セガが従業員の月額平均給与を30%を上げるそうです。
トヨタもホンダもベア満額回答ですし。UFJも上がってますね。
みずほも初任給が5万5000円アップします。。
ユニクロを筆頭にガンガン来ました。
やっぱりこれはユニクロ効果ですか。
もともと大企業って、国が出した方向性に従順なんです。女性活躍とか。だから空気を読んで、とくに経団連の上の方の会社は積極的に上げていきます。
でも「給料上げろ」って安倍さんの頃からずっと言われてましたよ。にも関わらず上げなかったじゃないですか。それがここに来て一斉に。
直接の引き金は物価ですね。
物価ですか。
はい。物価連動です。
大手の社員なんて、物価が上がっても食っていけるじゃないですか。
それは経営者の論理であって、従業員の論理ではないです。
確かに。子ども手当の年収制限も大ブーイングですもんね。
年収が800万を超えたからって、いきなり生活が楽になるわけじゃない。
ですよね。じゃあユニクロの影響というわけでもない。
いや、ユニクロの影響はかなり大きいんじゃないですか。大企業は優秀な人材を採ることにコミットしてるので。若い人の給与や初任給にはすごく影響してると思う。
やっぱりユニクロ効果ですか。
上げないと「もう人材獲得競争に勝てない」という判断でしょう。物価で動いたって感じですけど、ユニクロに合わせにきてるというのが現状じゃないですか。
どこまで上げるかの基準をユニクロが示しちゃったと。
そこが基準になっちゃいますよね。あとは背中を押された感じでしょうか。できれば1日でも遅くやりたいんだけど、物価も上がって、ユニクロも来ちゃったから。
もうやるしかないと。
テレビやマスコミに取り上げてもらうってことも大事で。とにかく早くやった方が取り上げてもらいやすいので。
どうせやるなら早いほうがいいと。
出遅れてしまうと取り上げてもらえないので。やると決まってるんだったら、取り上げてもらえる方が広告効果は高い。
10年前にやっておけば確実に取り上げられたと思うんですけど。いい人も集まったと思いますし。
個別の対応だとマスコミはあまり取り上げてくれないです。今は物価が上がって、「給料を上げろ」という世論があって、取り上げられてる。
初任給30万にしたら絶対に取り上げられたと思いますけど。やっぱり先に上げたくなかったんじゃないですか。
もちろん、それもあると思います。先にやっちゃって、もし誰もやらなかったらリスクだけ負うわけで。
「みんながやるぞ」となったら早い方がいいってことですね。
日本の悪いところですけど。みんな横並び発想ですから。
またいつもと同じパターンってことですか。
サイバーエージェントみたいに昔から高いところもあるんです。だけど「ああいうところはちょっと放っとこうぜ」みたいな感じになってしまう。
「変な会社だよね」みたいな。
それで済んでたけど、もうそれでは済まなくなった。
手堅い銀行まで上げ始めちゃうと、もう戻らないですよね。
もう戻せないでしょう。
初任給25万でも少ないぐらいになってきて。
新卒を採ろうと思うなら、もう25〜30万のレンジじゃないですか。
そうですよね。中小企業は最低28万ぐらい出さないと。
「不人気料」みたいのを払わなきゃいけないので。
でも新卒ってなかなか戦力にならないし。3年たってようやくペイするかと思うと辞めていくし。中小企業で新卒はもう採れないんじゃないかって気がします。
余裕のある会社しか無理じゃないですか。
初任給を28万円払って、3年間も給料を払いながら育てて、それで半分ぐらい辞めたとしてもペイする会社じゃないと。
それぐらい余裕がないと無理でしょうね。
そんな中小企業あるんですか。
中にはありますよ。超優良な中小企業。
ちなみに初任給は25〜30万ぐらいで落ち着くんですか。それとも更に上がっていくんでしょうか。
物価の伸びによっては更に上がると思います。ただ恐ろしいのは、今はコストプッシュ型のインフレじゃないですか。
そうですよね。企業の利益が増えてるわけでもない。
本当に力のある会社だけがプライスを上げられる。物価が上がって、初任給も高くなって、追いついていけない会社はかなりきつくなります。
元から利益が出ていた会社はいいですけどね。
自分たちでプライスを決められる人たちは上げていけるんです。
なるほど。
業界の上の方ですよ。
でも仕入れ価格はどんどん上がっていくし。
10%〜15%ぐらい値段を上げないと給与が増やせないです。そのためには付加価値を上げていくしかない。
大企業は仕入れ価格も上げてくれますか?「中小企業への支払いをもっと増やせ」って言われてますけど。
下請けに出す金額ってことですか?
はい。下請けにもっと高い金額で仕事を出す。ここにも大企業は応じていくんでしょうか。
いや、そこまでしないでしょうね。多少は値上げを飲んでくれると思いますけど。その交渉も大変だと思います。
単なる下請け企業はもう厳しいってことですよね。大手が上げてくれるのを待ってるようじゃ、もうダメだと。
下請けによりますね。大企業も自分たちだけで作る機能を失っているので。車を見てもよく分かると思うんですけど、半導体がないとか。
なるほど。
強い下請けから「上げてくれ」って言われたら飲まざるを得ない。そういう強い企業になれているかどうかが試される時です。
強いの定義は何ですか。売り上げ規模ですか。
複数の販路があることと、独自の技術があること。あとは今の時代、量を作れることですね。「人がそろっている」というのもすごく大事です。
量が作れて、クオリティーも高くて、技術もあるんだけど、1社に頼り切ってる会社はどうですか。
8割ぐらい依存してるところって、ほぼグループ会社なんですよ。依存度が3割ぐらいのところが一番危ないです。
そうなんですね。
依存度が3割もあると「切られたらやばい」ってことが相手にも分かるし。特殊な技術でもない限り厳しいと思います。
久野勝也 (くの まさや) 社会保険労務士法人とうかい 代表 人事労務の専門家として、未来の組織を中小企業経営者と一緒に描き成長を支援している。拠点は愛知県名古屋市。 事務所HP https://www.tokai-sr.jp/
安田佳生 (やすだ よしお) 1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。