第118回 2022年の飲食業を考える

 // 本コラム「原因はいつも後付け」の紹介 //
原因と結果の法則などと言いますが、先に原因が分かれば誰も苦労はしません。人生も商売もまずやってみて、結果が出たら振り返って、原因を分析しながら一歩ずつ前進する。それ以外に方法はないのです。28店舗の外食店経営の中で、私自身がどのように過去を分析して現在に至っているのか。過去のエピソードを交えながらお話ししたいと思います。

2021年の私の連載は今週が最後。
そんなタイミングということもあり、今回は2022年の飲食業界を見据えた上で、私なりの今後の動き方について書いてみたいと思います。


今から2ヶ月前の2021年10月25日。
東京では時短要請の解除に伴い、営業時間を元通りにしたお店も多かったと思います。そんなオーナーさん達と話をしていて聞こえてくるのは、やはり「深夜の来店が戻らない」という声。

確かに1年半もの間、まともに営業できなかった期間を考えれば、簡単に戻ってくることはないのでしょう。でも私を含めた店舗を経営するオーナーは、もう一方の可能性を考えておく必要もあるのではないかと思うのです。

その可能性というのが「戻らない」のではなく「なくなった」という可能性。

「深夜の来店はまだ戻ってきていないだけ」なのか、そもそも「深夜までお酒を飲む市場がなくなってしまった」のか。どちらが正解なのかは分かりませんし、どちらの選択をしたとしてもその選択の中で生き残る手段はあると思います。

そんな先の読めない状況ではありますが、私としては「なくなった」と捉えて、次の一手を先手で打った方が良いと考えていて、実際に私のお店は時短要請解除となった後も営業時間はコロナ以前よりも短くしたままです。

「深夜の来店がなくなった」
こんな風に書くと、マイナスの印象を持たれる方もいらっしゃるかも知れません。

でも、これは見方を変えて考えれば、「なくなった部分に投資していた資源を新しい事に投資できる」とも捉えることができる訳であり、私自身も2022年はこれまでで一番多くのチャレンジをしていく一年にする予定です。

商売において新しいチャレンジというものは資源にゆとりのある状態ほど選べる選択肢も多く、選べる選択肢が多いからこそ結果的に成功しやすくなる、という面があると思います。

そう考えるのであれば、早い段階から新しいチャレンジに資源を投資をした方が成功確率は高く、逆にお客さんが戻ってくることを期待して資源を減らし続けるほど、選べる選択肢は少なくなり成功確率は低くなっていくということです。

「先の読みづらい2022年をどう動いていくのか?」
今回の年末年始は、これを決める絶好の機会でしょう。

私の選択がどんな結果になるのかは分かりませんが、少なくとも外的要因の改善を期待してただ待つよりも、自ら商売の改善要因を作っていく一年にした方が遥かにリスクも少なく、かつ自分の取り組みにワクワクできる選択だと私は思うのです。

2021年も連載コラムをお読みいただきありがとうございました。
皆さま、2022年もどうぞよろしくお願い致します。

 


先の読みづらい2022年の店舗経営。
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著者/辻本 誠(つじもと まこと)

<経歴>
1975年生まれ、東京在住。2002年、26歳で営業マンを辞め、飲食未経験ながらバーを開業。以来、現在に至るまで合計29店舗の出店、経営を行う。現在は、これまで自身が経営してきた経験をもとに、これから飲食店を開業したい方へ向けた開業支援、開業後の集客支援を行っている。自身が経験してきた数多くの失敗についての原因と結果を振り返り、その経験と思考を使って店舗の集客方法を考えることが得意。
https://tsujimotomakoto.com/

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