第160回「捨てられないのは給料?プライド?」

この記事について

2011年に採用ビジネスやめた安田佳生と、2018年に採用ビジネスをやめた石塚毅による対談。なぜ二人は採用ビジネスにサヨナラしたのか。今後、採用ビジネスはどのように変化していくのか。採用を離れた人間だけが語れる、採用ビジネスの未来。

前回は 第159回「ひんしゅくおじさんの正体」

 第160回「捨てられないのは給料?プライド?」 


安田

死ぬより怖い?大企業40代サラリーマンのリスク!

石塚

はい。

安田

これまでの対談では50代でしたよね。下に降りてきちゃったってことですか?

石塚

そうです。安田さんはサラリーマン生活1年しかないから、イメージしづらいかもしれないですけど。

安田

そうですね。ちょっと理解できないです。

石塚

「大企業の40代サラリーマン」ってどんなイメージが浮かびますか?

安田

大企業の40代ですか・・・家を持っていて、それなりの地位があり、教養もあり、社内での仕事も安定していて。いちばんいい時というイメージです。

石塚

昔はそうだったんですよね。いまは「どうする?辞める?それとも続ける?」ってことを迫られるのが40代。

安田

今の40代って若いじゃないですか。まだバリバリでしょ?

石塚

大企業ってやっぱり安定してる部分があるじゃないですか。

安田

はい。

石塚

ということは、ある部分の“筋肉”は使わなくなるわけですよ。

安田

40代にして衰えてくると。

石塚

「自分で何かをやる」という筋肉が衰える。すべて会社の仕組みやネームバリューの上に成り立ってるから。

安田

なるほど。

石塚

それはそれで楽しさもあるんです。ただ外部環境がこれだけ激しく変わると、ある日突然、船が横波を食らって転覆するようなことが起こる。

安田

今の時代はそうですよね。

石塚

その時に40代って結構厳しいんです。20代は横波が来ても、船を乗り換えりゃいいだけの話で。

安田

30代はどうなんですか。

石塚

30代は状況によります。結婚して子どもがいるのか・いないのか。子供は何歳なのか。まあ小学生・幼稚園だったら転職して給料が下がっても、そんなに影響ない。

安田

大企業って30〜40代の稼ぎで成り立ってるイメージですけど。その年代の人たちが上のオジサンを食わせてるんでしょう?

石塚

そうなんですけど。どの年代も稼いでくれる人って1割しかいないんですよ。

安田

えっ、20代30代もですか!?

石塚

そうです。

安田

赤字社員のほうが多い?

石塚

もちろん。1:0:9なので。

安田

9割は赤字だと。

石塚

はい。1が優秀、普通はいない、あとは企業に食べさせてもらってる。自覚はないでしょうけど。

安田

ちなみに20代で赤字の人って、30代40代も赤字のままですか?

石塚

ほぼそうですね。

安田

「こいつはだめだ」ってことを会社側はわかってると。

石塚

分かってますけど、給料が安いからペイはする。

安田

なるほど。

石塚

20代だったら勤続年数も満たないし、退職金も払わなくてもいいので。

安田

大きな赤字にはならないと。

石塚

費用対効果でいうと合うんですよ。これが30代だと、ちょっと微妙になってきます。40代は完全に赤字。会社としては合わない。

安田

へえ。そうなんですか。

石塚

はい。大企業で40代なら1,000万は超えるので。

安田

肩たたきが始まる年齢が下がってきたってことですね。

石塚

そうです。

安田

50代60代のリストラだけでは、もう間に合わないと。

石塚

「役職定年」という言葉を安田さんもご存じだと思うんですけど。

安田

はい。石塚さんに教えていただきました。

石塚

「基本給を下げる」のは不利益変更にあたるけど、「役割給が変わりました」というのは合法なんですよ。

安田

不利益変更にはならないと。

石塚

ならない。「いままでマネジメントの役割を願いしてましたが、47歳で定年になられましたのでメンバーに降りてください。役割が変わりました」って。

安田

うまいこと考えますね。大企業というのは。

石塚

そういう部分はすごく頭がいいです(笑)

安田

普通に考えたら十分な不利益変更ですけど。

石塚

「安田さんはその役割をいま果たしてらっしゃらないんで」っていう話になる。

安田

「しょうがないですね」と。

石塚

「しょうがないですね」「だけど雇用は維持しますよ」って。

安田

「死ぬより怖い」っておっしゃってましたけど、「このままだとクビになるよ」という意味ですか?それとも「このまま居続けるほうがリスクだよ」という意味?

石塚

変化対応ができなくなっている、ということが最大のリスクですね。

安田

対応できなくなるのが40代?

石塚

おっしゃる通りです。30代だったらまだ身軽だし、生活コストもそこまでかからないし。新しいことにチャレンジするチャンスがある。

安田

40代の人はどうしたらいいんでしょう。

石塚

まずはBFS(ブランドファーマーズ・スクール)に通うことですね。

安田

宣伝していただきありがとうございます(笑)

石塚

真面目な話、BFSのようなスクールに行くしかないです。

安田

商売を学ぶためのスクールということですか?

石塚

そうです。中小企業診断士のような資格に流れていっちゃう人が多いけど。

安田

資格とスキルは別ですからね。

石塚

BFS以外にそういう学校ってないですよね。

安田

増えてきてます。ビジネススキルを学べる学校。

石塚

BFSのように実践的な、まさに自分の商売を「ここから始めるぞ」っていう学校は見たことないです。

安田

あまりニーズがないからでしょうね。「手っ取り早く資格を身につけたい」というニーズのほうが多いので。

石塚

現状そうですね。ただみんなバカじゃないから気づくと思う。「資格だけじゃどうにもならないよ」って。

安田

そもそも資格や学歴って、いい会社に入るために取るわけじゃないですか。

石塚

日本の場合はそうですね。

安田

だったら今さら資格を取るより、なんとか「しがみつく」方法を考えた方がよくないですか?

石塚

給料が下がってもよくて、自分のプライドを犠牲にしてもかまわないっていう、2つの要件を満たした人はそれでOKだと思う。

安田

どっちが受け入れがたいんですか。給料ですか?プライドですか?

石塚

どっちもですね。

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石塚毅
(いしづか たけし)
1970年生まれ、新潟県出身。前職のリクルート時代は2008年度の年間MVP受賞をはじめ表彰多数。キャリア21年。
のべ6,000社2万件以上の求人担当実績を持つ求人のプロフェッショナル。

安田佳生
(やすだ よしお)
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。

 

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