この記事について
自分の絵を描いてもらう。そう聞くと肖像画しか思い浮かびませんよね。門間由佳は肖像画ではない“私の絵”を描いてくれる人。人はひとりひとり違います。違った長所があり、違った短所があり、違うテーマをもって生きています。でも人は自分のことがよく分かりません。だからせっかくの長所を活かせない。同じ失敗ばかり繰り返してしまう。いつの間にか目的からズレていってしまう。そんな時、私が立ち返る場所。私が私に向き合える時間。それが門間由佳の描く“私の絵”なのです。一体どうやってストーリーを掘り起こすのか。どのようにして絵を紡いでいくのか。そのプロセスをこのコンテンツで紹介していきます。
『氵(さんずい)』|描く技術の応用で【心の封印】が解かれたNさん
「門間さんが心の封印を解いてくれました!」Nさんは嬉しそうに言いました。
オーダー絵画のためのセッションで、こういう会話がしばしばあります。絵を描く技術は、なんと、心にも応用できるのです!
Nさんは身体を整える仕事。サッカーをする子供の不調や姿勢の悪い大人などの身体をみます。「仕事に自信があります。でも、自分が大好きな【文学】と【身体】が結びつくとは!実は、文学は仕事に役にたたないと<封印>していたのです」
「身体は感じることが大切、と言っていたので‥‥、文学とバッチリ結びつきますよ」
「身体を感じることと、文学がいったいどう結びつくというのですか?」
「アナロジーを使うと簡単に結びつきますよ。類推思考とも呼ばれる、2つ以上の物事の間にある共通点に着目し、課題に応用する方法です。アナロジーを身につければ頭の回転も速くなり、仕事ができる人になっていくと注目を浴びています。
三菱重工業代表取締役会長、大宮英明氏によると【アナロジーとは、あることがらの意味合いを他のことがらへ、類似性に基づいて適用する方法などと説明されますが、要は「これは何かに似ていないか」「何かと共通性はないか」と考えること】。
画家は絵を描くときに、「似ているもの」「共通点のあるもの」を結びつけるときにアナロジーを使います。そうやって、独自の作品を作っていきます。だから、聞いていてすぐピンときました。
文学は運動と分野が違うので、結びつかないと思うかもしれません。でも、小説を書いたり、研究したり、楽しんだりするのに、感性を使いませんか?分野は異なっても、【感性を使う】という切り口から眺めると、結びつくのです」
「なるほど!」Nさんの目が輝きました。
「身体の目に見えない部分をいきいきとイメージしたり、自分とは違う環境にいる人に問題点をみつけたり。仕事で感性を働かせているのではないですか?」
「言われてみればその通りです」
「なのに、スポーツの世界では西洋医学同様、誰の目にも見える「エビデンス」が最優先事項。カラダの思念は置いてきぼりで、そこに耳を傾ける者は少ない。そこに不健康を感じます。スポーツは、<肉体と向き合って先の光を見る>素晴らしいアイテムなのに」
「じゃあ、常識や一般論を脇に置きましょう。Nさんのように少人数で一人ひとりを見る仕事のやり方なら、一般論より個別対応が喜ばれます」
「え?」Nさんの目が丸くなるのを見つつ、
「プロスポーツ選手を育てた経験、そのために必死に勉強した知識、自分でプロのレベルでのマラソンに挑んだ体験などから、きめ細やかな対応をできるでしょう?だから、常識でなくベストと思うことをやればいいと思います」
「そんなふうに考えたことありませんでした」
目から鱗が落ちたような表情です。
「文学的かつ感覚的な精神性は、必要とされないからと長い間封印してきたのを、門間さんが解いてくれました!とにかく仕事に関係なくても私の考えてきたこと、感じていること‥‥大仰に言えば生きざまを<洗いざらい>門間さんがアウトプットさせてくれました」Nさんはにっこり笑いました。
「こんなに好なように思いの丈を話せる場は普通ないと思います。たとえていうならば、こんなイメージです。
大きな笊(ざる)に人形大になった私は横たわっている。その大笊を常に清水(せいすい)が湧き出る泉に門間さんが差し入れてくれる。私の息が苦しくないよう氣をつけながら、余計な泥を落とせるよう笊の中で私を揺蕩わせる。そうやって、ざっぶんざっぶん綺麗にしてくれたようなもの‥‥、です」
「さすが、文学部卒業の素晴らしい表現です!」二人で笑いました。
その後、Nさんは、「あと少しの古い何某かの汚れがついている、それを見越したかのように<一番望んでいる自己表現=仕事の中身>をごく自然に聴き出してくれ、次の段階に進んだ感触がありました。門間さんの笊の中で360°全受容かつ整理された私は、真ん中を取り戻せました。会う人に『まとうオーラがちがう』と言われるようになりましたから」と教えてくれました。
「いま、【文学的かつ感覚的な精神性が私のアイデンティティ】とまでいえている自分と、お客様に「感じにいく」肝要を説く自分に整合性を感じていることが嬉しい。それゆえ、最初の構想と絵がまた変わっているだろうなと楽しみで仕方ありません」
Nさんの言葉通り、最初のオーダー構想から完成するオーダー絵画は大きく変わっていきます。それはまた別の物語です。
著者の自己紹介
ビジョンクリエイター/画家の門間由佳です。
私にはたまたま経営者のお客さんが多くいらっしゃいます。大好きな絵を仕事にしようと思ったら、自然にそうなりました。
今、画廊を通さないで直接お客様と出会い、つながるスタイルで【深層ビジョナリープログラム】というオーダー絵画を届けています。
そして絵を見続けたお客様から「収益が増えた」「支店を出せた」「事業の多角化に成功した」「夫婦仲が良くなった」「ずっと伝えられなかった気持ちを家族に伝えられた」「存在意義を噛み締められた」など声をいただいています。
人はテーマを意識することで強みをより生かせるようになります。でも多くの人は自分のテーマに気がついていません。ふと気づいても、すぐに忘れてしまいます。
人生
の節目には様々なテーマが訪れます。
経営に迷った時、ネガティブになりそうな時、新たなステージに向かう時などは、自分のテーマを意識することが大切です。
また、社会人として旅立つ我が子や、やがて大人になって壁にぶつかる孫に、想いと愛情を伝えると、その後の人生の指針となるでしょう。引退した父や母の今までを振り返ることは、ファミリーヒストリーの貴重な機会となります。そして、最も身近な夫や妻へずっと伝えられなかった感謝を伝えることは、絆を強めます。そしてまた、亡くなった親兄弟を、残された家族や友人と偲び語らうことでみなの気持ちが再生されます。
こういった人生の起点となる重要なテーマほど、大切に心の中にしまいこまれてカタチにしづらいものです。
でも、絵にしてあげることで立ち返る場所を手に入れることができます。