// 本コラム「原因はいつも後付け」の紹介 // |
原因と結果の法則などと言いますが、先に原因が分かれば誰も苦労はしません。人生も商売もまずやってみて、結果が出たら振り返って、原因を分析しながら一歩ずつ前進する。それ以外に方法はないのです。28店舗の外食店経営の中で、私自身がどのように過去を分析して現在に至っているのか。過去のエピソードを交えながらお話ししたいと思います。 |
《第10回》目の前にあるのに見えないもの
「ハンバーガー59円、チーズバーガー79円。」
私が1店舗目を開業した2002年、大手ハンバーガーチェーンが大幅値下げを実施しました。
現在の価格と比較してみても約半額。
当時のハンバーガーがいかに安かったかが分かると思います。
すると、その値下げに対抗する形で、今度は大手牛丼チェーンが大幅値下げを発表。
外食業界の大手チェーンが雪崩を打つように値下げ競争に走るタイミングで、私は1店舗目の商品価格を決めざるを得ませんでした。
「どこも価格競争している以上、自分も参加せざるを得ない。」
これが1店舗目を安さで集客しようと思ったきっかけでした。
ただこの時、私はある重大な見落としをしている事に気づいていなかったのです。
理想論と現実
「中小は価格勝負に乗ってはいけない。」
「値下げ競争は大手のみが勝てる戦略。」
営業マン時代、こんな事をよく教えられていました。
実際、ビジネス書にもそんな事が書かれていたのをよく覚えています。
中小企業は大手が真似できない価値を作って価格を上げろ。
値下げ競争で勝てるのは仕入れを一番安くできる大手だけ。
理屈ではそんな事分かっていたのです。
ただ、周囲のお店を見渡すと何が起こっているのか?
大手チェーンに追随する形で値下げをはじめる中小規模の飲食店がどんどん増えていってるという現実があったのです。
「みんな値下げしているのに、自分だけ高い価格で集客できる訳がない。」
ビジネス書に書いてあるのは現実を知らない人間が書いている「理想論」。
そして、私が直面しているのは、そんな理想論は通用しない「現実」。
当時、私が感じていたこの思い。
もしかしたら、現在店舗型ビジネスを経営している方の中には共感していただける方もいらっしゃるのではないでしょうか?
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