2011年に採用ビジネスやめた安田佳生と、2018年に採用ビジネスをやめた石塚毅による対談。なぜ二人は採用ビジネスにサヨナラしたのか。今後、採用ビジネスはどのように変化していくのか。採用を離れた人間だけが語れる、採用ビジネスの未来。
第160回「捨てられないのは給料?プライド?」
死ぬより怖い?大企業40代サラリーマンのリスク!
はい。
これまでの対談では50代でしたよね。下に降りてきちゃったってことですか?
そうです。安田さんはサラリーマン生活1年しかないから、イメージしづらいかもしれないですけど。
そうですね。ちょっと理解できないです。
「大企業の40代サラリーマン」ってどんなイメージが浮かびますか?
大企業の40代ですか・・・家を持っていて、それなりの地位があり、教養もあり、社内での仕事も安定していて。いちばんいい時というイメージです。
昔はそうだったんですよね。いまは「どうする?辞める?それとも続ける?」ってことを迫られるのが40代。
今の40代って若いじゃないですか。まだバリバリでしょ?
大企業ってやっぱり安定してる部分があるじゃないですか。
はい。
ということは、ある部分の“筋肉”は使わなくなるわけですよ。
40代にして衰えてくると。
「自分で何かをやる」という筋肉が衰える。すべて会社の仕組みやネームバリューの上に成り立ってるから。
なるほど。
それはそれで楽しさもあるんです。ただ外部環境がこれだけ激しく変わると、ある日突然、船が横波を食らって転覆するようなことが起こる。
今の時代はそうですよね。
その時に40代って結構厳しいんです。20代は横波が来ても、船を乗り換えりゃいいだけの話で。
30代はどうなんですか。
30代は状況によります。結婚して子どもがいるのか・いないのか。子供は何歳なのか。まあ小学生・幼稚園だったら転職して給料が下がっても、そんなに影響ない。
大企業って30〜40代の稼ぎで成り立ってるイメージですけど。その年代の人たちが上のオジサンを食わせてるんでしょう?
そうなんですけど。どの年代も稼いでくれる人って1割しかいないんですよ。
えっ、20代30代もですか!?
そうです。
赤字社員のほうが多い?
もちろん。1:0:9なので。
9割は赤字だと。
はい。1が優秀、普通はいない、あとは企業に食べさせてもらってる。自覚はないでしょうけど。
ちなみに20代で赤字の人って、30代40代も赤字のままですか?
ほぼそうですね。
「こいつはだめだ」ってことを会社側はわかってると。
分かってますけど、給料が安いからペイはする。
なるほど。
20代だったら勤続年数も満たないし、退職金も払わなくてもいいので。
大きな赤字にはならないと。
費用対効果でいうと合うんですよ。これが30代だと、ちょっと微妙になってきます。40代は完全に赤字。会社としては合わない。
へえ。そうなんですか。
はい。大企業で40代なら1,000万は超えるので。
肩たたきが始まる年齢が下がってきたってことですね。
そうです。
50代60代のリストラだけでは、もう間に合わないと。
「役職定年」という言葉を安田さんもご存じだと思うんですけど。
はい。石塚さんに教えていただきました。
「基本給を下げる」のは不利益変更にあたるけど、「役割給が変わりました」というのは合法なんですよ。
不利益変更にはならないと。
ならない。「いままでマネジメントの役割を願いしてましたが、47歳で定年になられましたのでメンバーに降りてください。役割が変わりました」って。
うまいこと考えますね。大企業というのは。
そういう部分はすごく頭がいいです(笑)
普通に考えたら十分な不利益変更ですけど。
「安田さんはその役割をいま果たしてらっしゃらないんで」っていう話になる。
「しょうがないですね」と。
「しょうがないですね」「だけど雇用は維持しますよ」って。
「死ぬより怖い」っておっしゃってましたけど、「このままだとクビになるよ」という意味ですか?それとも「このまま居続けるほうがリスクだよ」という意味?
変化対応ができなくなっている、ということが最大のリスクですね。
対応できなくなるのが40代?
おっしゃる通りです。30代だったらまだ身軽だし、生活コストもそこまでかからないし。新しいことにチャレンジするチャンスがある。
40代の人はどうしたらいいんでしょう。
まずはBFS(ブランドファーマーズ・スクール)に通うことですね。
宣伝していただきありがとうございます(笑)
真面目な話、BFSのようなスクールに行くしかないです。
商売を学ぶためのスクールということですか?
そうです。中小企業診断士のような資格に流れていっちゃう人が多いけど。
資格とスキルは別ですからね。
BFS以外にそういう学校ってないですよね。
増えてきてます。ビジネススキルを学べる学校。
BFSのように実践的な、まさに自分の商売を「ここから始めるぞ」っていう学校は見たことないです。
あまりニーズがないからでしょうね。「手っ取り早く資格を身につけたい」というニーズのほうが多いので。
現状そうですね。ただみんなバカじゃないから気づくと思う。「資格だけじゃどうにもならないよ」って。
そもそも資格や学歴って、いい会社に入るために取るわけじゃないですか。
日本の場合はそうですね。
だったら今さら資格を取るより、なんとか「しがみつく」方法を考えた方がよくないですか?
給料が下がってもよくて、自分のプライドを犠牲にしてもかまわないっていう、2つの要件を満たした人はそれでOKだと思う。
どっちが受け入れがたいんですか。給料ですか?プライドですか?
どっちもですね。
石塚毅
(いしづか たけし)
1970年生まれ、新潟県出身。前職のリクルート時代は2008年度の年間MVP受賞をはじめ表彰多数。キャリア21年。
のべ6,000社2万件以上の求人担当実績を持つ求人のプロフェッショナル。
安田佳生
(やすだ よしお)
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。