vol.64【『華宝(かほう2010)』|「有名な版画よりもこの絵がいい!」と書斎に飾った経営コンサルタントの場合】

 この記事について 

自分の絵を描いてもらう。そう聞くと肖像画しか思い浮かびませんよね。門間由佳は肖像画ではない“私の絵”を描いてくれる人。人はひとりひとり違います。違った長所があり、違った短所があり、違うテーマをもって生きています。でも人は自分のことがよく分かりません。だからせっかくの長所を活かせない。同じ失敗ばかり繰り返してしまう。いつの間にか目的からズレていってしまう。そんな時、私が立ち返る場所。私が私に向き合える時間。それが門間由佳の描く“私の絵”なのです。一体どうやってストーリーを掘り起こすのか。どのようにして絵を紡いでいくのか。そのプロセスをこのコンテンツで紹介していきます。

『華宝(かほう2010)』|「有名な版画よりもこの絵がいい!」と書斎に飾った経営コンサルタントの場合

「ラッセンいらない!これにいて欲しい!!」とNさんが叫んだ勢いに驚かされました。

クリスチャン・ラッセンは、ハワイの海中風景やイルカなどの海の生きものを描き、【マリンアート】と称されて20世紀後半に活躍した画家です。大衆的人気に応えるため色彩豊かな版画が作られました。Nさんが持っていたのも版画で、20年飾り続けていました。ぴったりあう作品は他にないと考えていたからです。

しかし、一瞬でラッセンが外されこの作品が新風を吹き込むことになりました。しかも、仕事に好影響を与えるようになったのです。

それは、10年以上前、セミナーの最中に起こりました。Nさんは、経営コンサルタント。当時少人数でのセミナーカリキュラムを主催していました。起業家から自営業者、従業員数名の社長を対象にした内容です。私は新たなビジネスモデルを作るために参加していたところ「門間さんの絵をみたい」と言われて、その日、絵を持っていったのです。そして見せた途端、Nさんが叫んだのでした。

いてほしい?!

叫び声に驚きすぎて言葉もない私に向かって、Nさんは続けました。「自分でも驚いているのです。花なのはわかるけど‥‥、他の花の絵で『いてほしい』と思ったことはないし、そもそも、絵に【いてほしい】なんて言葉使ったことがないのです。

絵を見た途端に叫んじゃった感じ‥‥。この絵、買います。値段は関係ない。それよりもこの絵は一体、どういう理由で描かれたのかを教えてください」

Nさんの勢いある言葉に、周りの参加者たちも固唾を飲んで見守っています。セミナー中にも関わらず絵の説明をすることになりました。

「この絵は、華宝(かほう)という、心をテーマにした作品です。今に例えると、企業や家庭で実践されているマインドフルネスの効果につながる絵です。マインドフルネスは、禅を精神科学と捉えたジョン・カバットジンにより1979年につくられました。今では、生活の質を高めるとして一般に広がり始めています。メンタルヘルス対策として、モチベーション、集中力、創造性、記憶力、生産性などの向上や改善のために、注目されてきました。

この絵は、心を花で表現しています。心はいつも揺れ動いています。でも、心の底に静かで深い空気があります。それは、座禅で求める【静謐な心】と同じです。

私自身、お寺で座禅を組みましたし、何より長年描き続けることで、心を見つめてきました。心には、まるで海の荒波の底でも穏やかな海底があるように、美しく澄んだ心の底があるのです。

『自分は穏やかな心の世界を持っているのだ』と意識を向けると、気持ちが和らぎます。肩の力が抜け、心身が楽になります。

華宝は、絵をみて心落ち着ける世界をイメージするのがテーマです。繊細な線で花の形を描きおこした上に、自由で抽象的な色彩をのせています。線がうっすら見えるように薄い絵の具で描かれています。柔らかで澄んだ優しい色合いの絵です。花のかたちを目で追うのではなく、優しい色が目に触れることで、その時々の気持ちを受けとってくれるように感じることができます。」

Nさんはじっと説明を聞き入っていました。そして、ふーっと息をついて

「書斎に20年間ラッセンの版画を飾ってきました。ラッセンといえば、ブランド。私の年代なら誰でも知っているから、『ああ、それなりの絵を飾っている』と思われます。無難だし、当たり前のように飾ってきました。でも、この絵をみて、瞬間的に『書斎にいてほしい!』と感じました」そして、ニッコリ続けました。「門間さんの話を聴いて、その理由がよくわかりました。絵って、見るだけじゃない役割もあるのですね!まさに、資料をみたりじっと考えたりする書斎にぴったりの作品です」

美術作品は、<価格>や<ブランド>を自慢するために購入される場合があります。また、インテリアとしてきれいなものを飾っておこうという動機から購入される場合があります。Nさんは、そのどちらでもない<いてほしい>という気持ちから絵を買いました。書斎にいてほしい、という気持ちの底には、もっといい仕事がしたい、いい仕事をするための心を整える場を整えたいという動機が隠れていました。

その後、この作品と暮らしている西田さんから届いたメールです。「素適な絵をありがとうございます。絵、なんだかちらちらと見ますね~!いい感じです」

Nさんとの出会いで、オーダーにつながるビジネスモデルが生まれてくるのですが、それはまた別の物語です。

 

今回完成した作品 ≫「華宝(かほう)2010」

 

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「門間さんに描いてもらい」とひそかに思いを育んておられた皆さま、是非ご確認くださいませ。

https://brand-farmers.jp/blog/monma_vision-paint/

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 著者の自己紹介 

ビジョンクリエイター/画家の門間由佳です。
私にはたまたま経営者のお客さんが多くいらっしゃいます。大好きな絵を仕事にしようと思ったら、自然にそうなりました。

今、画廊を通さないで直接お客様と出会い、つながるスタイルで【深層ビジョナリープログラム】というオーダー絵画を届けています。
そして絵を見続けたお客様から「収益が増えた」「支店を出せた」「事業の多角化に成功した」「夫婦仲が良くなった」「ずっと伝えられなかった気持ちを家族に伝えられた」「存在意義を噛み締められた」など声をいただいています。

人はテーマを意識することで強みをより生かせるようになります。でも多くの人は自分のテーマに気がついていません。ふと気づいても、すぐに忘れてしまいます。

人生

の節目には様々なテーマが訪れます。

経営に迷った時、ネガティブになりそうな時、新たなステージに向かう時などは、自分のテーマを意識することが大切です。
また、社会人として旅立つ我が子や、やがて大人になって壁にぶつかる孫に、想いと愛情を伝えると、その後の人生の指針となるでしょう。引退した父や母の今までを振り返ることは、ファミリーヒストリーの貴重な機会となります。そして、最も身近な夫や妻へずっと伝えられなかった感謝を伝えることは、絆を強めます。そしてまた、亡くなった親兄弟を、残された家族や友人と偲び語らうことでみなの気持ちが再生されます。

こういった人生の起点となる重要なテーマほど、大切に心の中にしまいこまれてカタチにしづらいものです。

でも、絵にしてあげることで立ち返る場所を手に入れることができます。

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