vol.108【白龍と歩む新たな道のり ~ 多様な学びの場を求めて】

 この記事について 

自分の絵を描いてもらう。そう聞くと肖像画しか思い浮かびませんよね。門間由佳は肖像画ではない“私の絵”を描いてくれる人。人はひとりひとり違います。違った長所があり、違った短所があり、違うテーマをもって生きています。でも人は自分のことがよく分かりません。だからせっかくの長所を活かせない。同じ失敗ばかり繰り返してしまう。いつの間にか目的からズレていってしまう。そんな時、私が立ち返る場所。私が私に向き合える時間。それが門間由佳の描く“私の絵”なのです。一体どうやってストーリーを掘り起こすのか。どのようにして絵を紡いでいくのか。そのプロセスをこのコンテンツで紹介していきます。

『白龍と歩む新たな道のり ~ 多様な学びの場を求めて』

 

はじめに:変化する時代と教育への想い
「白龍を迎えてから、来客が多くなり、新しい出会いが多くなってきました。特に、やってくる子供たちにヤンチャな子が多く、我が家が戦場のような状態になることもあります」
これは、長年教育現場で子どもたちと向き合ってこられた方からいただいた言葉です。その表情には、忙しさの中にも確かな充実感が宿っていました。

変わりゆく教育への課題意識
「教員を早期退職するまで、葛藤がありました。学校が、今の時代に合わなくなってきている。時代の変化に、追いついていないのです」
日本の学校教育は明治以降、基本的な形態がほとんど変わっていません。皆が同じことができることを目指す集団教育に対して、「ちょっと合わない」と感じる子どもは、学校に馴染めないことがあります。時には、学校に来られなくなってしまうこともあります。
近年、小・中・高の不登校が約30万人に急増しています。90日以上の不登校であるにもかかわらず、学校内外の専門機関等で相談・指導等を受けられていない小・中学生が4.6万人に上ります。
これを受けて、令和5年3月31日に文部科学省は「COCOLOプラン」を取りまとめ、誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策を打ち出しました。個々のニーズに応じた受け皿を整備し、NPOやフリースクールとの連携も強化するとしています。

今を生きる子どもたちへの想い
「時代を受けて文部科学省も変わってきているけれど、私は、今悩んでいる子供や親に、今、対応したい。家に遊びにきてくれる子供や保護者が後をたたず、学校の枠をこえて、彼らが居られる場所を作りたいと思いました」
多様性が求められる現代において、このような想いを抱く教育者は少なくありません。制度の変化を待つのではなく、目の前の子どもたちに今できることを考える。その姿勢こそが、真の教育愛と言えるでしょう。

新たな場所での展開
古民家のたくさんある部屋の一つに、90センチ四方の龍の絵が飾られました。その部屋は「龍の間」と名付けられ、新たな活動の拠点となりました。
「いよいよ龍との生活が始まりました。不登校の親子やフリースクールを立ち上げる方々の憩いの場としてだけでなく、龍の間で靈氣治療も始めます。もう、予約も入っています。白龍は大人気です」
興味深いのは、子どもたちが龍の絵に積極的に触れようとすることです。額に入っているため直接は触れませんが、額の上から龍に触ろうとします。龍は正面を向いていて、部屋のどこから見ても龍と目が合うのも、子どもたちの興味をひく要因かもしれません。

子どもたちの自然な反応
「みんな白龍に会いたがるので、多少のことは多めにみています。中には、とても繊細で敏感な感性をもっているために、学校に馴染めない子もいます。そんな子も、じっと白龍を見つめています」
子どもたちの能動的な行動は、彼らが心を開いている証拠でもあります。体調不良や、自分の個性を認めてもらえずに苦しんでいる人たちが、安心できる場所を見つけたとき、自然と表れる反応なのかもしれません。
「嬉しいことに、多くの方々が再度家にやってきます。とても気持ちがいい空間だと言っています。白龍を迎え、私も新しい展開が始まっているようです」

人生の新たな章への歩み
対話の中で印象的だったのは、「絵の届くときが新たな始まり」という言葉でした。長年教育現場で培ってきた経験と知見を、新しい形で社会に還元していく。そのスタートラインに立った時の決意が込められていました。
60歳近くまで教師として子どもたちに接してきた知見とともに、歩いてきた道のりが後に続く人の血肉になっていく。若い頃から生きることの苦悩を真剣に見つめ、時には誰かに甘えたり頼ったりする必要性にも気づきながら、様々な素敵な方々と出会ってきた。
その温かさが、今度は悩みを抱える子どもたちや保護者の方々を包み込んでいるのです。

結び:多様な学びの場の可能性
現代社会では、従来の教育システムだけでは対応しきれない多様なニーズがあります。学校という枠を超えて、子どもたち一人ひとりの個性や感性を大切にできる場所の重要性が高まっています。
制度の変化を待つのではなく、今できることから始める。そんな想いを持つ人々によって、新しい学びの場が生まれています。それは、子どもたちにとって安心できる居場所となり、保護者にとっても心の支えとなっているのです。
龍の間で起きている日々の出来事は、現代の教育が抱える課題への一つの答えを示しているのかもしれません。多様性を認め、一人ひとりの歩みを大切にする。そんな場所が、これからも必要とされ続けるでしょう。

 

今回完成した作品 ≫『剣白龍』部分

 

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 著者の自己紹介 

ビジョンクリエイター/画家の門間由佳です。
私にはたまたま経営者のお客さんが多くいらっしゃいます。大好きな絵を仕事にしようと思ったら、自然にそうなりました。

今、画廊を通さないで直接お客様と出会い、つながるスタイルで【深層ビジョナリープログラム】というオーダー絵画を届けています。
そして絵を見続けたお客様から「収益が増えた」「支店を出せた」「事業の多角化に成功した」「夫婦仲が良くなった」「ずっと伝えられなかった気持ちを家族に伝えられた」「存在意義を噛み締められた」など声をいただいています。

人はテーマを意識することで強みをより生かせるようになります。でも多くの人は自分のテーマに気がついていません。ふと気づいても、すぐに忘れてしまいます。

人生

の節目には様々なテーマが訪れます。

経営に迷った時、ネガティブになりそうな時、新たなステージに向かう時などは、自分のテーマを意識することが大切です。
また、社会人として旅立つ我が子や、やがて大人になって壁にぶつかる孫に、想いと愛情を伝えると、その後の人生の指針となるでしょう。引退した父や母の今までを振り返ることは、ファミリーヒストリーの貴重な機会となります。そして、最も身近な夫や妻へずっと伝えられなかった感謝を伝えることは、絆を強めます。そしてまた、亡くなった親兄弟を、残された家族や友人と偲び語らうことでみなの気持ちが再生されます。

こういった人生の起点となる重要なテーマほど、大切に心の中にしまいこまれてカタチにしづらいものです。

でも、絵にしてあげることで立ち返る場所を手に入れることができます。

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