改善点はものすごーく見つかったので、最初から大々的な告知をしなくてよかったとホッとしているところです(笑)。

安田

なるほど(笑)。でも初めてのお店づくりで、そこまで考えを巡らせながら準備できるって、やっぱりすごいことですよ。自分のこだわりのお店がオープンするんだから、普通なら浮かれて宣伝もバンバンしちゃいそうじゃないですか(笑)。


中辻

いやぁ…そういうことは全く考えなかったですね。というのも、やっぱり仕事柄、MEO対策の重要性を身を以て実感していますので。

安田

MEOって、Googleマップで検索したときに自分のお店を見つけてもらいやすくすることですよね。私もよく「この近辺で美味しい焼き鳥屋」みたいな方法でお店を探しています(笑)。


中辻

私も一緒です(笑)。しかも、お店を見つけたら口コミも見るじゃないですか。その時に悪い口コミばかり並んでいたら、絶対お客さんは来てくれないわけで。

安田

うんうん。しかも口コミって、よっぽど悪質なもの以外は削除できませんもんね。


中辻

そうなんですよ。いいことも悪いことも、一度書かれてしまうと消せない。だからこそオープン時は絶対に慎重に営業しないといけないって思っていたんです。

安田

なるほどなるほど。ちなみに『コビトベニエ』さんに実際に書かれている口コミはどうです?


中辻

ありがたいことに、今のところかなり高評価をいただいておりますね。マイナス評価がゼロというわけではありませんが、そこは真摯に受け止めて日々改善しています。ただ私が危惧していたオペレーションや駐車場等でのマイナスな口コミは今のところほぼありません。

安田

おぉ〜それは素晴らしい! ところで今月頭に正式オープンしたとのことですが、広告の出し方にも変化はあったんですか?


中辻

今、日額500円程度だけ使ってInstagramで広告を打っています。そうしたらお店のInstagramのフォロワーさんが凄まじい勢いで増えて、有難いことに毎日大忙しです(笑)。

安田

すごいなぁ、すべて中辻さんの作戦通りというわけだ(笑)。これからも『コビトベニエ』の大躍進から目が離せませんね!

 


対談している二人

中辻 麗(なかつじ うらら)
株式会社MAMENOKI COMPANY 専務取締役

Twitter

1989年生まれ、大阪府泉大津市出身。12歳で不良の道を歩み始め、14歳から不登校になり15歳で長女を妊娠、出産。17歳で離婚しシングルマザーになる。2017年、株式会社ペイント王入社。チラシデザイン・広告の知識を活かして広告部門全般のディレクションを担当し、入社半年で広告効果を5倍に。その実績が認められ、2018年に広告(ポスティング)会社 (株)マメノキカンパニー設立に伴い専務取締役に就任。現在は【日本イチ高いポスティング代行サービス】のキャッチコピーで日本ポスティングセンターを運営。

安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 

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