第89回 無駄な失敗

 // 本コラム「原因はいつも後付け」の紹介 //
原因と結果の法則などと言いますが、先に原因が分かれば誰も苦労はしません。人生も商売もまずやってみて、結果が出たら振り返って、原因を分析しながら一歩ずつ前進する。それ以外に方法はないのです。28店舗の外食店経営の中で、私自身がどのように過去を分析して現在に至っているのか。過去のエピソードを交えながらお話ししたいと思います。

「失敗は成功のもと」
この言葉を知らない人は、ほとんどいないでしょう。

失敗から学び、改善をしていくことで成功に近づくことができる。
そんな事は、多くの人が分かっている訳です。

じゃあなぜ、成功には失敗が欠かせないと分かっているにも関わらず、私たちは失敗を避けようとしてしまうのでしょうか?

それは、「どの失敗が自分の成功に繋がっているのか、分からないから」だと思います。
自分の成功に繋がっている失敗が事前に分かれば、誰もが喜んでその失敗を選択するでしょう。

つまり、自分の成功に繋がらない「無駄な失敗」を避けようとする思考が、チャレンジそのものを踏みとどまらせる原因となっているのではないか、ということです。


「成功に繋がる失敗」と「無駄な失敗」。
この2つの失敗を見分ける方法は何なのか?

その答えは私には分かりませんし、分かる人なんていないと思います。
なぜなら成功に繋がる失敗とは、成功をした後に振り返ってようやく、「あの失敗がこの成功のきっかけだったのか」と気づくものであり、このコラムのタイトルにある通り「原因はいつも後付け」だと私は思うからです。

「成功に繋がる失敗」と「無駄な失敗」。
この2つの失敗を事前に見分けることは難しいかも知れません。
ただ、無駄な失敗をなくしてしまう方法なら分かるような気がします。

私の考えるその方法というのが、「自分の失敗を発信する」ということ。

失敗は自分の中だけに留めておけば、人の役に立つことはありません。
でも、その失敗の原因を考えて発信することで、その失敗が仮に「自分の成功」の役には立たなかったとしても、「誰かの成功」の役に立つ可能性はあると言えるのではないでしょうか?

つまり、「自分の失敗は誰かの成功のもと」と考える。

何かしらのチャレンジをしてみた結果、成功すれば自分は嬉しいし、失敗したとしてもその経験は発信することで誰かの商売の役に立つ。

そう考えれば結果がどうあれ、何かを試してみることに無駄な失敗などなく、無駄な失敗がないと思えるからこそチャレンジする回数も増え、チャレンジが増えた結果、「成功に繋がる失敗」にたどり着くのも早くなるということ。

「自分の為だけではなく誰かの役に立てる。」
この視点でチャレンジを捉えた方が試してみる意欲も湧いてくるのは、何も私だけではないと思うのです。

 

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著者/辻本 誠(つじもと まこと)

<経歴>
1975年生まれ、東京在住。2002年、26歳で営業マンを辞め、飲食未経験ながらバーを開業。以来、現在に至るまで合計29店舗の出店、経営を行う。現在は、これまで自身が経営してきた経験をもとに、これから飲食店を開業したい方へ向けた開業支援、開業後の集客支援を行っている。自身が経験してきた数多くの失敗についての原因と結果を振り返り、その経験と思考を使って店舗の集客方法を考えることが得意。
https://tsujimotomakoto.com/

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