この記事について
自分の絵を描いてもらう。そう聞くと肖像画しか思い浮かびませんよね。門間由佳は肖像画ではない“私の絵”を描いてくれる人。人はひとりひとり違います。違った長所があり、違った短所があり、違うテーマをもって生きています。でも人は自分のことがよく分かりません。だからせっかくの長所を活かせない。同じ失敗ばかり繰り返してしまう。いつの間にか目的からズレていってしまう。そんな時、私が立ち返る場所。私が私に向き合える時間。それが門間由佳の描く“私の絵”なのです。一体どうやってストーリーを掘り起こすのか。どのようにして絵を紡いでいくのか。そのプロセスをこのコンテンツで紹介していきます。
流域1998|「ふんわりした感じ」とか「パリッとした色」など、モヤモヤした依頼主の言葉でもオーダーが描ける理由
「ふんわりした感じ」とか「パリッとした色」「爽やかな感じ」など、モヤモヤした依頼主の言葉しか浮かばない、というオーダーの依頼がよく来ます。振り返ってみれば、8割以上でしょうか。「こんなにぼんやりした依頼で大丈夫でしょうか」と心配する人もいますが、「それでいいですよ」と心から言えます。【絵は、それでも生まれてくる】のがわかっているからです。
わたし自身、なんともモヤモヤした気持ちと言葉から、絵を創り出したことがありました。「なんかこんな風に感じる」というちいさな想いのカケラを、ただただ、絵の具に重ね合わせてみたら、作品になったのです。美大で教わった、さまざまな絵づくりの技を使うことが一才ありませんでした。何も考えることなく、目の前の絵だけ。「今ここ」だけに集中して描いたのです。
「今ここ」に集中するのは、マインドフルネスと呼ばれますが、元々は全仏教「正念」の概念で、アメリカから逆輸入されたものです。簡単にいうと、心を一つのことだけに留める習慣づくり。例えば、お坊さんが座禅を組んでいる時、後ろから「わっ」と言われても、大きな音をガンガン立てられても、乱れないのですが、これは、姿勢や表情が乱れないだけでなく、脳波も乱れないそうです。
この、「今ここだけで考える」体験から、【絵で考える】という言葉が生まれました。
「今ここ」の体験を大切にして【絵で考える】と、今までの殻をポン!と破ってくれます。「あんなに怖がっていたのはなんだったのだ?」「なんでこれに気づかなかったのだろう!」「これをやりたかったんだ」など、気づきや発見を促します。
冷静であれば、なんでも突破する確率が高くなります。冷静の状態は、脳波でいうとα波です。鍛えれば、目を開けていても、心拍数上がっていても、運動していても、α波が出せます。運動選手で言えば、ゾーンという状態。これは、ゾーン=瞑想です。瞑想は、α波をどんな時にも維持するためのものです。
「こんな感じ」という曖昧なものを、絵の具にのせる。必要な言葉は、「ふわふわ」とか「どん!とした」などで十分。絵のタッチで、それを表現することができます。
それは、今から20年以上前、ダブルワークをしながら絵を描いていた頃でした。どう描いても作品にならない・・・・、と七転八倒したのです。美大からやり続けてきたように、コンセプトに沿って作品構想を練って描いてもダメ。どうにも気に入らないのです。「絵を描いているのに、作品にならない」・・・・。これは、書類で言えば、「何度も文書に手を入れても、一向にまとまらない」という感じです。
さらに困ったことに、個展の日程はすでに決まっていました。作品ができあがらない一方、期日はどんどん迫ってくるのです。正直、焦りました。1ヶ月前にはもう、早朝も深夜も休日も・・・・全て使って描き倒しました。しかし、どうにもまとまりません。
もはや、頭も心も身体もヨレヨレです。その時、「作品構想自体も手放してしまおう」と浮かびました。それが浮かんだ時、「自分は逃げているのだろうか?」と一瞬思いましたが、そうではない、と気がつきました。もともと、「感じること」を通じて、生命やエネルギーを表現しようとしてきたのです。身体から湧き出る【感じ】だけに、集中しても、いいのだ!
その時、「ぶちまける感じ」が、ただ、浮かんできました。だから、バケツに絵の具を絞り出して、1メートル以上ある画面に叩きつけました。「流した感じ」が浮かんできて、水と混ぜ合わせた絵の具を流しました。今まで何度も描いてきた画面は、ぶちまけられた絵の具、流された絵の具で完全に隠れてしまいました。
ああ、完全にダメにしてしまった‥‥、と思った反面、非常にスッキリとした気持ちになりました。でも、絵を見返すのが怖くなりました。もう、ぐちゃぐちゃに違いない。正面からみる勇気がありませんでした。
しかし、翌日、気持ちを振り絞って絵を見ると、「作品」になっていました。しかもそれは、今までの考えからかけ離れた表現でした。でも、不思議なことに、見ることでストンと自分のものにできました。次の日から、その技法を使って数枚の大きな絵を立て続けに描きあげたのです。
実際、展示すると、「流れが気持ちいい」「勢いに元気になる」と、共感する声や、「技法として破綻しそうなものが絶妙にまとまっている」と評価されました。
これが、「モヤモヤした言葉しか言えないオーダーの依頼でも、大丈夫」な土台になっています。
どんなぼんやりした感じでも、絵にできます。作品になります。モヤモヤした言葉しか持たないクライアントのかわりに、絵筆を走らせて、絵から思考回路を拓くのです。
すると、「描いてもらったら、自分の言いたかったことがストンと腑に落ちました!」と目が輝きます。モヤモヤとした言葉でしか表現できないことに、自分でも予想できないものが眠っていたことにワクワクするのです。
「感じ」としても、ほんのかすかしか掴めていないものでも、「今ここ」の【絵で考える】体験を通じて、それを外に出せる。外に出してみた時、自分が変わる。そして、他人とも共有できるのです。
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「門間さんに描いてもらい」とひそかに思いを育んておられた皆さま、是非ご確認くださいませ。
https://brand-farmers.jp/blog/monma_vision-paint/
著者の自己紹介
ビジョンクリエイター/画家の門間由佳です。
私にはたまたま経営者のお客さんが多くいらっしゃいます。大好きな絵を仕事にしようと思ったら、自然にそうなりました。
今、画廊を通さないで直接お客様と出会い、つながるスタイルで【深層ビジョナリープログラム】というオーダー絵画を届けています。
そして絵を見続けたお客様から「収益が増えた」「支店を出せた」「事業の多角化に成功した」「夫婦仲が良くなった」「ずっと伝えられなかった気持ちを家族に伝えられた」「存在意義を噛み締められた」など声をいただいています。
人はテーマを意識することで強みをより生かせるようになります。でも多くの人は自分のテーマに気がついていません。ふと気づいても、すぐに忘れてしまいます。
人生
の節目には様々なテーマが訪れます。
経営に迷った時、ネガティブになりそうな時、新たなステージに向かう時などは、自分のテーマを意識することが大切です。
また、社会人として旅立つ我が子や、やがて大人になって壁にぶつかる孫に、想いと愛情を伝えると、その後の人生の指針となるでしょう。引退した父や母の今までを振り返ることは、ファミリーヒストリーの貴重な機会となります。そして、最も身近な夫や妻へずっと伝えられなかった感謝を伝えることは、絆を強めます。そしてまた、亡くなった親兄弟を、残された家族や友人と偲び語らうことでみなの気持ちが再生されます。
こういった人生の起点となる重要なテーマほど、大切に心の中にしまいこまれてカタチにしづらいものです。
でも、絵にしてあげることで立ち返る場所を手に入れることができます。