「オモシロイを追求するブランディング会社」トゥモローゲート株式会社代表の西崎康平と、株式会社ワイキューブの代表として一世を風靡し、現在は株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表および境目研究家として活動する安田佳生の連載対談。個性派の2人が「めちゃくちゃに見える戦略の裏側」を語ります。
第42回 西崎さんの給料はオープンにしているんですか?
トゥモローゲートさんって、会社の情報ってどれくらいオープンにしているんですか?
比較的オープンにしている方だと思いますよ。
うん、なんとなくそういうイメージはあります。ただ、「どこまで開示するか」って賛否がわかれるところじゃないですか。会社がどれくらい儲かっているのかとか、社長がどれくらい給料を取っているのかとか。
確かに会社によって様々ですよね。ウチは月次ベースの損益は全部見せている感じですね。だから年間の売上、原価、粗利、販管費なんかも社員はわかってます。
西崎さんの給与はどうなんです?(笑)
僕個人の額は出てないですけど、役員報酬って項目がありますから、役員全体の金額はわかりますね。
なるほどなるほど。ちなみに西崎さんとしては「会社情報はできるだけ開示したほうがいい」という考え方なんですか?
そうですね。もちろんなんでもかんでもオープンにすればいいということではないですが、会社の状態をキッチリ知っておくというのは重要なことだと思っていて。だって、状態もわからず「さぁ今月もとにかく頑張ってくれ」って言われても、何をどれだけ頑張ればいいのかわかんないじゃないですか(笑)。
そりゃそうですよね。それじゃ当事者意識も持ちようがないし。
そうそう。だからチームごとに目標数値の設定もしてますし、1人あたりの生産性も数字で出してます。それを元にミーティングして、今期はこうだったよ、だから来期はこうしていこう、みたいに話をしていく。
うんうん。そういうためにも情報って大事ですよね。ちなみに今日なんでこんな話をしたかと言うと、「後ろめたさはないですか」と聞きたかったからなんです。
後ろめたさ、ですか?
ええ。というのもね、私がワイキューブをやっていた頃、年収2000万円を超えたあたりからどんどん後ろめたさを感じるようになったんですよ。そして自分の給与を社員に言えなくなってしまった。
へぇ、そうなんですか。まぁでも、ズバリの金額までオープンにする人はあんまりいないですよね。
それはどちらかというと、日本人的な配慮というか、「いやらしいから言わない」ってことだと思うんです。でも私は「自分は社員の何倍もの給与をもらっているが、果たしてそれだけの価値を生み出せているんだろうか」と悩んじゃって。…そういう感覚、西崎さんにはないですか。
うーん、あるかないかと言われたら、ないですね。役員報酬って、やっぱりゼロからここまで会社を作ってきた歴史を含めての報酬だと思っているので。
なるほど。確かに仰る通りだとは思うんですけど、でも例えばですよ、「若い頃の俺の頑張りが会社を作ってきたんだぞ」なんて偉ぶる上司とか、ちょっと嫌じゃないですか(笑)。確かに昔はすごかったのかもしれないけど、じゃあ今あなたは若手以上の成果を出せているのか? と言いたくなっちゃう(笑)。
うーん、なるほど(笑)。まぁ確かに、そう言いたくなってしまうような人もいるのかもしれませんね。ただウチに関して言うと、そういうタイプの役員はいませんね。それに、彼らの仕事は軽くなっているどころか、今でもどんどん重くなっている(笑)。
ただただ楽してお金をもらっているわけではないと。確かにそこの自負があれば後ろめたさは感じないかもなぁ。…ちなみに社員さん側はどう思ってるんですかね。「役員はたくさん報酬があっていいなぁ」と思ってますかね。
うーん、いや、どうですかね。先ほども言ったように個人ごとの報酬はわからないので、あんまりそういう考えにはならないかもしれない。
なるほどなるほど。ちなみに役員同士はお互いの金額は知っているんですか?
ええ、それはもちろん。役員同士もそうですし、メンバーの給与も全部知ってますね。
そりゃそうですよね。まぁでも、結局バランスなんでしょうね。全部オープンにしたからいいわけでもないし。交際費とかも全部公開されちゃったら、「この食事会は仕事に繋がらなかったから経費じゃない」みたいなツッコミが入るかもしれないし(笑)。
笑。まぁ会社さんごとにいろいろ考えはあると思いますけど、とりあえずウチは今の状態で特に問題は感じてないですね。
そうでしょうね。お話聞いていてもすごく健全なんだろうなぁという感じがしますよ。後ろめたさも全然なさそうで、すごく羨ましいです(笑)。
対談している二人
西崎康平(にしざき こうへい)
トゥモローゲート株式会社 代表取締役 最高経営責任者
1982年4月2日生まれ 福岡県出身。2005年 新卒で人材コンサルティング会社に入社し関西圏約500社の採用戦略を携わる。入社2年目25歳で大阪支社長、入社3年目26歳で執行役員に就任。その後2010年にトゥモローゲート株式会社を設立。企業理念を再設計しビジョンに向かう組織づくりをコンサルティングとデザインで提案する企業ブランディングにより、外見だけではなく中身からオモシロイ会社づくりを支援。2024年現在、X(Twitter)フォロワー数11万人・YouTubeチャンネル登録者数19万人とSNSでの発信も積極的に展開している。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。