「オモシロイを追求するブランディング会社」トゥモローゲート株式会社代表の西崎康平と、株式会社ワイキューブの代表として一世を風靡し、現在は株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表および境目研究家として活動する安田佳生の連載対談。個性派の2人が「めちゃくちゃに見える戦略の裏側」を語ります。
第10回 辞めていく人を「薄情者」だと思いますか?

ワイキューブで新卒の採用コンサルをしている頃は、「人材に定着してもらいたいなら新卒から育てないと」という世界だったんですね。でもここ最近は、大企業の新卒でも3年くらいで辞めちゃう人が多いみたいで。

社会人経験のない自分を育ててくれた会社なのに、あっさり辞めていってしまう。ある意味すごくドライなわけですよ。西崎さんはそのあたり、どう思います? 「そんな恩義のない奴はけしからん!」っていうスタンスですか?

なるほど。個人的には、せっかく会社が投資して育ててあげてるのに、何の後ろめたさも感じず辞めていくのってどうなんだろうって思うんです。ただその一方で、その情とか義理とかを働く動機にしていいのかな、とも思うんです。

ね。そういう経営者に限って口ではキレイなことを言いますよ。でも実情は、「情や義理に頼ったほうが低コストだから」そうしているに過ぎない。だったら社員側も割り切った対応させてもらいますよ、となるのも当然かなと。

仰るとおりですね。西崎さんもXで「社員のコストを下げて利益を上げる、というのは間違っている」と書いてましたけど、経営者はその両方をいかに上げるかを考えるべきで。

一言で言えば、「刺激とワクワク感」を与えるってことですよね。もちろん給与とか待遇とかはちゃんと整備した上で、たとえば今回の「社員食堂無料」みたいなことをどんどんやっていく。言い方を変えれば、「定着する理由、辞めない理由」を用意するってことですよね。

なるほどなぁ。ただ、水を差すようで申し訳ないんですが、人間ってすぐ慣れてしまう生き物で。私もワイキューブ時代、ものすごく豪華なオフィスを作ったんです。最初は社員皆が喜んでましたけど、あっという間に慣れちゃって(笑)。

ふーむ、なるほど。でも例えば、仮に西崎さんが100%ワクワクを提供できたとしても、「起業するので辞めます」みたいな人は出てくるわけじゃないですか。正直、起業に勝るワクワクを提供するって難しいんじゃないかなと。
対談している二人
西崎康平(にしざき こうへい)
トゥモローゲート株式会社 代表取締役 最高経営責任者
1982年4月2日生まれ 福岡県出身。2005年 新卒で人材コンサルティング会社に入社し関西圏約500社の採用戦略を携わる。入社2年目25歳で大阪支社長、入社3年目26歳で執行役員に就任。その後2010年にトゥモローゲート株式会社を設立。企業理念を再設計しビジョンに向かう組織づくりをコンサルティングとデザインで提案する企業ブランディングにより、外見だけではなく中身からオモシロイ会社づくりを支援。2024年現在、X(Twitter)フォロワー数11万人・YouTubeチャンネル登録者数18万人とSNSでの発信も積極的に展開している。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。