この記事について
自分の絵を描いてもらう。そう聞くと肖像画しか思い浮かびませんよね。門間由佳は肖像画ではない“私の絵”を描いてくれる人。人はひとりひとり違います。違った長所があり、違った短所があり、違うテーマをもって生きています。でも人は自分のことがよく分かりません。だからせっかくの長所を活かせない。同じ失敗ばかり繰り返してしまう。いつの間にか目的からズレていってしまう。そんな時、私が立ち返る場所。私が私に向き合える時間。それが門間由佳の描く“私の絵”なのです。一体どうやってストーリーを掘り起こすのか。どのようにして絵を紡いでいくのか。そのプロセスをこのコンテンツで紹介していきます。
Birthday Present|母へのたくさんの想いをのせて誕生日に贈りたい絵
「母の誕生日プレゼントとして、絵を描いてほしいのです。感謝の気持ちをこめて毎年誕生日プレゼントを送ってきたのですが、なぜか今年は特別なものを送りたいと感じるのです。特別で、ずっとこの先プレゼントを覚えていてほしいと思ったら、『そうだ、絵だ。絵なら、部屋に飾るから見るたびに今年を思い出してもらえる』と、気づいたのです」と、Hさんが依頼しました。
Hさんは、サラリーマン。声が大きく明るい人です。手を広げたり、大きくうなずいたりしながら話すので、職場で生き生きと元気に働く姿が浮かんできました。
「どんな絵が欲しいか、決まっていますか?」と聞くと、「母の好きな野に咲く花々の絵を贈りたいと思っています」と、答えが返ってきました。「野原に咲く花は、お花屋さんでは売っていないし、自分で花束にするのも難しい。写真だと、野草はちょっと地味でしょう。でも、絵なら華やかにしてもらえるのではと思って‥‥」ちょっと心配そうに言葉を濁すHさんに、「はい、絵なら、ばっちり華やかにすることができますよ」と伝えると、「ありがとうございます!良かった、嬉しいです」と、笑顔になりました。
どんな野花なのか聞いていくと、あざみ、たんぽぽ、すみれ、白菊、ゆり、リンドウと、たくさんの花の名前が上がってきました。「どれがいいか悩んでいるのです」というHさんに「全部入れられますよ。特に、大きく入れたいお花があれば、それを絵の主役たちにしたらどうでしょうか」と伝えると「あざみ、たんぽぽ、すみれを中心にしてください」Hさんが目を輝かせました。
さて、セッションの後、Hさんの話をじっくりと振り返りながら、絵の構想を練りました。イメージを深めるために、一つ一つの花について調べていくと、春夏秋冬に咲く花が揃っていることに気がつきました。春はたんぽぽ、すみれ。夏はあざみ、ゆり。秋はりんどう、そして冬は白菊です。
一枚の絵の中に、花を描くとともに、一年という時間軸も表現できることで、Hさんとお母さんが寄り添ってきた年月も表せる絵になります。まさに、年に一回の誕生日プレゼントにぴったりです。それに、春夏秋冬の花を描いてもらった、と、お母さんに伝えるときに、「今まで寄り添って来てくれてありがとう、という感謝も描いてもらったのだ」と、伝えることもできます。
そして、絵の中央付近は、あえて花を描かずに自由に想像できる空間を開けました。具体的な花、ではなく、抽象的な空間です。東洋の絵画では、空気のようなものも絵に表現することを大事にしてきました。
それを、画家の上村淳之は、「西洋画の空間においては,ほんのわずかに濃淡 があるかどうか,という程度に色が塗ってある部分で も,そこには必ずなんらかの具体的な存在物が意識され ている。それに対して東洋画の空間を満たしているのはそのような具体物ではなく「世界」あるいは「空気」と でもいうべき抽象的な空間なのである」と言っています。
この絵の真ん中にある空間は、Hさんとお母さんが対話する場所、一つの世界です。「ここの空いている空のようなところは何?」と聞かれたら、「これからも二人で色々話していく時間を大切にしたいのだという気持ちだよ」と、普段照れ臭くて言えないことを伝えるきっかけになるように‥‥。
そして、絵が完成に近づいた2011年3月11日。それは、突然やってきました。
東日本大震災です。
「お二人は元気だろうか。大丈夫だろうか」と、
連絡を取ると、幸い、Hさんもお母さんも無事で元気でした。
まさか、このような災害を経て届ける誕生日プレゼントになるとは思いもしませんでした。
特別なプレゼントは、いっそう、意味のあるものとなりました。
そうして3月の終わりに、お母さんが大好きな野草たち、今までの感謝をこめた春夏秋冬の時間軸、Hさんとお母さんが対話する世界、の3つを描き込んだ幻想的な絵が完成しました。
「お誕生日おめでとうございます。心からお祝い申し上げます。そしてH様、お母様と周りのすべての皆様のご健康とお幸せを心よりお祈りします」と、メッセージを添えて、Hさんに絵をお渡しすると、Hさんは「門間さんにもお祝いしてもらって、母も一層喜びます」とちょっと照れ臭そうに笑いました。
そして、「母が、とっても喜んでくれました。自分では、照れ臭くて言えないことも、絵の意味を一つ一つ説明することで、絵を通して母に想いを伝えることができます。本当にありがとうございました。」と、メールが届きました。
<セミオーダー絵画の依頼方法はこちら↓>
「門間さんに描いてもらい」とひそかに思いを育んておられた皆さま、是非ご確認くださいませ。
https://brand-farmers.jp/blog/monma_vision-paint/
著者の自己紹介
ビジョンクリエイター/画家の門間由佳です。
私にはたまたま経営者のお客さんが多くいらっしゃいます。大好きな絵を仕事にしようと思ったら、自然にそうなりました。
今、画廊を通さないで直接お客様と出会い、つながるスタイルで【深層ビジョナリープログラム】というオーダー絵画を届けています。
そして絵を見続けたお客様から「収益が増えた」「支店を出せた」「事業の多角化に成功した」「夫婦仲が良くなった」「ずっと伝えられなかった気持ちを家族に伝えられた」「存在意義を噛み締められた」など声をいただいています。
人はテーマを意識することで強みをより生かせるようになります。でも多くの人は自分のテーマに気がついていません。ふと気づいても、すぐに忘れてしまいます。
人生
の節目には様々なテーマが訪れます。
経営に迷った時、ネガティブになりそうな時、新たなステージに向かう時などは、自分のテーマを意識することが大切です。
また、社会人として旅立つ我が子や、やがて大人になって壁にぶつかる孫に、想いと愛情を伝えると、その後の人生の指針となるでしょう。引退した父や母の今までを振り返ることは、ファミリーヒストリーの貴重な機会となります。そして、最も身近な夫や妻へずっと伝えられなかった感謝を伝えることは、絆を強めます。そしてまた、亡くなった親兄弟を、残された家族や友人と偲び語らうことでみなの気持ちが再生されます。
こういった人生の起点となる重要なテーマほど、大切に心の中にしまいこまれてカタチにしづらいものです。
でも、絵にしてあげることで立ち返る場所を手に入れることができます。