7年前に採用ビジネスやめた安田佳生と、今年に入って採用ビジネスをやめた石塚毅による対談。なぜ二人は採用ビジネスにサヨナラしたのか。今後、採用ビジネスはどのように変化していくのか。採用を離れた人間だけが語れる、採用ビジネスの未来。
前回は 第74回『eスポーツと車の未来』
第75回「なぜグレーな仕事はなくならないのか」
レオパレスさんが2期連続赤字みたいです
ですね。
レオパレスのマンションって、そこら中にありますよね。
はい。建てまくってますから。
建てまくってるというか、売りまくってるというか。超営業会社というイメージですけど。
その通り。すごい営業会社です。
最近は施工不良問題が頻繁に起こってます。
そもそもレオパレスって、かなり不誠実な会社だと私は思ってます。
売上至上主義みたいなイメージですよね。部屋を借りた人が「壁がスカスカだった」と文句言ってました。
空いてる土地があれば片っ端から「賃貸物件やりませんか?」っていう営業。家賃保証30年とかってやるけど、そんなの真に受けられないじゃないですか。
家賃保証して、ちゃんと払い続けるんだったらいい気もしますけど。
儲からなくなったら平気で「保証できなくなったんで」って、言って来ます。
それはひどい。
だってこの人口減少社会で、アパート・マンションをぼんぼん建てて、人が入居し続けるわけない。
彼らはそれを分かっててやってるんですか?
もちろん分かってますよ。分かっていてよくそんなの売るなっていう。
じゃあ確信犯なんですね。
もちろん。よく土地を吟味して「ここはこういうシミュレーションです」ってやるならともかく。
レオパレスのマンションってなぜあんなに多いんですか?
先を考えてないですから。
そんな会社があそこまで大きくなれるんですか。
みんな知らないから。
レオパレスと言えば「大きな会社」ぐらいのイメージなんでしょうか。
そんな感じじゃないですか。
昔は立派な会社だったんですか?
いやいや。不動産業界では昔から「あの会社は」って言ってました。まあレオパレスだけじゃないですけどね。あの系の会社はいくつかある。
じゃあ業界の人はみんな分かっていたと?
そうです。
バレたのはやっぱりネット社会の影響ですか?
ネットでつぶやかれ始めたのと、大々的な事件になって認知度が一気に広まったのと。両方ですね。
「ああいう系の会社」っておっしゃいましたけど。
はい。あるじゃないですか。
レオパレス出身の人がやっている会社って、全部とは言いませんけど「営業力で売り切ってしまえ」みたいなのが・・・。
多いです。
ですよね。売れ残った物件を「なんとか売ってこい」みたいな。
いま「正直不動産」っていうコミックが売れてるの知ってます?
いえ知りません。正直不動産?
不動産業界って「“ババ”つかまされたら、それはあなたが悪い」っていう世界なんですよ。
すごい世界ですね。
その中でトップセールスを歩んでた主人公が、ある日突然「自分の思ってる正直なことしか言えなくなってしまった」というストーリー。
おお!それは面白そうですね。
それで「バカ正直」に徹していくという話。あのシナリオ書いてる人は業界のことをかなりよく知ってますね。
おっしゃるとおり。だから不動産業界ってソーシャルステータスが低いんですよ。
たしかにそうですよね。日本では。
もちろん良心的な方もいますけど。不動産屋って「必要以上に華美な高級車乗って、必要以上に高いものを身にまとう」っていう、あぶく銭のイメージ。
「いい物件あります」みたいな架空情報を入口に掲げてるイメージです。
もう、お決まりの話ですよ。
じゃあ、もともと業界全体がグレーってことですか?
そうです。
でも大手デベロッパーは違うでしょ?
流石にわかりやすい手抜きしませんけど、その分バカ高です。
でも有名なハウスメーカーさんでも、結構スカスカな家ってありますよね。
某不動産デベロッパーなんて、今どれだけクレームが出てるか。横浜の杭が刺さってなかった問題とか、ズレてたとか、あれもたしか同じ会社ですよ。
ああ、たしかに。
で、杭打ちの会社に全部の責任を負わせて「いや、オレ知らないから」みたいな。まあ、そんなもんですよ不動産業界って。
さすがにもうここまで来たら、レオパレスの物件買う人はいないでしょ。
売れなくなってますね。だから2期連続赤字なんですよ。
そうですよね。会社として、もう存続するのは難しいですか?
ただレオパレスの販売先って“情弱”な人なんで。なんとかなっちゃったりするかもしれない。
でも情弱な人とはいえ、この時代ネットで多少は調べたりするでしょ?
先祖代々いろんな土地を持ってて、何もしなくても暮らせた地主の人ってほとんどが「世界でいちばん学ばない人たち」と言われてますから。
なるほど。じゃあ赤字を取り戻すために、利益率の高い「さらなる粗悪物件」を情弱な地主に売っていくと。
そう思います。
でも騙し続けたとしても、さすがにどこかで終わりは来るでしょ?
どうなんでしょう。なんか続くような感じもしますけど。だってこの手の話って昔からあるじゃないですか。
昔からあるのに、なぜみんな騙され続けるんですか?
安田さんがよく言ってることですよ。「ものごとをちゃんと考える人なんて、あんまりいません」って。
確かに。会社の経営者でもいますもんね。
「売上が下がった。営業しろ!」みたいな。
ですね。
「そもそもの存在理由から考えよう」とか「ブルーオーシャンをきちっと見つけよう」って人は・・・
たしかに、そんな人あまりいないです。
いないじゃないですか。
みんな楽して得したいですから。
そうそう。短期ですぐ結果出ることばっかり求めて。
そういう人がいる限りは、ああいう会社の仕事もなくならないと。
なくならないでしょうね。「すぐ結果が出るいい話」なんてないってことを、学ばない人がまだまだ多い。
石塚毅
(いしづか たけし)
1970年生まれ、新潟県出身。前職のリクルート時代は2008年度の年間MVP受賞をはじめ表彰多数。キャリア21年。
のべ6,000社2万件以上の求人担当実績を持つ求人のプロフェッショナル。
安田佳生
(やすだ よしお)
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。